縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (19) <囲繞の檻>の中で ― 縄の縛めに結ばれ合う母と娘 ― |
廃屋の一軒家にある地下室が縄による緊縛の秘密の儀式の場所として使用されていたことは、 当然、そこに参加できる特別の資格を持つものだけが知るという事情にあったが、 それが、恵美子、香織、慶子、由美子、麻衣子、真美という六人の女性にあったことは、 男性は禁断の場所であるという掟が示されていることにあった、 恵美子が子持ちの未亡人である以外は、他の五人は独身者であったことから、 彼女は、愛縛の聖母、或いは、緊縛美の夫人、または、縄奴隷の女と呼称されていたことは、 彼女が儀式に捧げられる供物として、取り扱われるあり方をあらわしていることにあった、 その儀式の目的とは、 縄の美しく強靭で柔軟性に富んだありようは、憧憬する男性そのものにあることであれば、 女性は、優れた存在にある縄という男性の支配を望んでいるものであって、 その支配に依って、みずからも優れた存在に引き上げられることにあるとする、 縄による緊縛の性愛行為を行うことにあった、 この考え方の根拠となっているのは、<結びの思想>である、 それに依れば、人間には、<女性の縄>と<男性の縄>というものがある、 知覚作用として活動する、感情を主潮として自然を認識する<自然観照の情緒的表現>を前者、 観念を主潮として自然を認識する<自然観照の合理的表現>を後者の思考作用にあるとされる、 思考作用における事柄であることは、 女性を縛る事象にあるから、<女性の縄>にあると見なされることではない、 同様に、男性を縛る事象にあるから、<男性の縄>にあるということではない、 <情緒的表現>並びに<合理的表現>を如何に構築させるかという思考作用の問題にある、 人間が縄で縛られている状態は、如何なる事象として表現されているものにあるかを示す方法である、 従って、<女性の縄>と<男性の縄>は、思考作用にある以上、 人間が縄で縛られているという現象は、ひとつの表現の状態にあることであって、 表現される現象は、縄による緊縛という事象でなくても、あり得るということにある、 現在、日本民族に依って行われている、<綯われる一筋の縄>というありようは、 縄文時代における、<一万三千五百年の縄の執着>から生まれた<結びの思想>である、 <異化・変化・昇華>という思考作用を行うことを可能とさせている、 <自然観照の情緒的表現>並びに<自然観照の合理的表現>を更に有効とするためには、 <女性の縄>と<男性の縄>という思考作用を利用して、 <人間の昇華のありよう>を体現する民族へ向かう状況を推進させることにある、 日本人は、縄文時代以来、持続する自然崇拝の信仰心があるが故に、 多種・多様・多義のそれぞれの思いのある実情から、 自己実現ができるという存在理由をあらわしてきている、 これは、一神教ではなく、或いは、多神教でさえないというありようが示唆されることにあれば、 宗教性は抱いていても、宗教にまったく依存することなく、人間を考察できるという立場にある、 人間の動物存在としての活動の由来である、 食欲・知欲・性欲・殺傷欲という四つの欲求から作り出される因習の問題は、 宗教の発生と継続・維持に関わることであるが、無宗教にあっても、それは同様である、 因習の比喩について、 前田寿安が見事な絵画作品を表現しているので、参考に掲げる、 囲炉裏があるから、地方の家で、遺影が飾られているから、先祖伝来の場所と思われる、 着物を着た、年老いた夫婦が炉辺を囲んで、夫は手慰み、妻は縫い物に精を出しているという日常は、 一糸もまとわない全裸にある、黒髪も豊かな若い女性が後ろ手に縛られ、胸縄を掛けられ、 両脚を束ねられ、渡された竿へ、その折り曲げさせられた両脚を引っ掛けられて、 老夫婦の方へ身体の正面を向けながら、逆さ吊りとされている姿態があるという状況において、 ふたりは、無関心という態度があらわされている、 囲炉裏に吊り下がる鍋は、燃え盛る薪で、ぐつぐつと煮えているさまにあれば、 緊縛の裸身の女は、捕獲されて食される動物と同様にあると見なされていることにあると映る、 老夫婦のいつもと変わらない夕食の風景である、 因習を作り出す、食欲・知欲・性欲・殺傷欲がそこはかとなく漂う情景にある、 それこそが人間生活の日常であると示される、<男性の縄>のあらわされる表現である、 因習は、四つの欲求がなければ、あり得ない、 四つの欲求がなければ、人類という種は存在しない、 因習は、まわりを取り囲まれて、絶対的に立ちはだかる、<囲繞の檻>である、 食欲・知欲・性欲・殺傷欲を抱いている人間は、野放図・放埓・無際限という行動において、 罪深い存在であるということを逃れられない、<囲繞の檻>の囚人にある。 娘の香織に導かれて廃屋の一軒家へ向かう黒塗りの大型車の車内で、 娘から、一糸も身に着けない全裸の姿態を求められた、母の恵美子は、それに従順に従い、 後ろ手とされた両手首を麻縄で縛られ、手拭いの目隠しを施されるという身上にあった、 それから、縄奴隷の女と呼称された、恵美子は、香織に縄尻を取られ引き立てられながら、 廃屋の一軒家へ入ると、廊下を抜けて、突き当りには、地下へ通じる階段が待っているのであった、 香織に寄り添われて、地下へ下りた、縄奴隷の女は、広々とした空間の片隅にある、 縦・横・高さが一メートル半ほどの鋼鉄製の檻の前まで連れて行かれた、 そこで、香織は、縄奴隷の女に直立不動の姿勢を執らせると、縄尻を相手の身体の前まで持っていった、 ふっくらとした綺麗な隆起をあらわす、ふたつの乳房の上部へ、麻縄は、二重に巻き付けられると、 背後へ戻されて縄留めがされた、更に、床に置いてあった、縄の一本が取り上げられて、 ふた筋とさせた縄頭が両手首を縛った縄へ結び付けられて、乳房の下部へ二重に巻き付けられると、 背後から左右の腋の下へ通され、下部の胸縄のそれぞれへ絡められて引き締められてから、 背中で縄留めがされるのだった、 縄奴隷の女は、呼称された通り、従順に、されるがままにあるだけであった、 三番目の縄が用意されると、背後の胸縄へ結び付けられて、ふた筋の縄は、 ほっそりとした首筋の左右へ振り分けられて身体の前部へ下ろされると、 ひとつにまとめられたふた筋は、胸縄の上部と下部へ順次結び付けられて、腰付きまで下ろされた、 優美なくびれを際立たせられるように、二重に締め込まれた縄は、臍の辺りで結ばれると、 なめらかな腹部を伝わされ股間まで持っていかれた、 縄奴隷の女は、その身上を自覚しているように、 艶やかな双方の太腿をそろそろと開き加減とさせたが、羞恥を隠させる陰毛のまったく奪われた、 ふっくらとさせた女の小丘は、白い無垢に深々とした亀裂を悩ましいばかりにくっきりとさせていたが、 香織は、そこへ嵌め込む縄に瘤を作るのだった、その瘤は、膣口に含ませるためのもので、 縄は、調整されながら股間へ通されていった、尻の亀裂からたくし上げられた縄は、 両手首を縛った縄へ縄留めがされて、縄掛けを終えるのだった、 香織は、美しい両眼を覆っていた手拭いの目隠しを取り去ると、数歩下がって、 被縛に晒された、生まれたままの全裸にある姿態をしげしげと眺めた、 天井から下がるシャンデリアは、煌々とした光を縄による緊縛の姿態へ降り注いでいたが、 乳白色をした柔肌が一段とした輝きを辺りへ撒き散らせていたことは、 波打つ茶色の髪に縁取られた、清楚な美貌をした顔立ちの女があらわす、 優美な女の曲線は、首筋、撫でた両肩、ふたつの乳房と乳首、腰付き、尻、 双方の太腿、両脚、両足の隅々に至るまで、匂い立つような麗しさを漂わせるものとしてあった、 縄の存在というのは、その麗しさを妖美に変えるものとしてあったことは、 緊縛にある身上を引き受けることがあらわされるように、縛られた両手首のしっかりと結ばれた両手、 突き出させられたことで情欲を露わとさせられている、乳首を尖らせたふたつの乳房 締め込まれた縄が優美を捻じ曲げている、くびれの際立たせられた腰付き、 埋没させられた縄が深々とした亀裂を神秘と映らせる、ふっくらとさせた白無垢の小丘、 それを少しでも見られまいと懸命に閉じ合わせている、艶やかな太腿、 亀裂から這い上がる縄がその奥を想像させずには置かない、優美な尻にあらわされているのであった、 それは、縄の衣装をまとわされた、女の思いがそのまま反映されていることだった、 縄奴隷の女は、見つめられている羞恥から、顔立ちを俯き加減とさせて、 まなざしを合わせまいと床の一点を凝視する素振りを見せていたが、 間近まで近付いた、香織は、相手の顎を指先で捉えると上げさせた、 しっかりと相手を見るようにさせられた、縄奴隷の女のまなざしは、 隠させるもののない、全裸にあることの羞恥から、縄掛けされている、柔肌の圧迫される興奮から、 そして、股間へもぐり込まされている、縄による女芽や肛門への刺激から、 更には、膣口へ含まされている、瘤縄の鋭敏な感覚から、 高ぶらされている官能に潤んだ、うっとりとなった表情をあらわしているのだった、 「いい顔立ちをしているわ、 もっと高ぶらされる思いへと誘ってあげる、 あなたが縄奴隷の女であることの認識へ至るための最上の場を作ってあげるわ、 さあ、入りなさい、この<囲繞の檻>へ」 香織は、冷ややかとも感じられる落ち着いた口調でそのように言うと、檻の扉を開けるのだった、 縄奴隷の女は、その頑丈で狭苦しい内部に目をやると、躊躇をあらわしていた、 だが、香織から肩を小突くようにされると、背中を丸めて、おずおずと中へ入っていくのだった、 檻の中に入った、縄奴隷の女は、香織の方へ恨みがましいまなざしを投げ掛けながら、 縄で緊縛された裸身をもどかしそうにして、横座りの姿勢とさせていった、 香織は、縄尻を鉄格子へしっかりと繋ぎ留めると、冷酷な音を立てさせて、扉を閉ざし施錠した、 それから、飼い主が愛玩動物を檻へ入れたような気軽な素振りで、そそくさとその場を立ち去るのだった、 天井のシャンデリアの照明が落されると、地下室は、暗闇と静寂が支配する場所となった、 ぽつねんと独り取り残された、縄奴隷の女は、見るものを判別できない、 真の暗闇の中へ孤独に置かれたことで、両手を後ろ手にして縛られ、 ふたつの乳房の上下から挟まれた胸縄を掛けられ、腰付きのくびれを締め込む縄を巻かれ、 股間の女の割れめへ埋没させられる、恥ずかしい股縄を施された姿態にあって、 身動きのままならない、不自由そのものの身上は、 冷たい鉄格子の嵌った、頑丈な鋼鉄製の檻の中へ閉じ込められているという境遇において、 被虐に晒されている、みずからというものを激しく自覚させられることにあるのだった、 人間にありながら、犬畜生と変わりのない扱われ方を実の娘からされたことは、 奪われた母の尊厳に取って代わり、縄奴隷の女にあることをつくづくと思い知らされることだった、 縄奴隷の女にある、みずからと向き合うほかには成す術がないというその状況は、 みずからの呼吸以外に、ひとの気配のまったく感じられない、 底なしの暗闇と静寂に浸されて、激しく不安と恐怖を募らせることにあったことだったが、 同時に、全裸にある縄の緊縛が快感の疼きをもたらす、 官能の高ぶりを感じさせられることでもあったのである。 <囲繞の檻>へ収監された、囚人は、 隠させる布切れひとつない、生まれたままの全裸の姿態に置かれたことは、 虚飾を剥ぎ取られた全裸の人間は、動物状態にあることを自覚させられるという意義にあった、 更に、身動きの自由を奪われる、縄による緊縛を施された姿に置かれたことは、 縄で拘束されて繋がれる、畜生同然の侮辱・屈辱・恥辱があらわされるという意義にあった、 そうして、頑丈な鉄格子の嵌った檻の中にあって、逃れることのできない境遇にあったことは、 鋼鉄製の檻、縄による緊縛、生まれたままの全裸、 という<三重層の密閉の構造>が示唆されることにあった、 <三重層の密閉の構造>は、<体制><制度><主体>の三者の関係が示されていることである、 <主体>は、<生まれたままの全裸>にある人間である、 動物状態のあらわされていることは、 食欲・知欲・性欲・殺傷欲という四つの欲求の野放図・放埓・無際限の行動にある、 この行動を抑止するために、<縄による緊縛>という<制度>がある、 群棲する動物である人間を<社会>という集団にまとめるために、 その土地や国に伝わる生活や行事などの習わし、風俗習慣、しきたりが<制度>として作り出されて、 <制度>に依って縛られることで、人間は、群棲する動物から社会的存在となることができる、 この<制度>が堅牢なものにあれば、それは、<鋼鉄製の檻>という<体制>である、 <因習>があらわされることになる、 <因習>は、人間にある、四つの欲求から作り出されるものであるが、 四つの欲求を抑止するためにある、必要不可欠にある、 反社会的行動とされることは、<制度>に依って縛られていることから逃れ出ようとして、 四つの欲求の野放図・放埓・無際限の行動があらわされるということで、 <生まれたままの全裸>にある人間の動物状態が如実とされることである、 囲繞された密閉の構造へ置かれた、<主体>は、 <主体>と意識することにおいては、囲繞された密閉の構造内部を意識することでしかあり得ない、 <自由>と言ったところで、構造内部における自由という意義でしかあり得ない、 この構造に置かれた、縄奴隷の女である、恵美子は、どのような思考をもたらされることにあったか、 暗闇と静寂の真底で、孤独にあるという不安と恐怖は、悲惨にある悲哀を感じさせられることにあった、 恵美子は、茶色の美しい髪を垂らさせて、がっくりと顔立ちを俯かせながら、 両眼をしっかりと閉じさせて、すすり泣きを始めているのだった、 どうして、このような浅ましい姿に置かれているのかという疑問が湧いた、 だが、すぐに、それが無意味な問いにあると感じられたことは、 柔肌を圧迫する縄の感触と身悶えすれば触れる鉄格子の冷たさは、今ある現実のものとして、 逃れられない状態にあることを否応なく悟らされることが答えでしかなかったからであった、 すすり泣きは、やがて、胸縄を掛けられて、せり出すようにされた両肩を震わせて、 泣きじゃくるまでになっていたが、身悶えさせて泣けば泣くだけ、 身体に巻き付けられている麻縄の感触が更に鋭敏になることを意識させられるのだった、 それは、胸高鳴る思いとさせられる、不思議な予感のある、快感の疼きを感じさせられることにあって、 そのありようの行き着くところは、性欲と性的官能の最高潮がもたらされる頂上であり、 その山登りの道を歩き出した途中にいると考えさせられることにあった、 思えば、私が縄に目覚めたのは、小学五年になった、十一歳のときだった、 リーダー格の麻衣子さんの家で、女友達数人で寄り集まって遊んでいたとき、彼女が悪戯心から、 じゃんけんで負けた者は、そこにある着物の紐で後ろ手に縛られ机の脚へ繋がれて、 皆がお菓子を買って戻って来るまでの間、独りで留守番させられるというゲームの提案をした、 私は、まったく気が進まなかったが、無理やり参加させられ、負けてしまった、 麻衣子さんは、やっぱり、一番可愛らしくて、一番大人しくて、一番きちんとしている、 あなたになったと大喜びしたが、私は、大いに不満を感じていた、 だが、負けは負けで、私は、紐で後ろ手に縛られたが、麻衣子さんは、それだけでは満足せずに、 胸の上部にも縄を巻き付けて、机の傍へしゃがみ込ませると、両足首をひとつにして縛るのであった、 それから、机の脚へ繋がれたことは、約束と違うと私に大きな不平をもらさせた、 麻衣子さんは、うるさいわねえ、じゃんけんで負けたのはあなたよ、 勝った者が勝手にするのは当然でしょうと言って、私の口は、手拭いで覆われるようにされたのだった、 麻衣子さん以外の残りの四人は、呆れたように、ただ、立ち尽くして眺めているだけだった、 そうして、部屋に独りで放置された、私は、思ってもみなかった目に遭わされことで、 驚きと戸惑いと不安をまぜこぜにされたような思いにあって、 部屋を出て行く、五人が最後に私の方へ投げ掛けた視線に、恥ずかしさを強く感じさせられたことは、 私は、恥ずかしい目にあっているのだと思うと、胸をどきどきとさせられることにあった、 両手を後ろ手に縛られ、両腕をがっちりと固定させられ、両足首を束ねられて、 その身体を机の脚へ繋がれていたことは、身動きのままならない、不自由を感じさせたが、 それに対して文句の言えない、口を覆われた手拭いがあっては、どうしようもなかった、 友達は、すぐに戻って来れる場所へ行ったことは分かっていたから、我慢するしかなかった、 だが、時間は大分経っていたが、戻って来なかった、後日、友達のひとりから聞いた話では、 麻衣子さんが公園で遊んでいこうと時間を延ばしたとのことだった、 時間が経過するにつれて、驚きと戸惑いは失せて、不安ばかりが膨れ上がってきた、 それでも、どうしようもなかったことは、惨めな思いを募らせるばかりにあった、 私は、泣き出したくなる気持ちで一杯だったが、懸命に我慢した、 だが、いつになってもあらわれない友達は、私をすすり泣かせていた、 私は、泣きじゃくった、くぐもらせられる泣き声は、いっそう、私を泣かせた、 そして、ひとしきり泣いた後だった、まだ、あらわれない解放者を思い知らされると、 私は、不思議な落ち着きを感じるようになっていた、そして、それは、 それまでにまったく感じたことのない、不思議な胸騒ぎを覚えさせることにあった、 それが後ろ手にされて重ね合わせた両手首を縛っている紐の感触にあることが分かると、 少し膨らみかけたふたつの乳房の上部へ掛けられた紐や両足首を束ねられた紐であることが分かると、 身動きのままならない、不自由な状態に閉じ込められているという思いが拡がって、 どきどきとさせる胸騒ぎが高まる、それが何故か、とても気持ちの良いものとして感じられるのだった、 紐で縛られている不自由な身体にあることが快感として感じられることにあるのだった、 部屋へ戻った女友達は、私がうっとりとなったまなざしを浮かべながら、 じっと待ち続けている姿にあったことを驚きの表情で見やるばかりにあったことだった、 それ以来、縛られるという経験はまったくなかったが、紐や縄を見るだけでどきどきするようになった、 中学一年の十三歳のときに初潮があったことは、同時に、 父親が家へ持ち帰った、一般週刊誌のグラビアを覗き見たことから、 初めて、全裸の女性が縄で縛られている写真を知ったことでもあった、 そのとき感じた、どきどきとさせる胸騒ぎが高まる感覚は、紐で縛られた記憶を甦らせるのだった、 全裸にある女性が縄で縛り上げられている姿、それは淫らであった、だが、興味を惹かれた、 そのような事情にあったことからすれば、高校三年生の十八歳になったとき、 麻衣子さんと偶然に出会ったことは、その結果からすれば、私には、まったく必然的なことだった、 小学校以来の再会ということで、麻衣子さんは、大変喜んでいたが、 私は、彼女からされたことを鮮明に憶えていただけに、単純に嬉しいとは感じられなかった、 それは、私がうっとりとなっている姿を見つめた、あのときのまなざしにあった、 他の女友達が驚きの表情を浮かべるなかで、彼女のまなざしだけは、食い入るような激しさがあって、 それは、まるで、嫉妬をあらわすかのような強い思い入れのあらわされたものにあったからだった、 それ以来、彼女は、私とは言葉を交わそうとはしなくなった、そして、別の中学校へ進学していった、 彼女は、勉強が良くできて、将来は学校の先生になるという夢を抱いていた、 今、通っている高校も進学校として有名だった、私のような並みの成績の者とは訳が違った、 その場ですぐに別れる気でいたが、麻衣子さんは、彼女の家へ遊びに来るように誘ったのだ、 その誘いを私は断ることができなかった、むしろ、望んでいたことを言われたように感じたことは、 私自身、意外だったが、それは、私を見る彼女のまなざしにあったことは確かだった、 強い思い入れのあらわされた、そのまざしは、紐や縄を見たときに感じる、 あのどきどきとさせる胸騒ぎを意識させたのであった、私は、それに惹かれたのだった、 彼女の家を訪問したのは、家族がすべて外出している日が選ばれたことは、 小学生のときとまったく一緒だった、彼女は、その方が気兼ねがいらないからだと言った、 私は、麻衣子さんの部屋で、彼女と相対すると、すぐに話し掛けられた、 「あなたは、小学生のときもそうだったけれど、本当に綺麗だわ、 美少女というのは、あなたみたいなひとのためにある言葉だと思う、羨ましいわ、 私も、もっと綺麗になりたいけれど、とても無理…… 私はね、実は、あなたが大好きだったこと、あなたは、気が付いていた?」 思ってもいなかったことを告白されて、私は、どぎまぎするばかりだった、彼女は続けていた、 「あなたは、この部屋で、私に着物の紐で縛られたことを憶えている? 私は、絶対に忘れないわ、あのときのあなたは美しかった、本当に美しかったから…… あなたとは、いつかは、めぐり会いたいと思っていた、 その思いがかなって、よかった…… あなたさえ嫌でなかったら、これからも、時々、会ってください」 麻衣子さんは、そのように言うと、頭を下げるのだった、 私は、驚かされるばかりだった、彼女の真剣さに言葉がなかなか見つからなかった、 「そ、そんな、私たちは、小学校の同級生だわ、 麻衣子さんのこと、嫌だなんて思ったことないわ、 嫌だったら、あなたの家へ来るはずはない……」 私の答えた精一杯の言葉だった、彼女は、微笑を浮かべて、有難うと言うのだった、 それから、机の一番下の引き出しから、ものを取り出した、 それは、使い古された麻縄の束だった、 私の胸は、どきどきと鼓動を始めていた、 そして、麻衣子さんが再び私を縛ることを求めてくるのではないかという予感を感じていた、 だが、その言葉は、意外だった、 「小学生のとき、あなたを紐で縛って置き去りにしたことを、私は、酷いことをしたと後悔しています、 私があなたを好きなのに、あなたは、私をまったく無視していた、 私は、あなたを酷い目に遭わせてやりたいという思いにあった、 じゃんけんのゲームは、あなたが負けてくれたら、絶好のチャンスだと思ってやったのです、 あなたは、負けてくれました、部屋へ戻る時間を故意に遅らせてまでして、 あなたに嫌な思いをさせてやりたいという思いを遂げることができたのでした、 けれど、それがひどく空しいことだと感じさせられたのは、部屋へ戻ったときに知った、 あなたの縛られた姿と表情でした、あなたは綺麗だった、 両眼をうっとりとさせて、みずからの置かれた酷い身上を超えた思いをあらわしていた、 私は、大きな衝撃を受けました、あなたには完全に負けたという思いにあったのです、 それから、ずっと考え続けました、そして、考え着いたことは、 あなたを好きになって、あなたが私に関心を寄せないのは、私に魅力がないからであって、 魅力のない私があなたへの嫉妬から考えたことなど、あなたの魅力には勝てないということでした、 それから、考えたことは、そのことを気付かせたことについてです、 紐で縛られた酷い身上をあらわすあなたがどうして綺麗に見えたかということでした、 それには、現在も答えは出ていません、私は、答えを探し続けているところです、 私は、本当に酷いことをしたのです、それだけは、事実です、 本当に、ごめんなさい…… 今日、あなたに会ったら、その罪滅ぼしができることを私は考えました、 それは、あなたが酷い思いをした以上の境遇へ私が置かれるということ以外にはありません、 どうか、この縄で、あのとき、あなたがされた姿に私を縛ってください、机の脚へ私を繋いでください」 そのように言うと、麻衣子さんは、手にしていた麻縄の束を机の上へ置いて、 身に着けていたブラウスのボタンへ指先を掛けるのだった、 私は、語られたことの内容に強い驚きと当惑を感じさせられて、返答ができずにいた、 ただ、相手を見つめるばかりであったが、麻衣子さんは、一念を発起しているように、 ブラウスを脱ぐと、スカートを下ろして、ブラジャーを取り外しに掛かっていた、 唖然とする、私は、止める言葉も思い付かず、胸がどきどきと激しい鼓動を打ち続けるままに、 ふたつの乳房の膨らみを見せられていた、ショーツがするりと脱ぎ去られて、 女性の最も恥ずかしい箇所を露わとさせられたときには、まるで、自分が全裸となって、 相手から見つめ続けられているという羞恥を感じさせられることにあった、 麻衣子さんも、羞恥にのぼせ上がったように、顔立ちを真っ赤とさせていたが、 私の方へ背中を向けさせると、両手をそろそろと背後へまわさせて、 両手首を重ね合わさせる姿勢を執ったのだ、 「恵美子さん、遠慮なんか要らないわ、あなたを泣かせまでして酷い思いにさせた女よ、 そこにある縄で、浅ましい姿に縛って、惨めで恥ずかしい思いへ突き落とせばいいのよ」 麻衣子さんは、叫ぶような口調で言い放ったが、その声音は震えていた、 私は、そこまでして私のことを考えてくれていた、麻衣子さんという女性を初めて感じた、 恥ずかしい全裸の姿を晒してまでして、思いを打ち明ける純粋な女性に改めて好感を持たされた、 「麻衣子さん、私は、あなたのことを嫌だなんて思ったことは、一度もありません、 あなたは、クラスでも一番成績が良く、行動力があって、何事においても、リーダーでした、 あなたのすることに従っていれば間違いがないと私はいつも思っていました、 じゃんけんのゲームで私が負けて、あなたからされたことを私は少しも恨んでいません、 だから、私にあなたを縛る理由などまったくありません、 あなたと私は、心を打ち明け合うことができる、本当の友達だと思っています、 だから、あなたが心を打ち明けたように、私も、思い切って、打ち明けます、 私があなたの誘いに応じて、今日、この部屋へ来たのは、 ひょっとしたら、麻衣子さんは、私をもう一度紐で縛ってくれるかもしれないと思ったからです」 私のその言葉を耳にすると、麻衣子さんは、私の方へ向き直っていた、 真顔の表情を浮かばせて、私の方をじっと見つめていた、 私は、そのまなざしに元気付けられるように、 これまで抱えていた悩みを打ち明ける決心をしたのであった、 「私は、あのときの経験以来、もう一度、紐で縛られてみたいと思っていました、 けれど、そのように考えることは普通ではありません、誰に話せることでもありませんでした、 ですから、私は、思うことはしましたが、そのようなことをすることは、考えていませんでした、 今日、あなたから、あなたを縛ってくださいと言われるまで、想像していただけでした、 けれど、あなたの態度と言葉は、私の思いをはっきりと固めさせたました、 そこにある縄で縛られるのは、私の方です、 信頼できる、好意を寄せられる、麻衣子さんに縛られることであるならば、 恵美子は、喜んで、あのときと同じ姿にしてもらいたいです、 あのとき、麻衣子さんに縛られたからこそ、あのような経験したことのない思いを感じたのです、 麻衣子さんだからこそできたことだと私は今はっきりと分かったのです」 私は、麻衣子さんの紅潮した顔立ちををじっと見つめていた、 麻衣子さんも私の赤く火照った顔立ちををじっと見つめていた、 ふたりには、もはや、交わす言葉は、必要なかった、 私は、一念を発起して、ブラウス、スカート、ブラジャー、ショーツを取り去って、 麻衣子さんと同様の一糸もまとわない全裸の姿態をさらけ出させたのだった、 それから、私は、彼女の方へ背中を向けると、両手をおずおずと背後へまわさせて、 両手首を重ね合わさせる姿勢を執った、 麻衣子さんにも躊躇はなかった、机の上に置いてある麻縄を取り上げると、一本をふた筋とさせて、 その縄頭を私の重ね合わさせた両手首へ当てるのだった、 その最初の縄の感触は、私の全裸の姿態をびくっと硬直させるほど、衝撃的なものにあった、 それから、縄を巻き付けられたことは、小学五年生のあのとき以来、紐や縄を見ると、 胸を高鳴らせる自分の不可解さを溶解させられていくように感じられたことにあった、 それは、自然で、凄く気持ちの良いものであった、 「恵美子さん、痛かったり、苦しかったりしたら、言ってね、 我慢したら駄目よ、これは、罰するために縛ることではないのだから」 私の敏感な反応に対して、麻衣子さんは、気遣ってくれて、心からの縄掛けを続けるのであった、 それが心からの縄掛けであったことは、後ろ手に縛られた縄は、身体の前へ持ってこられ、 ふたつの乳房の上部へ二重に巻き付けられてから、背後で縄留めがされたことにあった、 一本をふた筋とさせた二本目の縄が使われて、手首を縛った縄へ結ばれると、 乳房の下部へ二重に巻き付けられ、背後で一度結ばれてから、首筋を左右に振り分けて、 身体の前へ持ってこられ、胸縄の上部と下部へ絡められて、そこから左右へ振り分けられると、 腰付きのくびれへ巻き付けられて、背後で縄留めがされるという縄掛けにあらわされていた、 それは、びっくりするほど、上手な縄掛けにあった、 柔肌を締め付けてくる麻縄の感触はあったが、痛くも、苦しくもなく、 むしろ、縄に抱擁されているような温かさにあって、胸の高鳴りがそれを増させるのであった、 まるで、麻衣子さんの両腕で、しっかりと抱き締められている気持ちさえ感じるものであった、 私は、思わず、相手の顔立ちを見つめていたが、彼女は、大きく頷いて、 「私は、小学五年のあのときには、すでに、縄に興味を持っていたの、ませていたのね、 それから、誰にも知られずに、独りで、縄による緊縛というものを勉強してきたの、 緊縛なんて猥褻で異常なことに興味を持っていることなど、他人に話せることではなかった、 ましてや、女子が縄掛けを行うなんてことは、考えられないことにあった、 緊縛の世界は、縛者は男性で、女性は被縛者の位置付けにある、 これが常識だから、私は、その世界の中でも、異端者であったのかも知れない、 けれど、私は、どうしても、縛りたかった、それも、女性を縛りたかった、 そう思わせたのは、恵美子さん、あなたのせいなのよ、 あなたがあのとき縛られてあらわしたうっとりとした美しさ、それは、本当に綺麗だった、 私は、それを知ったことで、それが心に焼き付いて離れなかった、 そのような美しさがどうしてあらわれるのか、どうしたらそのような美しさをあらわすことができるのか、 それが問題となったことが縄による緊縛を勉強させたのよ、 しかし、それは、今も、答えの出ていないことにあるけれど…… だから、私は、精一杯の縄掛けをあなたにするわ」 と話すのであった、 私は、彼女ほど深くみずからを考えてきた訳ではなかった、 けれど、彼女の縄で縛られる身上を引き受けることくらいはできるのではないかと思えた、 官能を高ぶらせ始めている、彼女の縄は、私の思いをそのように強いたのである、 「麻衣子さん、あなたの縄掛け、恵美子は、大変上手だと思います、 恥ずかしいけれど、感じさせられます…… もっと、あなたに縄を掛けてもらいたいとさえ感じています……」 私は、そのように言い終わると、恥ずかしさのあまり、俯いてしまっていた、 人前で、全裸を晒しているばかりでなく、その裸姿を縄で縛られているありさまにあるというのに、 よくもまあ、そんな大胆なことが言えたかと思えるくらいに、私自身、不思議な思いにあった、 私の脳裏には、週刊誌のグラビアで覗き見た写真が思い起こされていたことは確かだった、 全裸の若い女性が畳の上へ跪かせられて、後ろ手に縛られ、胸縄を巻き付けられ、 その上に、股間にも縄を掛けられているというありさまのあらわされたものであった、 漆黒の陰毛の奥深くへもぐり込まされた、恥ずかしくも淫らすぎる縄に関心があったことだった、 私にも、その縄を掛けてください、 幾らなんでも、そのようなことを口に出して言うことは、とても、できなかった、 私は、顔立ちを真っ赤にして、ただ、俯き続けるばかりにあるのだった、 麻衣子さんは、思案しているように、全裸の姿態を直立不動とさせたままにあった、 それから、言った言葉だった、 「恵美子さんは、私が掛ける縄であれば、何でも構わないと言うの?」 私の方をしっかりと見つめて、はっきりとした口調で尋ねられたことにあった、 私は、もう、恥ずかしくて、彼女の方をまともに見ることができなかったが、頷いていた、 麻衣子さんの考えと私の思うことがひとつになったことは、彼女が新たな縄を手に取って、 一本をふた筋とさせて、縄頭を私のお臍の辺りへ持ってきたことであらわされた、 腰付きのくびれへ縄を巻き付けられたことは、高ぶらされていた官能を一気に燃え立たせて、 私は、直立させた両脚を震えさせていた、巻き付けられた縄が締め込まれると、 お臍で結ばれた縄は縦へ下ろされていったが、麻衣子さんの手さばきの優しかったことは、 股間へ通される縄掛けにおいて、見事に示されているのだった、 漆黒の淡い繊毛を掻き分けて、女の小丘に覗かせる亀裂へ嵌め込まれていく縄の感触は、 想像を絶する官能の高ぶりをもたらした、私は、ああっ、ああっと甘い声音をもらさせた、 女の割れめへしっかりと嵌め込まれた縄は、尻の亀裂からたくし上げられると、 腰縄へ結ばれていったが、私は、もう、女性の羞恥の箇所が刺激されたことで、 興奮が更に高まり、太腿の双方の付け根から波立つ疼きを意識させられると、 立っているのもままならなかった、私は、ううっ〜、ううっ〜と唸っていた、 そのような様子を、麻衣子さんは、縛り上げた縄尻を手にしたまま、 憑かれたようなまなざしで、見続けているのだった、 私は、生まれたままの全裸を後ろ手に縛られ、ふたつの乳房を突き出される胸縄を掛けられ、 腰付きのくびれを締め込まれる腰縄を巻かれ、女の亀裂に埋没する股縄をされた姿態にあって、 生まれてから、これまでに、これほど恥ずかしい姿になったことはないと感じていた、 その姿を他人に見られていることが羞恥の極まりというものを感じさせるまでになっていた、 そして、まわりを取り囲まれた羞恥の極まりの柵を打ち破る勢いの官能の高ぶりは、 ただ、寡黙になって、みずからへ集中させることにあった、 甘美な疼きが気持ちの良い波のうねりを始めていたことは、 我知らずに、もどかしそうに、腰付きをねじったりひねったりを繰り返させていた、 もはや、立っていることができずに、へなへなと床へ座り込んでしまった、私は、横座りの姿勢となって、 波に大きく揺られるようにして、込み上がってくるものをただ受けとめているのだった、 そのとき、気が付いたことは、紐や縄を見て、どきどきとした思いというのは、 この官能によるものであり、それを発揮させるみずからという存在があるのだということであった、 私は、そう思うと、恥ずかしさをまったく感じなくなっていた、 そのような気持ちの良さへ浮遊させてくれる、麻衣子さんに感謝を感じるように、 私のまなざしは、仰ぐようにして、彼女を見つめるばかりにあるのだった、 「綺麗だわ、恵美子さん、とても綺麗、 あのときよりも、もっと輝いている、本当に美しいわ、 私は、今、あなたを見つめていて、気が付いたことがある、 それは、私があなたを美しいと感じることは、それだけ、 私の官能は高ぶらされていることにあるということ、 高ぶらされる官能を上手に使うことのできる、みずからというものがありさえすれば、 美しいものはあらわすことができるということではないのかしら、 それが分かった気がする、 私は、今、一糸もまとわない、全裸の姿にあるけれど、恥ずかしいとは少しも感じていない、 このような思いは初めてだけれど、この思いにあるからこそ、 私は、美しいものがどのようにしてあらわれるのか、分かった気がするの、 これも、あなたのあらわす美しさのお陰だわ」 麻衣子さんは、そのように言うと、机の上の新たな縄を取り上げていた、 一本をふた筋とさせて、みずからの腰付きのくびれへ巻き付けていった、 締め込むようにしてから、お臍の辺りで結ぶと、残りの縄をなめらかな腹部を伝わせて、 漆黒の繊毛へもぐり込ませていった、優美な尻の亀裂からたくし上げると、 縄の嵌め込みを調整して、背後の腰縄へ結ぶのだった、それから、床へ腰付きを落すと、 私の隣へ横座りの姿勢となって、私を縛っている縄尻を自分の腰縄の背後へ結ぶのだった、 そして、両手を後ろ手にさせると、 環にさせておいた、残りの縄へ両手首を入れて、後ろ手縛りとさせるのであった、 私は、その様子をじっと見つめていて、 私と同様の全裸で緊縛姿となった麻衣子さんを本当に好きだと感じていた、 私が頭と肩を彼女の頭と肩へもたれ掛けるようにさせたことは、 彼女にもそれに応じる姿勢を執らせるのだった、 床の上に、全裸を縄で緊縛された、十八歳の少女がふたり、 頭と肩を寄せ合って、両眼を閉じ合わせながら、 高ぶらされるみずからの思いに没頭している姿にあることだった、 そうして、経過する時間は、理解し合える相手と肌を触れ合わせて、心を触れ合わせて、 気持ちの良い、甘美な快感に浸される、経験したことのない喜びがもたらされることにあった、 やがて、どちらからともなく、官能に上気した顔立ちを上げさせて、 お互いの思いを確かめ合うように、唇と唇を触れ合わせることにあったことは、 新しい認識の始まりと言えることにあったことだった、 裸になって、心を預けられる、麻衣子さんとの新たなお付き合いの始まりにあったことだった。 <囲繞の檻>の中へ閉じ込められて、思い出に没頭していた、恵美子は、 股間へ嵌め込まれている麻縄がしとどに濡れていることを感じていた、 全裸にあって、縄で緊縛されているという拘束感は、思うと思わざるとにかかわらず、 官能を高ぶらせることにあったことは、いつになったら、この身上から解放されることになるのか、 まったく、予測することができないという状況が強いる思いへ、更に、向かわせることにあるのだった。 (2015年11月24日 脱稿) |
☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (20) ☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (18) ☆縄による日本の緊縛 |