13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (16) 麻縄で緊縛された供物 ―縄の縛めに結ばれ合う母と娘― 借金返済で弁護士に相談



縄による緊縛という結びの思想・四十八手

(16) 麻縄で緊縛された供物 ― 縄の縛めに結ばれ合う母と娘 ―





娘である香織の幼稚園時代の先生であった、綺麗な慶子先生と美人と評判の高い母の恵美子は、
ふたりして、廃屋の一軒家のひと部屋へ入ったが、突然、扉は閉じられて、香織は置き去りにされた、
この経緯を憶えておられる方は、次の文脈へ違和感なく入れることにあると思われる。

しかしながら、その前段として、少々込み入った事情にある、
人類の状況というものについて、述べておく必要がある、
地球の温暖化という傾向は、人間の性欲と性的官能と直接の関係があるようには見えない、
人類の繁殖は、増加の一途を辿るという傾向にあって、負の要素があるとは思えない、
しかしながら、温暖化が気候現象を異常とさせて、生態系を脅かすことにある実態がある以上、
影響はないと言い切ることは難しいということはある、言い方を換えると、
絶滅種が増えるなかで、人類が増加傾向にあるのは、異常ではないのかという問題である、
確かにそうである、人類は異常である、創始以来の進化は、
他の動物種がおしなべて正常をあらわす周期性に従うことにあるとすれば、
周期性から自由となって、その異常を実現しようと邁進してきた歴史にある、
医療の跳躍の進歩が死亡率の低下をもたらしていることは事実である、
だが、死亡率が低下しても、出生率が上昇しなければ、漸進的な人口増加は起こり得ない、
繁殖を目的とした性行為という正常が人口増加を意味していることにあるとするならば、
先進国においては少子化の傾向にあっても、発展途上国においては出生増加の傾向にあるならば、
相対的に、人口増加に歯止めの掛かることはない、
そうしたなかで、人類には、同性愛という一般の動物には見ることのできない性愛のありようがある、
それは、同性にあるという肉体の構造上から、<生産性>を第一義とはしないものにある、
また、同性愛者が国家の体制と制度に依って守られる存在に向かっている潮流は、
更なる、同性愛者の増加があり得ることが予測されることにある、
にもかかわらず、人口は増加の一途を辿るばかりにあることだとしたら、
それは、漸進的な傾向にある、地球温暖化と無関係ではないという疑問が浮かび上がるのである。

慶子先生は、部屋へ入ると扉を開け放したままにしておいた、
それは、遅れて入ってくる者がいたことから、気を利かしたことにあった、
室内は、がらんとした洋間造りで、床には、真紅の艶かしい絨毯が敷き詰められていた、
向かい側にある大きな窓にも、同じ色の真紅のカーテンが掛けられていたが、
その前へ黒い小机が置かれて、戒名の書かれた位牌と小さな線香立ての壷があったことは、
部屋の雰囲気を妙にちぐはぐなものとさせていた、
その位牌の主は、突然の交通事故で亡くなった、恵美子の夫であった、
その恵美子は、隠させる布切れひとつない、生まれたままの全裸をさらけ出させていた、
真紅の絨毯を足元に、真紅のカーテンを背景にして、立っている姿態は、
天井からの落ち着いた照明の光を受けて、辺りを明るませるくらいに輝かせる、
乳白色の柔肌を露わとさせているものにあるのだった、
姿態は、後ろ手にされて、衣裳をまとわされるような縄を掛けられていた、
ほっそりとした首筋を左右に振り分けて、身体の前部の縦へ下ろされている麻縄は、
首元、胸、鳩尾、臍の上部、臍の下部に作られている結び目の間の縄が左右へ引かれていることで、
鮮やかに浮かび上がった四つの菱形の文様が綾なす目もあやな意匠とさせていた、
縄に囲まれて突き出すようにされた、可憐な乳首を付けた、
ふたつの乳房の隆起の美麗もさることながら、
縦縄が腹部から女の小丘の亀裂へ深く埋没させられている様子は、
その箇所を覆う漆黒の陰毛が奪われているだけに、
白無垢の柔和なふくらみにある女の割れめを匂い立たせる妖美として映らせるのだった、
と男性であれば、評価したことかもしれない、
そのとき、何者かが入ってきたように、部屋の扉がばたんと閉ざされたが、人影はなかった、
そのようなことは、まるで気に掛からないという様子で、
慶子先生は、恵美子を縛っている縄尻を引いて、窓の方へ行くように促すのであった、
恵美子の方は、気に掛からないというよりは、そのような他人事よりも、
みずからの緊縛された全裸の肉体が要求してくることに集中させられている状態にあった、
もはや、窓までの僅かな距離でさえ歩くことが困難だというように、
両腿を摺り合わせ、腰付きをねじらせて、込み上がってくるものを必死にこらえていたことは、
眉根を寄せ、綺麗な唇を噛み締めながら、噴き出させた汗まみれの顔立ちにあらわれていた、
か細い声音で頼みかけるのだった、
「慶子さん……お願いです……
一度昇らせて下さい……お願いです……」
立ち止まってしまった、恵美子は、哀願するまなざしを相手に投げ掛けていた、
だが、慶子先生の返事は、抑揚のない口調でこうだった、
「窓際の小机の前までは行きなさいよ、
あなたの愛するご主人に対する、本日の慰霊は、まだ、終わっていないのよ、
慰霊も終わっていないのに、あなたひとりが最高潮を極めて、喜びの快感を味わうなんて、
それは、身勝手というものよ、今、あなたが置かれている責め苦は、
あなたのご主人に対する思いがどれだけのものにあるかを試されていることでしょう、
あなたが膣と肛門に含まされている金属玉は、愛の珠玉と呼ばれているのじゃなくて、
それにしても、愛の珠玉とは、良く言ったものね、
宣伝チラシには、このように謳われていたわ、
『小箱の蓋を開いて、なかにある大小のふたつの玉を見たとき、
あなたは、その銀色の光沢を輝かせる金属玉を異様と感じるだろうか、
 パチンコ玉より遥かに大きいというだけで、
 その目的に使用できないということは、異様と感じさせるものではない、
 それが大小ふたつあり、パチンコ台の穴以外に何処の穴へ入るかということが、
異様を想起させることにある。
 形状記憶合金の材質は、一定の温度が加えられるとその箇所が熱く膨張し、
 更に、振動を加えられると、波型の小さなうねりをあらわすという性質を持っている、
 体温で熱せられてその作用点に達するまでに、大して時間の掛からないことが特徴である、
大きな方を膣へ、小さな方を肛門へ、同時に入れて使用されることが一般的であり、
その効能は、金属玉の発揮する、熱い膨張とうねりが性感帯を激しく刺激して、
性的官能を最高潮にまで高ぶらせるが、絶頂には到達させないということが肝腎な点である、
愛は、愛する者への思いを煩悶するまでに高ぶらせることにあるが、
愛の成就は容易ではない、このありさまと同様にあることから、
この愛らしいふたつの玉は、愛の珠玉と名付けられている、
末永くご使用戴ける、逸品である』
愛する者への思いを煩悶するまでに高ぶらせる、
如何かしら、そのような思いにまで至ることができたのかしら、
噴き出させた汗まみれの顔立ちの程度では、まだ、まだと思えるのですけれど」
慶子先生は、表情ひとつ変えずに、恵美子の顔立ちの苦悶の表情を見つめていたが、
夫に先立たれた、妻は、立ち尽くしているのがもはや限界というように、
縄で緊縛された裸身をなよなよとくねらせると、真紅の絨毯の上へ、へたり込んでしまうのだった、
「小机にある位牌の前まで歩いていく気持ちはないということね、
分かったわ」
白衣を身に着けた束髪の女性は、手にしていた縄尻を放り出すと、
備え付けの衣装戸棚まで行って、麻縄の束と手拭いを持ち帰ってくるのだった、
そして、顔立ちを俯かせ、横座りの姿勢で、懸命になってこらえている、相手の前へしゃがみ込むと、
その顔立ちを上げさせ、綺麗な唇を開かせて手拭いを噛まさせ、しっかりとした猿轡を施すのだった、
それから、なよやかな両肩へ両手を置くと、床へ仰臥させるように倒していった、
脱力させられたような状態になっている、緊縛の裸身は、されるがままにあるだけだった、
真紅の絨毯の上に仰向けとなっている、恵美子のしなやかな両脚は揃えられ、
両足首を束ねる縄が幾重にも巻き付けられると、縄留めが行われ、
残りの縄で、両膝を束ねる縄掛けがされるのだった、
このようにされたことは、双方の艶やかな太腿がぴたりと閉じ合わされることにあって、
女の小丘の亀裂へ深く埋没させられている股縄を肉を盛り上げるほどに沈めさせられるのだった、
手拭いの猿轡を厳しく噛まされた、未亡人は、あらがう言葉を封じられ、
全身を雁字搦めとされた緊縛によって、身動きをまったく許されないという状態へ落されて、
ただ、膣と肛門へ含まされた、大小の異様な金属玉と向き合うほかには術がない状況にあった、
今や、そのまなざしは、焦点の定まらない浮遊をあらわしていて、
その顔立ちの傍に立った、慶子先生の言葉も耳に入らないというありさまだった、
「あなたに慰霊という厳粛な行いができないのであれば、
せめて、愛するご主人のために、貞操をあらわす供物となって捧げられる身となることね」
そのように言い終わると、扉をばたんと閉めて、部屋を出て行くのであった、
ひとり、ぽつねんと部屋に取り残された、恵美子だった、
縄で緊縛された全裸の乳白色に輝く柔肌は、全身に行き渡って、汗の玉を浮かせていた、
雁字搦めに掛けられた縄の拘束は、両肩においても、腰付きにおいても、両脚においても、
必死にこらえているという身悶えをうごめかせるという程度にしかあらわさせなかった、
唯一、艶やかな茶髪を左右へ振って、いやっ、いやっと顔立ちを動かすことが自己主張と言えたが、
厳しい猿轡によってくぐもる自身の声音の空しさを感じさせられると、
じっとして寡黙にあることが最も楽だと考えるようになってしまうのだった、
だが、休息が訪れる訳ではない、ふっくらとさせた白無垢の女の小丘にあって、
ふた筋の麻縄を割れめへ深々と埋没させている箇所は、すでに、漏れ出させている愛液で、
縄の色は変わり、絨毯にも染みが出始めていることが察知できるのだった、
膣にある鋭敏な粟粒を金属玉によって熱く波打つように擦られ続ける激しい快感の疼きは、
肛門の中を金属玉が熱い膨張でうごめき続ける異様な快感と同調して、
官能は、高ぶらされるにまかせて高ぶるが、絶頂にまでは行くことはないという持続から、
快感の責め苦という状態が作り出されることにあるのだった、
恵美子の思いには、諦めの心境が生まれていた、
ごめんなさい、あなた、私を許して、
あなたの前へ、このような恥ずかしくも浅ましい姿をさらけ出させている、私を許して、
私は、本当は、あなたに縛られたかったのです、
だが、あなたは、私を縄で縛りたいなどとは一度も言わなかった、
言ったのは、あなたを見ることは、僕の希望だったのです、
あなたを見かけたときから、あなたと結婚することは、僕の思いにあったことです、
あなたの美しさに憧れた、僕の念願だったことです、という愛の言葉だった、
私は、私とあなたを結ぶ縄があることを心から欲していたのです、
私は、あなたに縛られたかった、あなたの手で縄掛けされたかった、
あなたの望む美しさとは如何なるものであるのか、それを私の姿態で実現して欲しかった、
あなたの前で、何もかもを露わとさせた晒しものになりたかった、
だが、あなたは、縛る縄に一度も手を触れずに、この世から消え去ってしまった、
だから、私は、あなたに見られたいという思いから、こうして、全裸の緊縛姿を晒させている、
あなたに捧げる供物として、私は、あなたへの思いを露わとさせている、
だが、あなたは、私を決して見ることができない、
この部屋に、あなたはいても、私に決して触れることができない、
この世にあって、姿を露わとさせている人間だけができることにあるからです、
だから、私を縛る人間が白衣を身に着けた束髪の慶子先生だったとしても、不思議はない、
先生から、着ている衣服をすべて脱ぎ去り、全裸になりなさいと言われれば、
先生の手にしている麻縄は、私が全裸になることを自然に行わせるのです、
それから、今日は、愛の珠玉という認識へ至ることをしますからねと言われたとしても、
私にとって、それは、責め苦に等しい扱われ方だと分かっていても、
小箱の蓋を開け、銀色の光沢を輝かせる、大小の金属玉を見せ付けられれば、
私は、両手をそろそろと背後へまわし、両手首を重ね合わさせて、待つだけにあるのです、
手首を縛られた麻縄が首筋を振り分けて身体の前へ持ってこられ、
首元、胸、鳩尾、臍の上部、臍の下部へ結び目が作られると一度垂らされて、
先生は、股を大きく開きなさいと言います、私は、おぞましさから拒む気持ちを募らせますが、
手首を縛られているという縄の拘束の感触は、私を相手の言いなりにさせてしまうのです、
先生のほっそりとした指先で、小さい方の金属玉が肛門へ押し当てられ、強引に含み込まされます、
次に、大きい方の金属玉が膣口へ当てられて一気に呑み込まされます、すぐに、
二箇所の穴には、蓋がされるように、身体の前へ垂らされていた縄が股間へ通されていきます、
女の小丘に覗かせる割れめへしっかりと食い込まされるように整えられながら、
尻の亀裂からたくし上げられると、手首を縛った縄へ縄留めがされるのです、
金属玉を膣と肛門へ含まされた、私は、冷たい異物の感触に、ぞっとさせられる思いになりますが、
身体の前面にある、五つの結び目の間の縄が左右へ引かれる縄掛けが行われていくと、
増していく股間の縄の張力は、女芽を擦るように、割れめへはまり込ませて、
冷たかった金属玉が温かくなるにつれて、膨らんでいく感覚を覚えさせられるようになると、
膣には、大きな金属玉を中へ収めるようにしたいという欲求が生まれ、
肛門には、小さな金属玉を外へ吐き出したいという欲求が生まれるのです、
だが、股間へ掛けられて、厳しく張力の増した縄に穴を塞がれているのです、
それは、膣に含まされている金属玉を快感の疼きで抱くように感じさせられながら、
肛門は吐き出したいという欲求にあるという正反対の状態にあるのです、
ふたつの欲求は、募れば募るほど、それが果たせない、強いもどかしさをもたらすのです、
けれど、金属玉は、膨らんでいるばかりではないのです、
やがて、波打つような感触を感じさせられるようになるのです、
それは、膣にある鋭敏な粟粒を擦るように刺激されることにあって、
全裸にある羞恥と柔肌を圧迫する麻縄によって、高ぶらされていた官能は、
激しく煽り立てられるばかりになることでした、それだけではありません、肛門においても、
高められていた排出の欲求が波打つような感触で一転して、甘美に疼かされる快感に変わるのです、
ふたつの箇所が同調するように、疼きの快感を高ぶらせてくることで、
私は、心臓を高鳴らせるまでの興奮へ導かれ、全身を汗ばむ状態にさせていたことは、
熱い膨張とうねりの状態が鎮まらない持続へ置かれることにあったのです、
それは、快感の責め苦と言えるものです、
高ぶらされる官能は、燃え上がり、燃え盛ります、押し上げられるまでに押し上げられます、
しかし、それ以上は、押し上がらないという官能の解放を奪われたもどかしさにあることです、
全裸を後ろ手に縛られ、菱形の文様が綾なす縄化粧を施され、
陰毛の取り去られた白無垢の女の小丘へ深々と縄をはめられて、
両膝と両足首を束ねられた姿態を真紅の絨毯の上へ仰臥させられているありさまは、
いつ終わりが来るのか分からないままにあるだけのものだったのです、
麻縄で緊縛された供物の姿にある、私だったのです、
ああっ、あなた、私を許してください、
私を許してください、私は、こらえきれずに泣きじゃくっています、
お願いです、昇らせてください、官能の絶頂を極めさせてください、
私は、行きたい、私は、逝きたい、
ああっ、ああっ、ああ〜ん……

「ママ、どうしたの、そんなにうなされて……
まあっ、ひどい熱、風邪をひいたのね、ソファでうたた寝なんかしているからだわ、
早く部屋へ行って、着替えてベッドで寝なさい、私が薬を持っていくから」
うなされるほどに、生々しい夢だったことは、気付いたとき、
眼の前にあった顔立ちが香織の優しさに満ちた表情であったことは、安堵感を招いていた、
だが、夢が夢だっただけに、恵美子は、返事もできずに、相手をまじまじと見つめるばかりにあった、
「どうしたの、そんな顔をして、そんなにうなされる夢だったの?
よかったら、香織に、どのような夢だったのか、聞かせて、
話せば、安心するわよ、きっと」
香織は、母がまだ夢を彷徨っているような茫然とした表情を浮かべていることを心配して尋ねていたが、
恵美子は、大きな両眼を見開いたまま、じっと見返すばかりにあるのだった、
官能を高ぶらさせて、行くに行き着けず、泣きじゃくるばかりの私の前にあらわれるのは、
綺麗な慶子先生のはずだった、先生に股間へ掛けられた縄を解かれ、
膣と肛門に含み込まされた金属玉を取り出されて、先生の愛情と愛撫に身を委ねること、
それが慶子先生の愛奴である、私の本分だったはずだ、
香織の幼稚園の先生だった、慶子先生は、或る日、私に香織のことで折り入って話があると言われた、
待ち合わせの場所が新宿にある有名ホテルだったことは意外だったが、
そのひと部屋を予約して、そこで話し合いをしようという要望は、普通とは思えないことにあった、
私も、広告代理店の仕事柄、普通とは思えない出来事に接するのは稀ではなかった、
だが、相手は幼稚園の先生だった、
私が指定されたホテルの部屋へ行くと、すでに、慶子先生は待っていた、
香織ちゃんは素直で頭の良いお子さんで、常識的です、
でも、あなたは、その親にあらずということがあるのではないのですか、
あなたが漂わせている、匂い立つような美しい風情は、独特の陰を帯びたものにあります、
社会的常識とされているものが陽であれば、その対極とされる陰というものにあることです、
その陰がどのようなものとしてあるかは、見るひとが見れば分かるというものにあります、
それは、その見るひとが同じ陰を持っていることにあるからです、
私も、同じ陰を持っている女にあるから、あなたの陰が分かるのです、
幼稚園で初めてご挨拶を交わしたときから、私は、あなたといつかはこうなると思っていました、
あなたも、きっと同じことを思われたに違いありません、
何故なら、それ以来、私のあなたを見るまなざしに私の思いをあらわすものがあるように、
私を見るまなざしにあらわれているあなたの思いを私は感じ取ることができたからです、
ですから、このようなものを突然見せられたとしても、
それが何を意味するものにあるか、お互いは、理解している女同士にあるということです、
そのように言われて、差し出された、麻縄のひと束にあった、
私は、まじまじとそれを見つめるしかなかった、
返答をするにも、相手の言ったことは、余りにも良く理解できることにあった、
はいを言うことも、いいえを言うことも、必要がなかった、
私は、ただ、相手の顔立ちをじっと見つめて、
両手をおずおずと背後へまわさせて、両手首を重ね合わさせる姿勢を執るだけで充分だった、
慶子先生の縄は、すぐに、私の両手首をひとつに束ねるように巻き付けられた、
縄留めがされ、後ろ手に縛った縄尻を取った、先生は、私の前へ立つと、
私の顎をほっそりとした指先で捉えて、自分の方へ向けさせ、
その綺麗な形の唇を私の唇へ重ね合わせてくるのだった、
その柔らかく甘美な感触を感じたとき、それから、縛ったままの私を優しく抱擁してくれたとき、
私は、初めて挨拶を交わしたときから、この方が好きだったことを確認した、
この方なら、私は、どのような扱い方をされても、愛されるという恩寵を感じられると思えた、
それからの二年間、香織が小学校へ入学するまでの時間、
私は、慶子先生の愛奴として、全裸になりなさいと言われれば、全裸となり、
取り除いた方がより美しく見えると言われて、陰毛を剃り上げられることを承服し、
縄で縛られた姿が一番似合うとされて、様々な手の込んだ緊縛の意匠を施され、
最後は、いつも、慶子先生も、一糸もまとわない全裸の姿となって、
縄付きのままの私と擬似陰茎を両端に付けた双頭の張形をお互いの膣へ挿入して、
官能の最高潮へ到達するまで絡み合うことを行うのだった、
夫を亡くした私にとって、それは、慰めをもたらされる、愛に満たされた時間にあったことだった、
それを思い起こさせた夢だった、
恵美子は、ようやく、我に返ったように、娘に答えるのだった、
「分かったわ、部屋へ行って、休むわ、ありがとう」
母は、寝室に入ると、着替えて、ベッドへ横になり、毛布を被って、娘の来るのを待つのだった、
その頃には、熱が上がっていたせいで、ぼおっとなってはいたが、
香織の優しさを思うと嬉しさが込み上げてきて、成人になった娘を頼もしく思うのだった、
やがて、寝室の扉がおもむろに開いて、
ブラウスにスカート姿の香織が愛くるしい顔立ちであらわれたが、
その表情は、鋭いくらいの真剣な面持ちにあったことは、恵美子を驚かせるのだった、
何かあったのだろうかという疑問が湧くのと同時に、部屋へ入ってくる、
娘が手にしているものを知って、母は、更なる、驚愕を感じさせられるのだった、
その手に握られていたのは、山吹色も鮮やかな真新しい麻縄の束だったのである、
ベッドの傍に立った、香織は、ふてくされたような物の言い方で語り掛けてきた、
「持ってきたわよ、風邪薬、
これって、あなたの身体には、一番良く効く薬だってことは、
あなたが一番良く理解していることだわね」
そうして、恵美子の顔立ちの前へ、山吹色の麻縄をぶらぶらと垂らして見せるのだった、
「香織ちゃん、何の真似なの?
風邪薬はどうしたの?」
母は、娘を見上げるようにして、当惑の思いから、おずおずと尋ねていたが、
返答は、怒鳴り返すような厳しいものだった、
「何が、香織ちゃんよ、気安く呼ばないでよ!
私を呼ぶなら、香織様と言いなさいよ、
あなたみたいに下劣なひとに対して、私は、絶対に、お母さんなんて呼ばないから!
さあ、縄を見せられたのだから、もたもたしていないで、
早く、そこで、一糸も身に着けない全裸の姿になったら、
この薬が欲しいんでしょ!」
娘の突然の言葉は、母を当惑の思いから驚愕へ、更には、狼狽へと逆落としにさせるのだった、
香織は、被っていた毛布を払い除け、相手の姿態へ、麻縄を投げ付けたのだ、
「どうして? どうして?
何があったの? 私が何か悪いことでもしたの?」
ベッドの上へ半身を起こしていた、恵美子は、おろおろしながら、横座りの姿態となったが、
香織は、怒りを込めた表情でにらみ付けて、答えるのだった、
「よくも、いけしゃあしゃあとそんなことが言えるわね、泥棒猫のくせに!
ひとの恋人を色仕掛けで奪っておいて、ふざけないでよ!
私は、あなたが春樹を縄の緊縛の戯れで誘惑している現場を見て、知っているのよ!
あなたは、一糸も身に着けない、生まれたままの全裸を恥ずかしげもなく、彼の前へ晒して、
彼から縛られる喜びに打ち震えながら、彼の男性自身を頬張っている姿を私は見たのよ!
あなたは、心底、私を侮辱したのだわ、
今度は、私があなたを侮辱する番よ、さあ、全裸になりなさいよ!」
恵美子には、相手の言ってることがまったく不明だった、まったく身に覚えのないことだった、
だが、言い返すことできなかった、あらがうことができなかった、
まなざしは、顔立ちを俯かせるように、横座りとさせている両脚の前へ置かれている、
山吹色も鮮やかな麻縄の束へ向けられるのだった、
それは、黄金の蛇がとぐろを巻いて、みそぎの儀式へ奉納される供物のように映るのだった、
私は、恐らく、娘に酷いことをしたのだろう、
それでなければ、娘がこれほどの怒りを露わとさせることはない、
私は、罰を受ける身なのだ、
娘からされる懲罰であるならば、それは、受け入れられる、愛する娘からされることにあるのだから、
恵美子は、そのように覚悟したことをあらわすように、ピンクのネグリジェを脱ぐのだった、
蠱惑を漂わせる、成熟した大人の悩ましさのある、真紅の艶かしいショーツひとつになったが、
娘に凝視されていたことにあっても、躊躇することなく、それも取り去っていくのだった、



一糸もまとわない、生まれたままの全裸を露わとさせた、母は、本能的に、
双方の手で、乳房のあたりと股間の箇所を覆い隠させていたが、娘がベッドへ上がり、
背後へ跪いたのを知ると、おずおずとほっそりとした両腕を背中へまわさせるのであった、
娘は、一本をふた筋とさせた縄で、母の両手首を重ね合わさせて縛った、
残る縄を身体の前面の鳩尾と臍のあたりへ巻き付けると、背中へ戻して、手首で一度結び、
更に、首筋の一方から身体の前面へ下ろすと、鳩尾と臍にある縄をひとつに絡めるようにして、
しっかりと引きながら、首筋のもう一方から背後へ戻し、手首で縄留をするのだった、
ふた筋とさせた二本目の縄を用意すると、背中の縦縄へ結び、
母の両脚の右側の太腿まで持っていって、二重に巻き付けると、背後へ戻すのだった、
それから、今度は、左の膝を折り曲げさせて、その脚まで縄を持っていって、
束ねるようにして太腿へ二重に巻き付けていった、残りの縄は、背後を伝わせながら、
再び、右側の脚の太腿まで持っていって巻き付けると、背中へ戻して、縄留めを行うのだった、
こうされたことによって、母の両脚は、左右へ大きく割り開かされるものとなっていた、
恵美子は、全裸の姿態へ掛けられていく縄があられもない体勢とさせていくことに、
両眼を白黒とさせるばかりであったが、逆らうという素振りを見せることはなかった、
娘が満足するようなことを親として引き受けるだけだと観念していた、
香織は、更に、ふた筋とさせた三本目の縄を使って、背中の縦縄へ結ぶと、
乳房の上部へ四重の縄として巻き付け、乳房の下部にも四重の胸縄として掛けて、
残りの縄は、右側の膝を折って縛った縄へ絡めてから、背後へ戻して、
その側にある腋の下から引っ張り出すと、
脚を引っ張る下部の胸縄と元の縄をひとつに束ねて、縄留めをすることで、
縄による緊縛の姿態を作り出したのであった、
手際の良い娘の縄掛けは、母を後ろ手に縛り、ふたつの乳房を突き出させる胸縄を施して、
しなやかな両脚を左右へ可能な限り開かせ、股間をこれ見よがしとさせる姿態とさせていたが、
そのようなあられもない姿に置かれた、恵美子は、真っ赤とさせた顔立ちをそむけるばかりにあった、
何か口にしようと言葉を探したが、まとまりのある言葉が見つからなかった、
だが、そのような必要はまったくないとするように、香織は、母の顎を捉えて口を開かせると、
口内へ布を押し詰めて、更に、その上から布を巻き付けて、
置かれた身上に有無を言わせないとする猿轡を噛ませたのであった、
恵美子のまなざしは、恨めしそうな思いを浮かばせて、香織の顔立ちを見つめるだけだった、
娘の表情は、毅然としているくらいに、冷淡な様子をあらわしていた、
母は、今や、逆らう素振りを行おうとしても、あらがう言葉を叫ぼうとしても、
身動きをまったく許されない全裸の緊縛姿と厳しい猿轡によって、
されるがままになる状態へ封じ込められた身上を観念する思いへ向かわされる以外になかった、
一糸も身に着けない全裸の姿態となったときから込み上がっていた、羞恥は、
掛けられる縄が増し、柔肌を圧迫して興奮させられるに従って、燃え立たせられ、
両脚を開かされて、ふっくらとした漆黒の陰毛をさらけ出されたことにより、燃え上がり、
ふたつの乳房を突き出させられるに至っては、燃え盛るまでになって、
ふたつの乳首が欲情でつんと立ち上がっていることでも明らかなように、
官能の甘美な疼きのうねりを恵美子へもたらしていることにあった、
そこで、娘が次に執った行動は、逃れられない境地へ追い込まれていくことでしかなかった、
香織は、母の両肩へ両手を置いて、枕を頭にさせながら、その姿態を仰臥させるのだった、
それは、もはや、恵美子に身体全体を火照らすほどの羞恥を呼び起こすものとなった、
それまでは、これ見よがしに両脚を開かせて、股間をあからさまとさせていると言っても、
ふっくらとした漆黒の陰毛が露わなだけで、肝腎の箇所は隠させている状態にあった、
ベッドの白いシーツの上へ仰向けに寝かされるということは、可能な限り開かせている両脚にあって、
それは、隠すものは、もはや、何もないという状態が作り出されることであった、
恵美子も、さすがに、それが理解できると、猿轡を噛まされた顔立ちを左右へ振って、
いやっ、いやっとまったく声音にならない声を上げるのだった、だが、無益な振る舞いに過ぎず、
されるがままになるだけの全裸の緊縛姿を思い知らされるばかりで、
羞恥に舞い上げられた、思いは、官能の激しい疼きを伴って、絶望感を意識させられるのだった、
娘は、ベッドの足元の方へ仁王立ちとなって、母の姿態をまじまじと見下ろしていた、
波打つ長い茶髪の女性がベッドの白いシーツの上へ仰向けに寝かされている、
鼻の下から顔立ちの半分を覆い隠す猿轡は、両眼の表情を伝えてくるだけで、見ようによっては、
それが誰であるかを特定できない、ただ、女性であることだけが分かる姿にあるとも言えた、
女性であることは、歴然としていた、
女性は、身にまとう衣服や下着の一切ない、生まれたままの全裸を露わとさせている、
可憐な乳首を付けた綺麗な隆起をあらわすふたつの乳房には、女性を見ることができる、
だが、それよりも遥かに生々しく見ることができるのは、
これ以上に開かせることは無理というほどに、大股開きとさせたしなやかな両脚は、
艶やかな太腿に挟まれた、股間を洗いざらいにさらけ出せて、
女芽、花びら、膣口、肛門の所在をつぶさに確認させる状態を作り出していることにあった、
それは、女性であれば耐え切れない、屈辱、恥辱、汚辱の状態に晒されていると言えることだった、
麻縄による緊縛は、肉を盛り上げて、柔肌へ食い込んでいる様子をあらわす、
被虐にある状態を激しい緊張感で伝えてくるものにあった
あらわす被虐とは、女性は捧げものとして置かれた肉体であるだけの存在に過ぎず、
男性の陰茎を待ち受けさせられている状態が示されているという以外には、
そのありさまを見ることができないという意味のあらわされていることだった、
「そうね、これが必要ね」
その意味することが決定的であるというように、香織は、ティッシュの箱を枕元へ置くのだった、
恵美子の火照り上がった顔立ちの表情は、両眼を閉じさせて、
高ぶらされる官能へ集中させられるありさまを露わとさせていたが、
それは、全裸で股間を晒された羞恥と余りにも厳しい縄掛けに舞い上げられて、
失神にまで追い込まれている状態にあるのではないかとさえ見ることのできるものだった、
恥ずかしく浅ましい姿にある緊縛の姿の極みにおいて、最高潮が求められる、
恵美子にとって、それは、<願望の緊縛絵画>の絵姿そのものにあったことは間違いなかった、
そして、娘から、次の言葉を聞かされたことは、
羞恥と官能の甘美な疼きに浮遊しながらも、総毛立つ思いとさせられることにあった、
「誰が好んでこのような屈辱、恥辱、汚辱の姿態をさらけ出すものですか、
下劣な人間だけができることじゃないかしら、
下劣なあなたには、下劣な行為がふさわしいということだわ、
いま、その下劣な行為にふさわしい相手を連れてくるから、待っていて、
あなたの捧げものとしての肉体を賞味してくれる、これ以上の男性はいないというひとだわ!」
そのように吐き捨てると、香織は、寝室を出て行くのだった、
恵美子には、舞い上げられた思いにあって、言われたことの意味を噛み締める気力が失せていた、
みずからが望んだ訳ではなくても、開かれた股間の羞恥の割れめは、花びらを開き切って、
開かれた膣口からは、おびただしい愛液があふれ出していることにあるのだった、
それは、求められれば、受け入れて、最高潮へ至りたいと思わせる、
女の思いを露わとさせているとしか映らせないものにあった、
浮遊させられる流し目で、恵美子は、扉口の方を眺めやっていた、
男性が立っているのだ、
それが男性であると分かるのは、一糸も身に着けない全裸の姿態にあって、
亀頭を赤々と剥き晒した陰茎を反り上がらせているのを見ることができたからだった、
陰茎は、二十歳の若々しい溌剌とした肉体における、美しいまでの硬直にあった、
持ち主は、もどかしいというように、腰付きをよじらせて、顔立ちを俯かせていた、
その理由が縄にあることを恵美子は理解することができた、
後ろ手に縛られ、首元から縦へ四つの菱形が鮮やかに浮かび上がる縄化粧を施されていたが、
非情な縄は、陰茎の根本に掛けられた縄を睾丸を挟むようにして、股縄とされていることにあった、
硬直を強いられ続ける、縄掛けにあることが察せられるのだった、
男性の姿態は、小突かれるようにして部屋に入れられた、
押し出したのは、縄尻を取る、香織であった、
娘は、母の仰臥するベッドの方へ青年を歩ませたが、そのとき、思わず、上げた顔付きは、
唇を割って噛まされた手拭いの猿轡をされていたことにあったが、
端正な面立ちは、香織の幼馴染みである春樹君に間違いがなかった、
それは、恵美子を驚愕させると同時に、不安と恐怖を一気に高まらせたことにあった、
春樹君は、香織の操る縄に従わされるしもべのように、ベッドへ上がらされていたことは、
されるがままをあらわしている、恵美子の全裸の緊縛姿と同じ身上にあることの明白を教えた、
香織が言い放った、捧げものとしての肉体を賞味されることは、必至になることだと思えた、
母は、両眼に懸命の思いをあらわして、美しい茶髪の髪を左右へ打ち振るって、
いやっ、いやっ、いやっとあらがう素振りを見せたが、
娘は、その様子を見て、涼しい表情で言うだけだった。
「そのような、いやっ、いやっなんて素振りを見せたって、媚態にしか映らないわよ!
愛液を垂れ流させて、見事に口を開かせているありさまは、あなた自身の思いのあらわれ、
春樹、あなたも、俯いていていないで、その赤々と反り上がらせた思いのままに、
しっかりと見て上げなさいよ、あなたが憧れる、美しいひとの露わとさせた美しい箇所を!
あなたが全裸の母を縄で縛り上げて言ったこと、私は、決して忘れないわ!
あなたを見かけたときから、僕の思いにあったことです、
あなたの美しさに憧れた、僕の念願だったことです、
その愛の告白が今かなえられることにあるのよ、
母も念願の緊縛姿にあって、ふたりの念願は、ひとつに結ばれるということだわ、
見なさいよ、母は、もう我慢ができないというくらいに、髪を振り乱して、
あそこの口を大きく開かせて、あふれ出せている愛液であなたを求めているじゃない、
この女は、あなたに捧げられた供物、
思う存分に、あなたは、賞味したら、いいわ、
あなたは、もう、私の愛する春樹ではなく、何処にでもいる、ただの男に過ぎないのだから!」
香織は、春樹を跪かせて、母の股間の間近にまでにじり寄ることを強要すると、
亀頭の口から、銀のひとしずくが糸を引くようにシーツの上へ落ちるのを見ながら、
根本をしっかりと掴んで、硬直している陰茎の矛先を潤んでいる膣口へあてがうのだった、
それから、背中の腰付きを足で蹴り押すと、陰茎は、呑み込まれるようにすんなりと入っていくのだった、
愛液の豊かさもさることながら、豊かな吸引と収縮の成せる業にあったことは明らかだった、
恵美子は、必死のまなざしを浮かばせて、緊縛の姿態をのけぞらせていたが、
びくっ、びくっと腰付きを痙攣させたことは、子宮にまで届く、奥深い挿入にあることが示されていた、
春樹の方も、緊縛の裸身を反らさせて、その豊かな吸引と収縮の感触に身を震わせていた、
香織は、最後の仕上げとするように、開かせた女性の両脚と男性の腰付きを麻縄で縛って、
互いを密着させた肉体が決して離れることはないという拘束へ置くのだった、
それから、ベッドを降りると、愛くるしい顔立ちに微笑を浮かばせながら、
小さな手を掲げて、バイ、バイという仕草をすると、寝室の扉をばたんと閉めて出て行くのだった、
高ぶらされた官能に舞い上げられる、恵美子は、挿入されている実感から、
射精されることだけは何とか避けたいと噴き出させた汗を振り撒きながら、
ひたすら、耐えるばかりにあるのだった、
だが、春樹の男性にある存在理由からの本能的な行動は、ゆっくりとした抜き差しを始めさせていた、
そうなると、陰茎に擦られる膣の鋭敏な粟粒は、突き上がる甘美な疼きの快感をもたらし、
ますます、膣の吸引と収縮を活発とさせていくことにあった、
春樹の陰茎は、その高ぶらされる快感から、強い抜き差しへ煽られるばかりにあるのだった、
恵美子の美しい顔立ちと春樹の端正な顔付きは、向き合い、間近にあった、
唇を重ね合わそうと思えば、容易にできる位置にあった、
だが、互いの猿轡は、口付けを交わすどころか、言葉さえ交わすことを禁じていた、
互いは、まなざしを交わすほかなかった、
春樹の浮遊するまなざしが限界を伝えていることを恵美子は察知した、
恵美子のうっとりとさせたまなざしが限界をあらわしていることを春樹は察知した、
ふたりの交わすまなざしは、ふたりの昇らされる頂上は、間際にあることを確認させるのだった。



そこで、我に返らされた、
我に返った、恵美子は、 一糸もまとわない、生まれたままの全裸の姿態にあって、
太い柱を背にさせられて、立ち尽くした姿勢を執らされているままのみずからを知るのだった、
みずからのありさまだけに照明を当てられ、暗闇のなかに浮かび上がる姿が如実とさせていたことは、
ふっくらとした白無垢の女の小丘をこれ見よがしに盛り上がらせ、
女性の亀裂を剥き出しとさせる、緊縛の縄化粧が施されているという身上にあることだった、
全裸で緊縛された沈思黙考は、続けられることでしかないという状況が示されていることだった、
このような状況へ置かれている経緯を思い返せば、
それは、露わとさせられた晒しものになる、私の姿を求める、男性の要望があったからだった、
廃屋の一軒家の二階にある、晒し柱へ繋がれる、あなたを見ることは、
あなたを見かけたときから、僕の思いにあったことです、
あなたの美しさに憧れた、僕の念願だったことですと告白されたことからの結果であった、
春樹という名の十五歳の少年から命じられるままに、私は、隠させる布のひと切れも与えられず、
緊縛の全裸を露わとさせられながら、引き立てられるように縄尻を取られて、
マンションの玄関先へ待機していた、黒塗りの大型車へ乗り込まされた、車内へ入ると同時に、
置かれている身上に有無を言わせないための目隠しと手拭いの猿轡が施されたが、
私は、ただ、大人しく従うままにあった、それは、これから連れて行かれる、
廃屋の一軒家の二階にある、晒し柱へ繋がれることの意味を知っていたからだった、
それは、拒絶をあらわさざるを得ない、酷い扱われ方をされることにあったが、
縄で拘束された身上は、言われるままになることへ仕向けられることでしかなかった、
やがて、車は目的地に着いた、私は、目隠しと猿轡のまま、廃屋の一軒家へ入られされ、
背中を小突かれるようにされながら、二階へ向かう階段を上らされた、
そして、部屋の中央に床から天井へ屹立する、晒しの太柱へ、
立居とさせられた全身像を正面にして繋がれたのである、
それから、しばらく待たされたが、ひとの気配が感じられなくなっていた、
目隠しと猿轡と縄による緊縛で封じ込められている思いは、室内に漂う静寂と暗闇の感触にあって、
不安と恐れを一層込み上げさせられるものとなっていた、
長過ぎる時間を意識させられたとき、私には、
まばゆいばかりの強烈な光が当てられたことが感覚され、突然、目隠しが取り外された、
目が痛いと感じさせられるくらいの眩しい照明に、私は、眼の前に立つ人物が見えなかった、
だが、私が案じていた通り、少年の姿は、もはや、そこにはなく、
代わりに、四人の白衣を身に着けた束髪の女性が立っているのだった、
彼女たちは、私を取り囲むようにして、それぞれが私を鑑賞吟味するように、
晒し柱へ繋がれた、私の全裸の緊縛姿を凝視のまなざしでつぶさに見続けるのであった、
手拭いの猿轡はそのままの私は、込み上げさせられる羞恥に、
顔立ちを赤らめさせて、まなざしを逸らさせるという以外になかった、
その私の仕草に、女性のなかのひとりが抑揚のない口調で評価するように言った、
「晒しものとなるのは、今日が初めてではないのに、
恥じらいを匂い立たせる風情を作り出すというのは、実に大したものね、
人間というのは、慣れてくると、躊躇や羞恥が段々と薄れてくるものにあるから、大胆になる、
ところが、このお母様は、節操を心得ていらっしゃる、ままにならない腰付きを精一杯よじらせ、
双方の無理な太腿を閉じ合わせて、股間を隠そうとするいじらしさをあらわしている」
それに続けて、もうひとりの女性が付け加えるのだった、
「父兄の間でも評判の美貌と姿態の持ち主ですもの、当然のことでしょう、
ほっそりとした首筋に支えられ、美しく波打つ茶色の長い髪に縁取られた、
端正な目鼻立ちの清楚な美貌にあって、撫でた柔和な両肩、細い両腕、
可憐な薄紅色の乳首を付けた、綺麗な隆起をあらわすふたつの乳房、形の良い臍、
優美なくびれの曲線を描く腰付き、 艶やかな太腿からしなやかに伸ばさせた両脚に至るまで、
あたりを明るませると思わせるくらいの乳白色の柔肌に覆われて、
女性にあることの存在感を見事に伝えるように、なめらかな腹部は、
女の羞恥を隠す、漆黒の陰毛をまったく取り去って、ふっくらとさせた白無垢の小丘に、
深々とした亀裂を悩ましいくらいにくっきりとさせているありさまにあるのですもの」
更に、三人目の女性が落ち着いた口調で語るのだった、
「本当に、いつ見ても、綺麗な顔立ちに綺麗な身体ですわね、
突き出させるようにふたつの乳房を上下から挟んでいる胸縄、
腰付きのくびれを締め込んでいる腰縄、
白無垢の女の小丘をこれ見よがしと盛り上がらせている股縄、
姿態の各所へ、肉体が歪曲するまでに掛けられている縄があるというのに、
これほど美しく映るというのも、
余程の身体の気遣いをして、毎日の生活を送っている、賜物なのでしょうね」
そして、最後の女性が冷やかに申し渡すのだった。
「しかし、その綺麗な顔立ちに綺麗な身体が思春期にある生徒を惑わすようなものにあるとしたら、
教師としては、間違った思いにあることを正しい道へと教育する必要があります、
このお母様が此処にいるのも、理由がない訳ではありません、
一糸も身に着けない、生まれたままの全裸とさせられ、
恥ずかしく浅ましい姿態とされる縄掛けを施されていることも理由がない訳ではないのです、
すべては、このお母様がみずから招いたことにあるのです、
私たちは、正しい道へ向かうための手助けを行うというだけです、
お母様は、良き教育ために捧げられる供物とされるのです」
そのように言い終わると、その女性は、近付いてきて、
上下の縄に挟まれて突き出させられた乳房にある乳首へ、ほっそりとした指先を当て、
ゆっくりとこねり始めるのだった、すでに、欲情で立ち上がっている乳首は、
すぐに、しこりをあらわすようになり、それを今度は摘むようにされると、
私は、思わず、手拭いの猿轡で塞がれている口から、ああっとくぐもらせた声音を漏らさせた、
女性は、更に、強く弱く、乳首を揉みしだいてから、その顔立ちを近付けると、
舌先を伸ばさせて、乳首の感触を確かめるように舐めるのだった、
「お母様の美しさは、見た目だけではないわ、
このしこらせた乳首の瑞々しさと言ったら、とても、三十八歳とは思えないわ、
感触は、かぐわしい香りを漂わせる果物みたい」
と言うと、口に一杯に頬張って、甘ったるい舌先の愛撫を始めるのだった、
それは、とても気持ちが良いものとして感じられ、私は、う〜ん、う〜んと唸らされていた、
そこで、もうひとりの女性が近付いてきて、もう片方の乳首へ同じことが始められたことは、
双方の乳首が伝える、甘い疼きの快感によって、
全裸にある羞恥と縄の拘束で高ぶっていた興奮を一気に股間の疼きとしてもたらされるのだった、
ふたりの女性にふたつの乳首を頬張られ、片方が強ければ、片方は弱く、
片方が激しければ、片方は優しくという舌先の柔軟で執拗で甘美な愛撫は、
う〜ん、う〜んと唸らされることにあるばかりか、腰付きをよじらせるまでになっていた、
私は、噛まされている手拭いの猿轡がもどかしいとばかりに、顔立ちを振ったことは、
三人目の女性を近付かせることになるのだった、女性は、猿轡を取り去ると、
「見た目だけの美しさにあるお母様でないことは理解できました、
乳首の愛撫だけで、こんなにも悩ましく姿態をうごめかせるのですから、とても敏感なんでしょうね
では、お口の方をいじったらどうなるのかしら」
と言いながら、私の顎を指先で捉えて自分の方へ向けさせると、唇を重ね合わせてくるのだった、
両腿の付け根を疼かされ始めていたことは、
今や、割れめを挟むようにして掛けられている縄の張力が増したようになって、
熱く甘美な疼きは、待っていたような思いで、私の唇を吸い付かせるのだった、
吸い付いて密着した、相手の唇の間からは、すぐに、尖らせた舌先が忍び込んできたが、
その甘美な感触は、煽り立てられるようなものでしかなく、求めるように、頬張ってしまうのだった、
含まされた舌先が私の舌先ともつれ合い絡み合う、悩ましいくらいの感触は、
両腿から込み上がる疼きを更に波立たせ、両脚を開かせようとする悶えとなってあらわれたが、
両脚を束ねるように、両膝と両足首へ巻き付けられた縄がそれを許さなかった、
最後の女性は、私の下半身の前へ屈み込むと、その拘束していた縄を解くのだった、
私の両脚は、思わず、開いた状態になっていたが、
屈み込んだ女性の両手は、双方の太腿を掴んで、更に、開かせる状態を作るのだった、
私は、休むことなく続けられている、ふたつの乳首と口中の舌先の愛撫に舞い上げられて、
抵抗するなどという思いはまったく湧かず、ただ、されるがままになるだけだった、
隠すべき陰毛を取り去って、ふっくらとした白無垢をあらわす女の小丘は、
股間の左右へ掛けられた縄により、これ見よがしに盛り上がらせられていた、
女の亀裂が深々とあらわされていたことは、両腿が開かれれば、
すんなりと指先を入れることを可能としていた、
女性の指先が差し入れられたという感触に、私は、思わず、腰付きをびくっとさせたが、
もぐり込まされた指先が確かめるようにうごめかされたことは、
くちゃ、くちゃ、くちゃという淫らとも言える音を立てさせられて、
ぞくぞくとした快感が双方の太腿から這い上がってくることをもたらした、
「お母様がとても敏感だというのは、これを見れば理解できますわ、
もう、すでに、あそこは、ぬるぬるで、ぐしゃぐしゃで、滑りやすいことは、
いつ男性がお越しになったとしても、お迎えする準備はできているということですわ」
女性は、濡れた愛液がしずくとなって落ちる指先を掲げて、
三人に見せるような仕草を執っていた、
私にとって、それは、羞恥と屈辱さえ煽り立てられる言葉以外の何もでもなかったが、
快感の気持ち良さで燃え上がっている官能は、
舞い上げられている思いをそれ以上のことを望ませるばかりにさせるのだった、
私は、彼女たちが目的としていることを知っていた、それは、絶対に拒絶したいと思うことであった
だが、屈み込んでいる女性の指先に女芽を探り当てられたことがもたらす快感の前には、
もう、どうでも良いことになっていた、
割れめへもぐり込んだ指先は、女芽を優しく柔らかくこねりまわしながら、
私がその鋭敏な触覚に対して、びくっ、びくっと反応をあらわすのを楽しむかのように、
急がず、焦らず、じっくりと、立ち上がるまでに愛撫されていくのだった、
時折、花びらへ気を移されたり、膣口の淵を撫でられたり、肛門の口へ出向いたりされながら、
一歩一歩高みへと官能を押し上げられていくのだった、
身体を縄で拘束されている不自由は、口を相手の舌に塞がれている不自由と相俟って、
ただ、受容するだけの私を官能の快感の虜とさせているのだった、
屈み込んでいる女性のもう片方の指先が下腹部へ触れたことを感じたとき、
私は、ついにきたという思いが募った、
その指先は、私の膀胱のある辺りの下腹部を撫で擦り始めたのだった、
私は、いよいよ始まったと意識させられると、突然、拒絶したいという思いが激しく募ったが、
口を塞がれて言葉には出せず、縄の拘束で身悶えして振り払う自由も奪われて、
全身へまとわりついた四人の女性たちから追い上げられるばかりの官能は、
ただ、昇りつめるために向かわされている、激しく甘美な疼きの津波でしかなかった、
女芽を激しくこねられる指先と下腹部の膀胱の箇所を強く擦られる感覚は、
ついには、最初の痙攣をびくっと腰付きにあらわさせた、それを素早く察知した四人によって、
追い込むばかりの熱心な愛撫を口中と双方の乳首と女芽と膀胱へ同時に行われたことは、
性的官能と尿意の絶頂が同時に解き放たれることを意味していた、
私は、汗を噴き出せて、こらえるのに必死であったが、官能の高潮と尿意は極まっていた、
時に至ったことを知った、女性たちは、晒し柱へ繋がれた、私の緊縛の全裸の左右へ、
それぞれふたりずつに分かれて立つと、左右の太腿と脹脛をそれぞれに持って、
可能な限り、両脚を開かせる体勢を執らさせるのだった、
大股開きとさせられた、私の股間は、もはや、あからさまな女の羞恥をこれ見よがしにさらけ出させ、
ぱっくりと開かせた花びら、とがった女芽、開かせた膣口、
すぼまった肛門の所在をありありと示して見せていた、
私は、大きくびくんと腰付きを痙攣させると、官能を昇りつめていた、
それと同時に、尿道口を明らかとさせた、放尿が始まるのだった、
小水がきらめきながら描く放物線のありさまと放出させる箇所を凝視されながら、
双方の太腿の付け根をびくん、びくんっと痙攣させ続ける、私は、
官能の最高潮を極めた快感と尿意の放出の快感を同時に感覚させられて、
両脚が床から離れて持ち上げられていたことにあっては、
天上の桃色の雲のなかへ浮遊させられる思いにあるのだった、
それは、激しい喜びをもたらすことにあったが、
泣きじゃくらずにはいられなかったことも確かなことだった、
そして、床に溜まった小水を恍惚となったまなざしで見つめているうちに気を失ってしまっていた、
気が付けば、そこに、白衣を身に着けた束髪の女性たちの姿はなく、
私は、一糸もまとわない、生まれたままの全裸の姿態を縄で緊縛された姿にあって、
太い柱を背にさせられて、立ち尽くした姿勢を執らされていた、
暗闇の室内にあって、私の姿が浮かび上がるように、強い照明が当てられていた、
私は、露わとされた晒しものとなっていた、
それは、亡き夫へ捧げられる供物となって、
私の思いを露わとさせるありさまにあることだった、
夫の前へありのままをさらけ出させたとしても、夫は、決して私を見ることはできない、
夫は、亡霊の存在にあるからだ、
私は、亡霊と相対しているのである、
亡霊とは、この世に姿をあらわさなくなった瞬間から存在するものにある、
この世から消え去った、すべての人間がそれにあたると言える、
亡霊には姿がなければ、男性でもなければ、女性でもあり得ない、
人類の創始にまで遡及される存在にあるという意味では、
亡霊は、過去の総体をあらわすということにある、
この世から消え去った人間の叡智の総体と言える、
姿を露わとさせている、私は、その亡霊と相対していることにある、
私は、その亡霊が如何なる叡智をあらわすものにあるか、それと相対していることにある、
亡霊が私に目覚めさせた叡智は、縄による人体の緊縛ということであった、
現在、姿をあらわしている、縄による緊縛の事象は、
その表現にある人間が亡霊から目覚めさせられた叡智によって具現したものである、
それは、同じ表現が繰り返されていくだけのありようあることではない、
目覚めさせられた叡智は、姿をあらわしている人間に依って、
新しい姿をあらわすことを可能とさせることにあるからである、
その人間がこの世に姿をあらわさなくなって、亡霊という叡智となることにあれば、
現在、姿をあらわしている、人間がその亡霊と相対することになるという因果にあることである、
私は、夫に対して、露わな晒しものとしての私を捧げる、
それは、夫が記した短い手記が発端にあったからである。


(2015年10月30日 脱稿)




☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (17)

☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (15)

☆縄による日本の緊縛