13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (15) 廃屋の一軒家の情事 ―縄の縛めに結ばれ合う母と娘― 借金返済で弁護士に相談



縄による緊縛という結びの思想・四十八手

(15) 廃屋の一軒家の情事 ― 縄の縛めに結ばれ合う母と娘 ―





廃屋の一軒家は、人通りの少ない、閑静な住宅地にあった、
そこを利用する者にとっては、比較的、他人から見られにくい状況にあったことは、
情事が行われる場所としては、最適とは言えないまでも、悪くはなかったのかもしれない。
香織が同級生の春樹君と最初に訪れたのは、中学三年生へ進級してからのことだった、
誰にも知られずに、ふたりだけで遊べる場所が欲しかったとき、
父が残した住居があることを香織が提案し、母に内緒で玄関扉の鍵を使って、ふたりは、そこへ入った。
だが、交通事故で亡くなった父の霊が管理するその家は、
想像を絶する現実を作り出すものにあったことは、
あくまでも、霊の力を信じるか信じないかに依ることにあるが、それは、
表現として示されていることを信じるか否か、表現として書かれていることを信じるか否か、
という問題が提示されていることでもある、つまり、霊の存在を信じているかどうかは、
表現として書かれていることを信じる限りは、霊を信じていなくても、文脈上の問題は生じないことにある、
問題となるのは、どのような理由があって、霊の力が発揮されることにあるかでしかない、
この点に留意すると、『縄の縛めに結ばれ合う母と娘』の全体性は、理解しやすいものとなる。
さて、廃屋の一軒家と言っても、放置しておいた場所ではなく、母と娘で定期的に掃除をして、
借り手がいれば貸したかったが、いずれは、売却することも想定していることにあった、
香織と春樹がふたりで過ごせる快適さは、充分にあったのである。
さて、香織が美少女にあることは、これまでの表現で知らしめたことにあると思われる、
春樹が優等生の美少年であることも提示されたことにあると思われる、
美少女と美少年がふたりして行うことの遊戯は、まず考えられることは、ゲームである、
お気に入りのゲームソフトをふたりで共有する感情と思考は、若者の定番の遊戯にあることである、
しかしながら、この場合、人間の主体をめぐる考察にあることから、
一般的な文脈から逸脱してしまうというのは、ゲームには違いなかったが、
ふたりの共有する感情と思考が求めたものは、縄によるゲームであった。
美少女と美少年は、実際は、地下鉄を使って、廃屋の一軒家へ行ったのであるが、
ふたりの共有する思いからは、次のような経緯で、その家へ辿り着いたことにあると想像できたことは、
すでに、始まっているゲームのなかにあったことだと言える。

香織は、中学校の校門を出ると駅の方へ向かい始めた、やがて、前方に待機していた、
黒塗りの大型車の扉がおもむろに開かれたことは、彼女を立ち止まらせることになった、
車内を見れば、乗っていたのは、同級生の春樹君だった、
春樹君が端正な顔付きを真顔の表情にして、香織の方をじっと見つめているのだった、
そして、頷いたことが少女を車に乗り込ませる切っ掛けとなったのだ。
車の扉が閉められて発進したが、隣り合わせに座った、香織と春樹は、
お互いを意識するばかりで、言葉を交わすことが始められなかった。
ようやく、車が目的地に近付くにつれて、春樹が切り出すのであった。
「香織さん、ぼくにとって、あなたは、気に掛かる存在だった、
あなたが男子生徒や女子生徒にさえ注目されている、美少女という存在をあらわしていたからだ、
だが、外観の美しさは、果たして、内面の充実を率直に反映させていることにあるのだろうか、
ぼくは、そのように考える、だから、ぼくがあなたのお母様から聞かされたことは、納得のいく話だった、
お母様は、このように言われた、女性は、優れた存在にある男性の支配を望んでいるものです、
それは、その支配に依って、みずからも優れた存在に引き上げられることにあると考えられるからです、
香織は、あなたにとって、幼い存在としか映らないでしょう、
けれど、あなたの支配を受ければ、彼女は、あなたの想像以上の成長を遂げるはずです、
それは、香織があなたを愛しているからです……
ぼくは、お母様の話されたことが理解できた、だから、お母様の言われる通り、
香織さん、あなたに命令します、あなたに、ぼくに従うという思いがあるなら、実行して下さい、
ここで、ショーツを脱いで……」
春樹は、端正な顔立ちに真剣な表情を浮かばせながら、香織にそのように告げるのだった。
美少女は、驚きと戸惑いから、愛くるしい顔立ちを赤らめながら、
大きな瞳を見開いて相手を見つめていたが、相手も、しっかりと自分の方を見てくれていることに、
恥ずかしさと緊張で、ほっそりとした両手は硬くはなっていたが、
座席から腰付きを浮かせると、チェックのスカートをたくし上げて、ショーツを下ろし始めるのだった。
春樹は、脱ぎ終わったショーツを香織の手から取り上げた、
その真紅の艶かしい下着は、隠すべき箇所の少なさによって、
誘惑的な色香を放つ目的を如実とさせていた、男性であれば触れてみたいと思わせる、
悩ましい箇所が一層の悩ましさの蠱惑を漂わせる、成熟した大人の色気のあるものだった、
美少年は、相手の顔立ちをじっと見つめながら、それを鼻先へ押し付けると深く匂いを嗅ぐのであった、
それから、制服の上着のポケットへ押し込むと、反対のポケットから、短い麻縄を取り出した、
「両手を背中へまわして、縛るから……」
と言ったのである。
羞恥で顔立ちを真っ赤にのぼせ上がらせている、香織には、意味の掴めない言葉にあった。
「早くして、間もなく、車が到着する、両手を背中へまわして!」
その語気が激しかったことは、香織に、命じられているという思いをはっきりと意識させたことにあった、
それは、<女性は優れた存在にある男性の支配を望んでいるもの>という母の言葉を思い起こさせて、
言われるままを素直に受け入れたことをあらわすように、おずおずと両腕を後ろ手にさせたことにあった、
春樹は、香織の華奢な両手首を重ね合わさせると、手際よく縄を巻き付けて、縛り上げていった。
「これで、香織は、ぼくだけの香織になった」
後ろ手に縛った縄尻をしっかりと握り締めて、相手の可憐な顔立ちの前へ掲げるようにして、
それを見せ付けながら、春樹が思い勇んだ口調で述べたことだった。
ショーツを取り去った股間という羞恥の感触の上に、縄で自由を奪われるという両手首の困惑の感覚は、
香織を狼狽に彷徨わせるばかりの寡黙に置かせることにあったが、思いを寄せる相手の宣言は、
嬉しさだけとは言い切れない、得体の知れない高ぶりと不安を感じさせられることでもあった。
黒塗りの大型車が目的地へ到着したことは、停車すると同時に、扉が開かれたことで知らされた、
春樹は、行動がもどかしい香織を掻き抱くようにして、優しい仕草で車から降ろすと、
その車庫にあった扉を開いて、屋内へ通じる薄暗い廊下を引き立てるようにして歩ませるのであった、
小さな広間へ出ると、落ち着いた照明がカウンターを浮かび上がらせている前までへ行って、
慣れた素振りで、春樹は、呼鈴を鳴らすのだった。
やがて、カウンターの奥から、白衣を身に着けた束髪の女性があらわれた、
縄で縛られているという尋常でないみずからのありさまを他人から見られることの羞恥は、
香織を俯き加減にさせていたことから、その女性と目を合わせることはなかった。
「予約しておいた部屋を頼みます」
春樹がそのように言うと、白衣の女性は、
「晒し柱と三角木馬を備えているお部屋ですね、こちらになります」
と答えて、部屋が幾つか並ぶ、広い廊下がある方へ向かうのだった。
白衣の女性を先頭に、後ろ手に縛られた香織、その縄尻を取る春樹と続いて扉の前まで行くと、
「こちらでございます」
と言いながら、案内された部屋であった。

「三角木馬ですって、拷問道具でしょう、それって、何だが、恐ろしいわね」
廃屋の一軒家の一階にある、部屋の扉を開きながら、香織は、肩をすくめるようにして、笑って言った。
「よくある設定だよ、支配的な主人が隷属する愛奴を愛の表現だと言って虐待する、
主人は、虐待すればするだけ愛を感じ、愛奴は、虐待されればされるだけ愛を感じるという奴さ」
春樹も、部屋の扉を閉めると室内を見渡しながら、笑って答えていた。
八畳ほどの広さの日本間は、押入れがあるだけの簡素な造りであったが、
掃除が行き届いているせいか、廃屋とは思えない、清潔な雰囲気が漂っているのだった。
「この部屋は、必要なときには泊まったりもするから、寝るための布団一式もあって、綺麗なの。
どの部屋も同じということではないから、ここがいいかなあと思って」
春樹の傍に立った、香織は、そのように説明したが、両頬は少し赤らんでいた。
「最高だよ、では、まず、布団を敷こう、ぼくがやるよ」
美少女は、部屋の隅に立って、美少年が押入れから取り出した夜具を丁寧に敷くのを眺めていた。
「できた、香織、此処へ来て、座って」
春樹は、学校の制服の上着を脱ぎながら、そのように言うと、
携えてきたバッグを開こうとしていた、香織は、躊躇しているようで動かなかった。
「心配ないよ、充分に練習を積んできたんだ、痛くはないよ」
美少年は、微笑を浮かべた表情で、相手を見やった、
香織は、引きつったような笑みを浮かばせながら、
「本当ね、絶対に痛くしないでよ、優しくしてね」
と言って、おずおずと布団に掛けた真っ白なシーツへ上がるのだった、
それから、腰付きを落して、横座りの姿勢にさせると、春樹の所作を見つめ続けるのだった。
美少年は、バッグから取り出した麻縄の束の数々を畳の上へ並べていた、
そのなかのひとつを取ると、香織の方へ近付いてくるのだった。
「やはり、セーラー服は脱がないと、縄を掛けにくいかもしれない」
間近に立った、春樹は、ぽつりとそう言うのだった、
美少女は、もう観念してますというように頷くと、リボンを解いて引き抜き、
紺色のセーラー服の上着を脱いだ、それから、相手を見たが、
春樹は仁王立ちとなったまま、素振りをあらわそうとはしなかった、仕方なく、顔立ちを赤らめながら、
腰付きからスカートを取り去って、純白のブラジャーとショーツとソックスだけの姿になるのだった。
男性の前に下着姿をあらわとさせた、香織の可憐な顔立ちは、羞恥で火照っていたが、
その脱衣を眺め続けていた、春樹も、高ぶらされる興奮から、顔付きを赤らめているのだった。
「両手を背中へまわして、縛るから……」
と告げられると、言われるままを素直に受け入れたことをあらわすように、
そろそろと両腕を後ろ手にさせていくのであった。
春樹は、香織の華奢な両手首を重ね合わさせると、
一本をふた筋とさせた麻縄を手際よく巻き付けて、縛り上げるのだった。
「どうだい、痛くはないだろう、インターネットでも、充分に研究したんだから」
美少女は、うんと頷いていたが、それは、言葉が出なかったからだった、
生まれて初めて、他人から縄で縛られたことにあった、
春樹から、縄による緊縛の遊戯を持ち掛けられたとき、興味を惹かれることだと感じたのは、
母が寝室で、全裸とさせた姿態へ、みずから縄を掛けて行う自慰行為を覗き見たことにあった、
それは夢に過ぎなかったことであったが、その余りの生々しさは、忘れらないことでもあった、
縄を見るとその夢のことが思い出されて、官能の不思議な高ぶりを感じさせられるのだった、
今もそうだった、春樹の手にした麻縄を見た瞬間、胸がどきどきと高鳴ってきて、
両手を背中へまわして、縛るからと言われたときには、きゅっと締め付けられるようになり、
ブラジャーとショーツとソックスだけの下着姿にあることの羞恥は、
両腕を後ろ手にさせていくことで一気に高まって、重ね合わされた両手首へ巻き付いた縄の感触は、
ぞくっとさせられるものであったのだ、縄で縛られるということがこれほどまでに官能を高ぶらせるとは、
想像もしていなかったことだった、だから、春樹からこのように言われたことは、衝撃的であった。
「胸にも掛けるからね、いいね」
胸にも掛けられる、それは、申し渡された言葉のように、頷くしかないものだった、
春樹は、後ろ手に縛った残りの縄を身体の前部へ持ってきて、ふたつの乳房の上部へ巻き付けると、
背後まで戻して、今度は、乳房の下部へ巻き付けて、再び背後へ戻して、
上部と下部の縄をひとつにまとめるのだった、こうされたことで、純白のブラジャーに隠された、
瑞々しいふたつの乳房は、大きさを増したように突き出させられるのだった、
それがみずからのまなざしで確認できたことは、香織を更なる寡黙へ追いやらせるのだった。
シーツの上へ、両脚をぴたりと閉ざさせた、横座りの姿勢を執っていた香織だったが、
春樹は、その姿のまま放置して、緊縛された香織の姿態をまじまじと鑑賞し始めた。
柔肌を圧迫してくる、麻縄の拘束感は、胸の高鳴りを身体のなかへ封じ込めるようにあったが、
込み上げさせられる官能は、高ぶるままに外へ広がろうとする不可思議な感覚は、
みずからをまじまじと見つめ続ける男性の視線を意識させられると、
思わず、顔立ちを逸らさせて、こらえるほかないという状況へ置かれることにあった、
何をこらえる、双方の太腿の付け根に疼き始めた甘美なざわめきである、
生々しい甘美なざわめきが、ふと、母が全裸とさせた姿態へみずから縄を掛けた光景を思い起こさせた、
双方の艶やかな太腿の付け根をきらきらとしたぬめりの輝きがおびただしく濡らさせている、
愛液の存在をあからさまとさせているありさまだった。
春樹が間近まで近付いてきていた、香織は、思わず顔立ちをもたげると相手を見やるのだった、
その顔付きは、両頬を火照らせて、ぎらぎらと輝かせた両眼を凝視させている、男性の表情があった。
「縄で縛られた香織は綺麗だ、
こんなにも香織が綺麗になるなんて、想像しなかった、
もう少し、縄を掛けてもいい?」
香織は、麻縄のひと束がすでに相手の手に握られているのを知ると、
艶やかなお下げ髪を揺らさせて、いや、いやと首を振った。
「もう許して、気持ちが高ぶってばかりで、私、変になりそうなの」
春樹は、拒絶をあらわす美少女の顔立ちへみずからの顔付きを近付けながら、
「苦しいのかい? 痛いのかい? 我慢できないなら、縄を解くよ」
そのように優しい声音で言うのであった。
香織は、縄を解くと言われたとき、両腿の付け根から込み上がる甘美な疼きに煽り立てられて、
首筋までも赤く染めながら、高ぶっていく快感を止めさせられてしまうことになるのかと思うと、
再び、いや、いやと首を振って、縄は解かないで、と叫んで、泣き出しそうになるのだった。
春樹は、拒絶を拒絶するという相手の態度が理解できないというように、
香織の傍に立ち尽くしたまま、茫然とした表情で緊縛姿を眺めやるばかりだった。
しばらく、ふたりは、そのままでいたが、やがて、顔立ちを見上げるようしてもたげた、香織は、
「わがまま言って、ごめんなさい……
もっと縛ってください、あなたが好きなように、香織を縄で縛ってください」
と言い出したのである、
その顔立ちの従順で可憐な表情は、男性を勢い付かせるのに充分なものがあった。
春樹は、相手の両肩へ両手を置くと、シーツの上へ仰向けに寝かせていくのだった、
香織は、身体を預けたように、されるがままになっているだけだった、
仰臥させられた、純白のブラジャーとショーツとソックスが隠させているだけの姿態は、
覗かせる雪白の柔肌を瑞々しく輝かせるものにあって、後ろ手にさせられて縛られ、、
胸の上下に掛けられた麻縄の荒々しさが綺麗な膨らみを痛々しいほどに映らせていたことは、
両眼を閉ざして唇を結んだ、愛くるしいばかりの顔立ちの表情の清純さに裏付けされたものだった。
春樹は、その美しさに魅入られたように、お下げに振り分けた艶やかな黒髪から、
綺麗な顔立ち、ほっそりとした首筋、膨らむ胸、細い腰付きと眺めて、
引き締まった太腿からしなやかな両脚へ視線を移そうとしたときであった、
思わず、股間を隠させる純白の下着に注意が向けられたのだった。
両脚は、羞恥をあらわすようにぴたりと閉ざされていたが、
僅かに覗かせる双方の太腿の奥に、ショーツの上にできた大きな染みを知ったのだ。
春樹は、香織が縄で縛られるという普通でない行為のために、小便を漏らさせてしまったと感じて、
えらいことをさせたという思いから、おろおろとなって、見つめるばかりになってしまっていた。
次の行動へ出ようとしない相手を察知して、
香織は、見られてしまったのではないかという羞恥の思いで一杯だった、
思い切って薄目を開け、足元の方を見れば、案の定、春樹は、股間の方を見つめ立ち尽くしていた。
香織の羞恥心は、逆撫でされたように燃え上がり、思わず、腰付きを悶えさせているのだった、
びっくりしたのは、見つめていた春樹の方であった、だが、そのとき、ようやく気付いたのだ。
「えっ、感じているということ? 中学生の女の子でも、感じるとこうなるの?」
香織は、春樹のその言葉に、恥ずかしさの余り、いてもたってもいられないというように、
緊縛された上半身をうねらせ、腰付きをくねらせ、両脚を悶えさせることにあった。
「恥ずかしいわ! もう、見ないで! もう、言わないで!」
そして、突然、拗ねたような口調で叫ぶと、顔立ちをそむけてしまった、
だが、逆撫でされた羞恥の燃え上がりは、太腿の付け根に疼いていた甘美なざわめきを一気に煽った、
それは、思いを寄せる男子であれば、もっと見てもらいたい、もっと言ってもらいたいと感じさせたことは、
不思議な戸惑いと狼狽と甘美がもたされることを意識させるものにあった、
そのとき、ふと、母が全裸とさせた姿態へみずから縄を掛けた光景が思い出された、
腰付きの優美なくびれを際立たせられる締め込みとされた、麻縄は、
なめらかなお腹まで下ろされて、漆黒の柔らかな茂みのなかにまで通されていた、
下腹部の小さな丘が盛り上がり、深々とした埋没のあらわされる、縄の淫靡が示されたありさまにあった。
香織は、顔立ちをそむけたまま、独り言をつぶやくように言うのだった。
「もう少し、縄を掛けたいと言ったくせに、嘘つき……
私は、ずっと待っているのに、あなたは、何もしてくれないのね、ただ、見るだけ……
見るだけじゃなくて、見ているそこへ縄を掛けてくれたら、どうなのかしら……」
それは、春樹の耳にしっかりと聞こえた、女の子の嬌声として理解できることにあった。
美少年は、麻縄の束を片手にして、仰臥する緊縛の姿態の腰付きのあたりを跨いだ、
それから、一本をふた筋とさせた麻縄を細い腰付きへ巻き付けようとした、
両眼を閉ざして、顔立ちをそむけさせたままの香織であったが、行われていることを感知すると、
みずから腰付きを浮かせるようにして、手作業の円滑化に協力するのであった。
一本をふた筋とさせた、麻縄は、腰付きへ巻き付けられ、くびれを際立たせられるように締め込まれると、
臍のあたりで結ばれて、なめらかな腹を伝わされ、下腹部まで持ってこられた、
股間へ通すことに躊躇したのは春樹であったが、香織は、そろそろと太腿を開かせて腰付きを浮かせ、
どうぞと言わんばかりに、純白のショーツに隠された女の小丘を見せ付けるようにしたのだった、
<女性が一念を発起すれば山をも動かす>と言い伝えられていることからすれば、
成人女性も、十五歳の少女も、女性であることの同等にあって、
悩ましい女の小丘を見せ付けることは、山に比較したら、大したことではないのかも知れない。
腰付きを締め込んで臍で結ばれた、麻縄は、純白のショーツをふっくらとさせている箇所へ当てられた、
香織は、腰付きをびくっとさせたが、それは間違いなく女性の割れめであると確認できたことだった、
春樹は、自信を得たように、沿わせるようにしながら、股間へもぐらせていった、
それから、腰付きを掴んで、ひっぺ返すようにして、仰臥している姿態を横臥させたのだが、
それも、香織の協力があればこそ、滞ることなく進めることができたのであった。
美少年は、美少女の尻の亀裂から縄をたくし上げると、腰付きに巻き付けられている縄へ絡めた、
更に、股間の縄を整えるようにして引かれたことは、縄を純白のショーツへ沈み込ませ、
女の小丘へ埋没した縄は、割れめの存在を一気に如実とさせることにあった、
背中の腰縄でしっかりとした縄留めがされたことは、香織に異様な感覚を覚えさせたことでもあった。
春樹は、出来具合を見ようと、再び、相手の腰付きを掴んで、仰臥の姿勢へ戻したが、
香織は、もう、されるがままだった、甘美に疼いていた、双方の太腿の付け根は、
股間の縄を掛けられたことで、燃え上がるような熱い感覚を割れめから伝えてくることにあったのだ。
春樹は、まるで、美しいものに憑かれたように、立ち尽くした姿勢のまま、凝視するばかりにあった、
上半身は、ブラジャーに隠されたふたつの乳房の上下へ巻き付けられた、厳しい胸縄が施されていた、
下半身は、腰縄からの縦縄が羞恥を覆ったショーツへもぐり込んでいる、妖美な股縄が掛けられていた、
お下げに振り分けた艶やかな黒髪に縁取られた、愛くるしいまでの可憐な顔立ちは、
緊縛という拘束に置かれて、両頬を火照らせた悩める表情にあって、
その大きな両眼のなまなざしは、込み上がってくる官能へ集中させられるように、
愛らしい唇を薄く開かせながら、虚空の一点を見つめ続けるばかりにあるのだった。
春樹は、もう、もどかしいというくらいに、ズボンを突っ張らせて、陰茎をもたげさせていたが、
香織も、それに負けないくらいに、官能をのぼせ上がらせている状態にあるのだった、
割れめへ深く食い込まされた縄によって、鋭敏な女芽と膣口と肛門を刺激され続けたことは、
突き上げられるような甘美な疼きを双方の太腿へもたらして、
行儀よく揃えさせていた、しなやかな両脚を我知らずに開かせていくことにあるのだった。
悩ましいばかりに高ぶってくる性的官能を感じながら、香織は、母の全裸の緊縛姿を思い出していた、
恍惚とさせた表情を露わとさせて、姿態を悩ましく悶えさせながら、ひたすら昇りつめていこうとする、
母がその嬌態にあることの理由がこうして感じている快感にあることが分かるのだった、
そして、ママと一緒になれたという思いが嬉しさを込み上がらせたことは、
このようなおねだりをさせたことでもあった。
「お願い、もっと縄で縛って、膝も、足首も」
官能を高ぶらせている春樹も、求められているという思いからは、相手に従うばかりにあった。
春樹は、縄束を取ってくると、縄の食い込んだ股間を晒すというように開かせた、
香織の両脚をひとつに揃えさせて、一本をふた筋とさせた麻縄をほっそりとした両足首へ巻き付けた、
二重に絡めて縄留めをすると、残りの縄を両膝まで持ってきて、同じことを繰り返すのだった。
このようにされたことで、香織は、シーツの上で容易に身動きの取れない状態に置かれたが、
その緊縛の拘束は、両腿をぴたりと閉じ合わさせられたことによって、
食い込まされている股間の縄を更に押し込ませることになっていた、
鋭敏な女芽と膣口と肛門は、熱く焚き付けられて、太腿の甘美な疼きを大きく波立たせた。
母の全裸の緊縛姿と同様の緊縛姿に置かれたことにあるのだという思いは、
香織を一気に解き放っていた、お下げに結った艶やかな髪を左右へ打ち振るい、
ああ〜ん、ああ〜ん、いやっ、いやっ、と甘美な声音を上げながら、
縄で緊縛された姿態を可能な限り、うねらせ、くねらせ、悶えさせながら、
女の官能を昇りつめるありさまをあらわし始めたのだった。
立ち尽くして、見つめ続けるばかりの春樹も、反り上がらせるまでになっている陰茎は、
思わず、穿いていた制服のズボンを脱がせることをさせているのだった。
下着を露わとさせた下半身を知った、美少女は、その突っ張らせている男性の箇所へ、
官能の快感に舞い上げられた、潤んだ、情欲のまなざしを投げ掛けていたが、
美少年は、やり場のない、官能の高ぶりのもどかしさには、こらえることしかできなかった。
「来て……」
そのように漏らさせた声音は、余りにも小さかったが、両眼を閉ざさせて、
綺麗な形の唇を半開きとさせたことは、美少年のこらえる限界がその意味を理解させたことにあった。
春樹は、トランクスを脱ぎ捨てると、香織の顔立ちの傍まで行って跪いた、
迎えるようにして顔立ちを横に向けさせている、美少女の口は可愛らしい舌先を覗かせて、
差し入れられてくる美少年の銀のしずくが糸を引く陰茎を躊躇なく頬張っていくのだった。
ふたりが互いの鋭敏な感触を知った瞬間、愛撫などという猶予はすっ飛ばされて、
美少女は、びくんという痙攣をあらわして昇り詰めていった、
美少年も、ぶるっという痙攣をあらわして放出を果たすのだった、
それが廃屋の一軒家における、香織と春樹の情事の始まりであった。

逢瀬が重ねられれば、下着を身に着けていた姿態も、半裸となり、やがては、全裸となる、
縄掛けの仕方も、後ろ手に縛っての胸縄、腰縄、股縄から、更に、意匠の凝らされたものとなったのは、
被縛者である、香織は、顔立ちの愛くるしさだけの美少女ではなく、その全裸が露わとさせた姿態は、
雪白に輝くなめらかな柔肌にあって、小さな顔立ちを支えるほっそりとした首筋、
柔軟な両腕と小さな両手、可憐な乳首を付けた瑞々しいばかりのふたつの乳房、
くびれた腰付き、優美な曲線を描く尻、ふっくらとさせた漆黒の陰毛が慎ましく羞恥を隠す女の小丘、
しなやかに伸ばさせた両脚、引き締まった足首、小さな足に至るまで、
荒々しい麻縄に馴染むという柔和な美しさのあらわされた女体であったことだった、
それは、縛者である春樹を縄掛けの熟達者とさせるように励ます、存在感のあるものであったのである。
やがて、ふたりがお気に入りとする、緊縛美が作り出されることになるのだった、
八畳の広さにある日本間の中央に屹立する、白木造りの晒し柱がその陳列台であった、
美少女は、生まれれままの全裸の姿態を露わとさせて、
トランクス一枚の格好にある美少年の前へ、直立不動の姿勢を執っていた。
男が手にした麻縄を掲げるようにして見せると、女は、ほっそりとした両腕をそろそろと背後へまわさせ、
両手首を重ね合わせるのだった、それは、率直で従順にある思いのあらわれとして映るのだった。
美少年は、美少女の背後へまわると、一本をふた筋とさせた麻縄を相手の手首へ巻き付けた、
縄留めをすると、残りの縄を首筋まで持っていって、左右へ振り分けた、身体の前部へ垂らさせると、
首元で結び目を作るのだった、残る縄を縦へ下ろして、乳房の上、鳩尾、臍の上、
臍の下と順次に結び目を拵えていった、香織は、人形のように、真剣な表情の顔立ちをしっかりと上げて、
されるがままになっている、だが、下腹部へ縄が垂れ下がっているのを感じたときは、
みずから、おずおずと両脚を開かせて、春樹が縄を股間へ通させる作業に協力するのであった、
女の小丘に覗く割れめへ当てられた縄は、漆黒の陰毛を掻き分けて沈み込まされ、
優美な尻の亀裂からたくし上げられると、整えられるように引かれて、手首の縄へ結ばれた、
二本目の麻縄が一本をふた筋とされて、その縄頭が背中にある縦縄の上方へ結ばれると、
身体の前部へ持ってこられて、首元と乳房の上にある結び目の間の縄へ絡められ、
背後へ戻された、反対側から同じ縄掛けが行われたことによって、菱形が一つ浮き上がった、
背中の縦縄で一度結ばれると、残りの縄が再び身体の前部へ持ってこられて、
ふたつの瑞々しい隆起をあらわす乳房の上部へ掛けられ、縦縄へ絡められてから背後へ戻された、
そこで、背後の縦縄で結ばれてから、身体の前部へ持ってこられると、
鳩尾と臍の上の結び目の間にある縄へ絡められて背後へ戻され、反対側からも同じことがされ、
背後の縦縄で縄留めがされた、それで二つ目の菱形が浮き上がった、
この縄掛けにおいて、股間へ食い込まされている縄の張力が増してきたことは、
眉根を少し寄せて、まなざしは集中させられるような凝視に変化する、その顔立ちの表情に見て取れた、
三本目の麻縄が一本をふた筋とされて、背中の腰付きの辺りで結ばれると、
身体の前部へ持ってこられて、臍の上と臍の下にある結び目の間の縄へ絡められ、
背後へ戻されると、反対側から同じことが成され、縦縄へ結ばれて、三つ目の菱形が浮き上がった、
残る縄は、優美な尻の亀裂から股間の右側へ通されると身体の前部へ持ってこられて、
臍の下の結び目まで上げられて絡められると、今度は、身体の前部から股間の左側へ通された、
尻の亀裂からたくし上げられた縄は、左側から腰付きを沿わせられて、
前部にある左側の縦縄へ絡められると、引かれながら背後へまわされて、
右側の腰付きへ沿わせられ、右側の縦縄へ絡められて引かれると、背後の縦縄で縄留めがされた、
これによって、女の割れめに食い込まされている縦縄を中央にした、
腹部を大きく覆う、四つ目の菱形が浮き上がることになって、完成した。
これがふたりがお気に入りとしている緊縛美にあることは、当然、鑑賞されることが求められた、
春樹は、香織を縛り上げた縄尻を取ると、引き立てるようにして、
陳列台となる、白木造りの晒し柱まで歩ませるのだった、
柱を背にして立たされた、美少女は、縛られている両手首を柱へ繋ぎ留められた、
それから、美少年の手によって両足首を掴まれて、しなやかな両脚を割り開かされ、
柱を跨ぐような具合にまで広げられたことは、爪先立ちをせざるを得ない姿勢とさせることにあった、
柱を背にして反り返ったような姿態となった、全裸の緊縛姿は、その美の表現が固定されるように、
一本をふた筋とされた麻縄が柱の下の方へ幾重にも巻き付けられて結ばれ、
そこから、双方の足首へ幾重にも巻かれる縄が振られる縄掛けが行われて、終了するのだった。
端正な顔立ちを興奮で火照らせている、美少年は、穿いているのがもどかしいというように、
トランクスを脱ぎ捨てて、反り返る陰茎も若々しい全裸の姿態を露わとさせていた、
それから、美少女の全身像を鑑賞できる位置にまで下がって立ち、眺め始めるのだった。



美しいと認識することにおいて、性的官能が関与していることにあるのは、人間の生存において、
性欲と性的官能は四六時中活動していることにあるという観点からすれば、当然の事態にあると言える、
しかしながら、性欲と性的官能は、<猥褻・卑猥・下品>といった<下の事柄>にあるとすれば、
<美しい>と評価する価値判断が<崇高・高貴・上品>といった概念にある場合、
性的官能の関与を容認することは、<相反・矛盾>をもたらすことにある、
<崇高・高貴・上品>は<上の事柄>であり、<下の事柄>と同等の価値にはないからである、
従って、<美しい>と価値判断することは、<下の事柄>を対象とすることはあり得ない。
この定義に従えば、猥褻な全裸へ卑猥な縄掛けを行って下品な姿態をあらわす、
縄による緊縛行為の表現は、<美しい>と価値判断する対象にはないということになる、
それでも、<緊縛美>と称することは、独善性の価値判断にあると見なされることでしかない、そこから、
<上の事柄>の<正統な美>に対する<下の事柄>の<異端の美>という位置付けを作り出すことで、
独善性をまぬがれるという方法がこれまで取られてきたことにあるが、
或る概念と或る概念の<相反・矛盾>にあることは、依然として、変わるものではない。
これは、概念に依って秩序化された、<体制と制度>を支えるものとして、
<善・悪>という二項対立の概念的思考方法が根本的にあるということから成立していることにある、
従って、<緊縛美>という問題は、善悪の彼岸を考察することを促されるということにある、
言い方を換えれば、<異端の美>という概念の彼岸へ行き着くということでもある、
それは、<ひねる・ねじる・よじる>という<結びの思想>に従った方法が行き着かせることにある。
人類が他の動物種とは異なり、<発情期>に従った、規則正しい周期性から超脱して、
異質の固有を歩んできた進化は、そこから先の問題と向かい合ってきたという歴史にあることである、
そこから先の問題とは、人間の性欲と性的官能は、日常茶飯事、四六時中、活動しているものにある、
と見なすことは自然な認識にあると考えられるのは、そのありようの実際である、
発情期の周期性に縛られずに、平等と自由に基づいて、性的行動を行うことの可能が示されている、
性欲と性的官能の活動が人間として在ることのすべての表現に関与するものにあると考えられるのは、
当然のことにあるとした場合、では、どのような関与としてあり得ることにあるのか、
この問題と向き合ってきた、すべての性の探求者は、人間の認識における、偉大な先駆者にある、
この問題は、人間存在の主体性ということを如実に取り扱う以外のものではないからである、
人間の進化は、固有な存在として、如何に自由を獲得して、自立して生存することが可能にあるか、
その答えを求める活動であることは、人間存在の主体性の進化に依存していることである。

突然、ばたんと部屋の扉が開かれた、
白木の太柱を背にして、生まれたままの全裸の姿態を後ろ手に縛られ、
股間を締め込む三重の縄を強調されながら、菱形の織り成す意匠の縄掛けを施されている、
美少女は、身動きを封じられた、反り返るような姿勢で繋がれた肉体にあって、
高ぶらされ、燃え立たせられ、燃え上がるままに、官能の快感を押し上げられている最中にあった、
そのありさまを情欲に潤ませたまなざしで見続ける、興奮の最高潮の美少年は、
生まれたままの溌剌とした全裸の姿態を仁王立ちの姿勢とさせて、
反り上がらせた陰茎の口先からは、銀のしずくが糸を引くという状態にあったことは、、
ばたんという扉の開放音は、天下の公道で、雌犬と雄犬が発情期の交尾を行っているありさまを見て、
子供の教育に悪いからと大人がバケツの冷水を掛けて離させるのに似た効果があるものだった。
驚愕した、香織と春樹は、我に返らされたように、ほぼ同時に、出入り口の扉の方を見やっていた、
あらわれたのは、ふたりの白衣を身に着けた束髪の女性であった、
そのひとりが誰であるかを知ったとき、香織と春樹は、ほぼ同時に、震え上がった、
中学校の担任教師である、真美先生だったのである、
ピアノを弾くのが上手で、色々な新しい事柄を分かりやすく教えてくれる先生であったが、
普段に見せている、微笑んだ明るい表情はなく、真剣そのものの強張った顔立ちにあるのだった。
だが、それにも増して、震え上がる香織を驚愕させたのは、もうひとりの束髪の女性であった、
小学校低学年のときの担任教師だった、由美子先生だったのである、
母子家庭である、香織に対して、何かにつけて気遣ってくれた、温情あふれる先生であったが、
同様に、真剣そのものの強張った表情にあったことは、恐怖さえ感じさせる凄みがあるのだった。
どうして真美先生が此処にいるのか、由美子先生が何故此処にいるのかという疑問など、
湧き起こる余地のない、驚愕と恐怖は、高潮していた性的官能をそっちのけとさせるものだった、
春樹も、同様の状態にあったことは、香織の傍までにじり寄っていたことで明らかだった。
室内へずかずかと入って来た、ふたりの教師は、ふたりの全裸の生徒を前にして毅然としていた。
「ふたりで私の授業をさぼって、何をしているのかと思えば、
このような得体の知れない場所で、このような淫猥な行為をしていたなんて!
中学生にあるまじき行為です!
先生は、絶対に許しませんからね!
春樹君! 両手を背中へまわして! 縛るから!」
ふたりの生徒を見据えて、白衣姿に束髪の真美先生は、きっとなった表情でそのように申し渡すと、
畳の上に並べられている麻縄の束のひとつを取り上げるのだった、
春樹は、その言葉に対して、怯えたように身体をすくめて、相手を見つめるばかりにあった。
「さあ、こちらへいらっしゃい、先生の言ったことは聞こえたはずです、
あなたは、処罰の縄を打たれるということです、
それは、当然のことでしょう、このような卑猥な真似をして、道徳は許さないからです!
さあ、早く、来なさい!」
真美先生の怒鳴るような声音は、反り上がっていた陰茎を萎えさせ、
俯いた顔付きの美少年をおずおずと教師の方へ歩まさせるのだった。
太柱へ縄で緊縛された裸身を繋がれたままの美少女は、身動きを封じられたなかで、
鎮まっていく官能の高潮は、ただ、おろおろとふたりのやり取りを見つめさせるばかりにあるのだった。
教師の前へ立った、春樹は、観念したように、顔付きを俯かせていたが、
相手が一本の麻縄をふた筋とさせると、その意味を当然に理解していたことは、
両腕をそろそろと動かさせ、背後で両手首を重ね合わさせる仕草を執らせるのだった、
だが、縄は、そこへ使われなかった、
真美先生は、漆黒の陰毛に囲まれて垂れ下がる陰茎を片方の手でむんずと掴むと、
前後へしごき始めたのである、驚いたのは、美少年だったが、
その愛撫が強い快感をもたらすことにあったのは、されるがままになっていることの有利を教え、
見る見るうちにもたげる状態が作り出されたことで明らかとされるのだった。
見つめ続ける美少女も、その行為には驚かされたが、見るか見ないかの選択肢しかなかった、
そして、見続けることは、我知らず、官能に火が付けられることを意識させられるのだった。
若く溌剌とした全裸を露わとさせている、美少年の顔付きは、揉まれ続ける愛撫が熱心になるにつれて、
両眼を閉ざして、眉根を寄せさせて、唇を薄く開かせながら、ああっ、ああっと声音を漏らさせ、
腰付きを切なげによじらせるまでになっていたことは、反り上がりにも見事にあらわされていた。
若さ漲る象徴のような硬直を見せられた、美少女は、胸を詰まらせられる鼓動を意識させられ、
剥き出しとされた女の小丘に、割れめ深く沈み込まされている縄を中心に、左右へ掛けられている
合わせて三つの股縄が急に張力を増したように、股間が熱を帯び始めた感触を知るのであった。
教師のほっそりとした指先は、揉みながら、被っていた皮を剥いて、亀頭を晒させると、
両手の掌を使って、柔らかく、優しく、強く、弱く、早く、遅く、と微妙な愛撫を始めるのだった、
ピアノ演奏を得意としていた教師ならではの両手の指使いによるタッチとピッチにあることだった。
春樹も、たまらずに、ああっ、ああっ、ああっと声音を上げて、
のけぞらせた顔付きをしかめながら、ひたすら、こらえるばかりにあったが、
口先から銀のしずくが糸を引いて漏れ出してくるのを知った、真美先生は、突然、演奏を止めた。
「これだけ、しっかりとした固さにあることなら、
しっかりとした縄掛けにも耐えられることにあるわ」
と言われたことだった、
それから、麻縄を手に取ると、縄頭の方へ結び目を作って、小さな環を拵えた、
教師のしなやかな指先は、揉まれて反り上がり、亀頭を剥きだしとされた陰茎へその環を掛けると、
左右から睾丸を挟むようにして股間へ潜り込ませていくのであったが、
美少年は、脱力させられたように、あらがうことなく、されるがままにあるばかりだった。
環の結び目が肛門へ当てはまるように整えられて、尻の亀裂からたくし上げてられていくと、
背中へ沿わされながら首筋まで持ってこられ、ふた筋として振り分けられた、
生徒は教師の教えることや行うことには素直に従うということを当然の態度とするように、
振り分けられたふた筋の縄が身体の前部へ垂らされて、首元でひとつに結ばれても、
更には、胸、鳩尾、臍の上部、臍の下部へ結び目が順次作られていっても、
赤くのぼせ上がった端正な顔立ちに真顔の表情を浮かばせるというだけで、
もはや、直立させている全裸の姿態を微動だにさせることはなかった。
真美先生の指使いは、見とれるほど、素早く巧みなものであったことは、
臍の下部へ作られた結び目からの残りの縄を再びふた二筋に振り分けると、
反り上がっている陰茎と睾丸を左右から挟むようにして、股間へ通すというパッセージにあっても、
少しの難を見せることはなく、縄尻を尻の亀裂から引き出すことを行った。
縄のふた筋は、それぞれに左右から腰付きを伝わせて、身体の前部へ持ってこられると、
臍の上部と下部の結び目の間へ絡められ、再び背後へ戻されて、背中の縦縄で縄留めがされた、
このようにされたことで、縄の張力が増したことは、
皮を剥き晒してもたげていた陰茎は、更に固い反り上がりをみせたことで理解できることにあった。
眺め続けている香織は、顔立ちを春樹に負けないくらいに、真っ赤にのぼせ上がらせて、
魅せられたように、てらてらと輝く赤い反り上がりから視線を逸らさせることはなかった。
美少年には、二本目の縄が用いられた、縄頭が背中の縦縄の上方へ結ばれて左右へ振り分けられ、
双方の腋の下から持ってこられると、首元と胸にある結び目の間の縄へ絡められて引かれるのだった、
菱形の文様が綺麗に浮かび上がると、左右の縄は背後へ戻されて縦縄へ絡められ、
再び、左右から身体の前部へ持ってこられると、胸と鳩尾にある結び目の間へ同じことが繰り返された、
鳩尾と臍の上部の間にある縄まで繰り返されると、縦に四つの菱形が鮮やかに浮かび上がるのだった。
縄の化粧のように綺麗な文様を若々しい全裸へ施された、美少年は、
掛けられた縄の分だけ増した張力による拘束感で、じっと立っていることがままならないというように、
腰付きをもじもじとさせて、唇を真一文字にさせた顔付きを悩ましげに歪めさせていたのは、
てらてらと輝く赤い反り上がりの口先から銀のしずくを再び滲ませていたことでも明らかなことにあった。
真美先生は、背中の縦縄へ縄留めをして、三本目の縄で、重ね合わせた生徒の両手首を縛るのだった、
その縄尻をしっかりと手にすると、銀のひとしずくが糸を引くように畳の上へ落ちるのを見ながら、
「こらえなさい、二階へ上がってからです、
二階では、あなたを待っている、道徳の処罰があるのですから」
と強い口調で言うのであった。
それから、縄尻を引いて促すと、扉のある方へ引き立てるようにして、春樹を歩ませるのだった。
香織は、春樹と引き離されることで、おろおろとした気持ちになっていたが、
縄で緊縛されて柱へ繋がれている身上で、何ができるということはなかった、
何もできないということが当惑と不安と羞恥をもたらすということがあることでしかなかった。
ばたんという音と共に、部屋の扉が閉められた、
室内には、ふたりの女性が残されたのであった、
それまで、部屋の片隅で、観察者の立場にあるというように、
その存在感を感じさせなかった、由美子先生が香織の方へ近付いてくるのだった、
そして、全裸にある美少女の緊縛姿の前へ立つと、
その姿態を上から下まで、まじまじと眺めまわしてから、落ち着いた口調で語り出すのであった。
「見事なくらいに、猥褻な全裸へ卑猥な縄掛けを行って下品な姿態をあらわす、
縄による緊縛行為の表現は、美しいと価値判断する対象にはないということが示されている、
崇高・高貴・上品といった事柄とは、正に対極にある、異端の美にある姿にあることだと言える、
このような羞恥・屈辱・恥辱にある姿態に置かれて、性的官能を高ぶらせ、
最高潮にまで至るということは、尋常な性的官能にあることではない、
その心理状態においても、異常な兆候があらわれていると見なすことの方が当然であろう、
だが、人類の進化にあって、発情期という周期性からの超脱は、交接の自由ということにおいて、
繁殖の増大をもたらした、男女による交接という一義にある性にあっては、多義の開放をもたらした、
人類の人口は、一分で百三十七人、一日で二十万人、一年で七千万人の増加があり、
一年で一億三千万人が出生し、六千万人が死亡する、現在は、七十二億八千五百万強にある、
人間存在において、 性欲と性的官能が<第一義>としてあるという問題は、
それが種の保存と維持を目的として機能していることから、<生産性>をあらわすということにある、
機能しないということにあれば、人類は絶滅種となる因果に置かれていることにある、
誕生がなければ、死滅することもない、生存もあり得ない、
この現実に従えば、性欲と性的官能の重要性は、
人間の存在理由とする事柄において、これ以上のものはないと言うことができる、
生命の尊厳は、性欲と性的官能の活動に依って作り出されるものであり、
陰茎は勃起して濡れた膣へ挿入されることにあって射精が行われる、
この事態の自然であることの厳然性は、
誕生や死滅や生存が当然の事柄として認識されているありようの根源となっている、
従って、<根源的認識>ということにあって、
性欲と性的官能を人間存在の<第一義>とすることは、問題のないことにある、
その性欲と性的官能は、四六時中活動していることにあるという事態は、
従って、当然の問題とならなければならないことにある、
性欲と性的官能は、人類における、表現の全般へ関与している、
このことがあり得ることは、人間は、生まれてから死ぬまで、
性欲と性的官能の関与がある表現を行い続けるという意義をもたらされることにある、
性欲と性的官能は、<第一義>を揺るぎのないものとしている<生産性>において、
そこから展開される事柄の問題は、その<生産性>へ帰納する問題となってあらわされることにある、
性欲と性的官能の<絶対性>の問題とは、そうしたことにある、
人間存在において、性欲と性的官能が<第一義>をあらわすのは、<生産性>があるからである、
そこから、人間存在としてある、男性と女性は、性欲と性的官能が機能することに依って、
<生産性>があらわされるという実態は、男性、或いは、女性という存在にあれば、
性欲と性的官能を所有していることにおいて、人間として平等な存在にあるという認識へ導かれる、
<人間として平等な存在にある>という認識は、男性と女性の性的差異ということは、
<生産性>を目的として、両者が性交する行為を前提としては、
<第二義>をあらわすことでしかないということで、
性欲と性的官能を所有している人間存在にある限りは、男性であろうと女性であろうと、
それだけで、<人間として平等な存在にあること>を明確にさせているということになる。
この<平等の概念>は、人類に属する、一人の人間として誕生することにあれば、
いずれの性の区別もなく、性欲と性的官能を所有していることにおいて、
一つの意義にしかない、<平等>が示されるということであって、
それは、<生産性>という<第一義>としての<絶対性>があらわされることである、
性欲と性的官能の<絶対性>とは、<平等>を表明することにおいて、
人間として誕生した以上、そこに差異は存在しないという意義が示されていることで、
人間にあって、男性・女性の差異はなく、人種・民族の差異はなく、
各自は平等な存在にあるということの意義をあらわすことにあり、
この<根源的洞察>から構築される、<人間性>という意義が存在することを促されるものにある、
しかしながら、実際は、そのような現状にはならないということがあらわされている、現実がある、
人類は、性欲と性的官能を所有する人間にあって、平等な存在にありながら、
実際の活動においては、平等な存在にはないという現状があらわされていることは、
<考えねばならない山という事態>という<即物性>が優先される状況へ依存していることにある、
考えねばならない事態が山とあるという即物性は、
主観を排して、実際の事物に即して考えたり行ったりすること、
或いは、物質的なことや金銭的なことを優先して考えるという意義である、
人類の初期の段階において、食物や居住場所の獲得が生死を分ける必死の事態であったように、
今日においても、その形態は複雑さを増して、当面の生活・金銭・家族・住居・他人・学校・職場に始まり、
宗教・哲学・政治・経済・社会・文学・美術・音楽・舞踏・演劇・映画・漫画・スポーツ……
人類における、表現の全般があるという状況が作り出されることが優先されるということに依る、
これは、<第一義>及び<平等の概念>の倒錯が行われていることにさえあると見ることができるのは、
性欲と性的官能は、そのような抑圧された認識へ置かれることにあって、
抑圧された認識にあることは、必然的に、正常な状態へ戻そうとする表現を生じさせるということにある、
これまでに、多種・多様に、<性の解放>と称される表現に依って、
歴史的にあらわされてきた事象と言えることがそれに相当する事柄であるが、
<性の解放>という表現がその目的とする<平等の概念>を成就できなかった実際は、
これまでの過去がそうであったように、これから先の未来もあり得ないことは、
性欲と性的官能があらわす、<第一義>の<絶対性>は、
<考えねばならない山という事態>という<即物性>が優先されることの所以である、
群棲する人間が集合して生活する動物にあるというありようと対立する事柄にあるからである、
人間は動物の存在にある、このことは、性欲と性的官能に突き動かされての行動を本能的と称するように、
<個人>としての相反・矛盾にはない、だが、その<個人>が集団となる結束の状態にあることにおいて、
集合して生活する、<社会>の動物としてあるとき、相反・矛盾が生み出されるのである、
<社会>という結束の状態を作り出すための<人間関係>の必要不可欠があるからである、
人間が世代を積み重ねていく存在にある以上、
<社会>という結束の状態を作り出すための<人間関係>は、
最も少ない場合でも、年上の者と年下の者という二者の<上下関係>が必要とされることに始まる、
これは、<上下関係>をあらわす以上、<階級意識>と言えるものである、
<上下関係>の位置付けをあらわす、相対する概念の一切は、
<階級意識>があることに依って成立することは、親・子、兄・弟、姉・妹に始まり、
年上・年下、支配者・被支配者、貴人・俗人、国王・人民、主人・奴隷にあって、
それらの<人間関係>は、縦の直列をあらわす関係が示されることにある、
一方の性欲と性的官能に依る<平等の概念>は、横の並列をあらわす関係にあることであるから、
<個人>と<社会>の相対においては、対立する関係にあることでしかあり得ないことになる、
性欲と性的官能があらわす<絶対性>とは、<平等の概念>の表明にあることだとすれば、
<個人>においては容認することは可能であっても、
<社会>は容認することが不可能にあるという状態となることである、
この状態は、<平等の概念>と<上下関係>という差異をあらわす<階級意識>という相対から見ると、
性欲と性的官能を<第一義>に置くことさえもが問題であることへ導かれることになる、
<上下関係>をあらわす<階級意識>は、<社会>を成立・維持させるためには不可欠のものである、
従って、そこには、そもそも、<平等の概念>というものはあり得ない、
だが、 性欲と性的官能の<第一義>は、<平等>を意義することにおいて、
人間として誕生した以上、そこに差異は存在しないという意義を明確とさせていることにある、
<社会>における、不平等のありようは、人間性本来の姿からすれば、誤謬にあるということになる、
<社会>を成立・維持させるための<制度>に依って、人間の<平等の概念>が示されることにあれば、
性欲と性的官能は、<個人>のものでしかなく、<社会>という多数に依って共有されることがなければ、
<性の解放>という表現も、また、<個人>の表現に留まるものとしてあることでしかあり得ないことになる、
性欲と性的官能という存在が<社会>という<制度>と<個人>の対立に置かれる限り、
<第一義>の問題は、倒錯して、抑圧された認識にあり続けるということでしかないのである、
この抑圧された認識にあることは、人間の<個人>としてのありようから見れば、必然的でもある、
それは、<人間は動物の存在にある>という問題である、
地球上にあって、人間とは、<動物の存在にあること>の<ひとつの実例>を表現していることにある、
生存することの可能性の極限をあらわすことが動物の存在理由であるとすれば、
食欲・知欲・性欲・殺傷欲という生存の四つの欲求を最大限に活動させている状態にあることである、
他の動物種には見ることのできない、国家間の戦争、民族紛争、同種族の殺人、自殺等の殺傷欲、
他種族の生物と共有している自然環境の破壊にまで及ぶ、科学技術を発達させる知欲、
生物の絶滅にまで至らせる、狩猟・漁労へ向かわせる食欲、
時間と空間、老若男女を問わずに行われる性交・強姦、虐待にまで至る、性欲に依る現状としてある、
生存の四つの欲求の野放図・放埓・無際限の活動は、
実際に極めて行えば、ただ当人の健康を害し死を招くという結果でしかないことにあるが、
死に至ることのない野放図・放埓・無際限ということであれば、人間としての最上の欲望・願望にある以上、
<人間の倫理>を問うことは、野放図・放埓・無際限という可能性の極限と向き合うことである、
それを抑制する<制度>である、宗教・法律・刑罰が必要不可欠の対立となって立ち現われることである、
<社会>の維持・継承において、<個人>の自由意思に依る独善性は容認されないことは、
<個人>の求める、生存の四つの欲求の野放図・放埓・無際限の活動は、
宗教・法律・刑罰の域内において厳重に制限される、管理下に置かれるものとしてあることになる、
性欲と性的官能の<第一義>は、<平等>を意義することにあるが、
性欲と性的官能もそのひとつである、生存の四つの欲求の野放図・放埓・無際限の活動は、
<個人>の自由意思に依る独善性として表現されることの不平等の意義において、
人間存在の自己同一性の問題から見れば、相反・矛盾をあらわすものとしてあるのである、
人間存在として、性欲と性的官能が<第一義>に置かれることさえもが相反・矛盾となることは、
その<生産性>は、<社会>という前提があっての<第二義>と見なされるということにもなる、
従って、<性の解放>が文字通りのあらわれとして実現しないことは、この相反・矛盾の状況にある以上、
<社会>が維持・継承される域内においては、決して成し遂げられない事態ということになる、
それは、性欲と性的官能の<第一義>の<絶対性>は<平等>を表明することにあることがもたらす、
次のような意義の展開があることが決定的なものとさせている、
性欲と性的官能の<第一義>の<絶対性>が<平等>を表明することにあれば、
それは、人間としてあることの<不平等>の一切に対して、反抗の表明となることができる、
この反抗は、<相対する二者の上下関係の価値転倒を成し得る>、
という<革命>の意識の発生を促すものにあることは、
<平等>の<絶対性>は、人間として存在することにあれば、当然のものとしてあることの前提に依る、
性欲と性的官能の<平等の概念>に従うことは、優越する武力行使が可能でありさえすれば、
国家や社会の転覆は、誰もが平等に成し得ることにあるということが示唆されていることである、
性欲と性的官能を旗印として、<革命>が行われたということは、実際には存在しない、
それは、性欲と性的官能が<個人>に依存するものにあるという慣習的認識から、
集団を結束させるための一義となることには、相反・矛盾が生じてしまうことにあるからである、
従って、性欲と性的官能を大儀として、<革命>が起こることはあり得ない、
だが、<革命>を起こすための根拠となる認識の役割は充分に果たせるものがある、
<社会>や<国家>の転覆が成し得るという思考方法としてあり得るということである、それは、
性欲と性的官能に依る<平等の概念>は、<第一義>としてある、<人間の平等>ということにおいて、
男性・女性は、言うまでもなく、更には、親子・兄弟・姉妹・親戚の関係にまで及んで、
<近親相姦>の可能が<生産性>をもたらす<平等の概念>として見なすことができることにある、
<社会>や<国家>における<人間関係>の混乱、ひいては、転覆が導き出されることにある、
しかしながら、<革命>が<平等>をもたらすことにあるかと言えば、
これまでの人類史においてはあり得なかったという実際しか見い出すことができない、
<社会>や<国家>を成立させるためには、<体制と制度>が必要不可欠のことにあり、
それは、<上下関係>という<階級意識>の存在なくしてはあり得ないことにあるからである、
<平等の概念>は存在する、だが、<平等>はあり得ないということである、
従って、<性の解放>という表現も、性欲と性的官能による<平等の概念>も、
<個人>の表現に留まるものとしてあることでしかあり得ないことになる、
これが慣習的認識として受け継がれてきている、
<上下関係>という<階級意識>が<社会>や<国家>を成立させている以上は、
性欲と性的官能に依って、野放図・放埓・無際限が表現される、<猥褻>は、
絶対に容認することのできない、反国家・反社会の見解として見なされることになる必然性である、
<法律・刑罰>の対象となることの当然性ということにある、
<上下関係>という身分階層制度が厳格にあればあるだけ、強制力も増すということにある、
<性>は俗悪なものとして置かれる、
性欲と性的官能に関係する事柄の一切は、低俗・卑俗・下劣にあるという認識が<常識>となることは、
<第一義>として容認できない事柄へ置かれるということは、
<社会>や<国家>の存立・維持・継承において、人間の<平等の概念>は、
<制度>に依って表明されるということでしか成立しないとされる因果である、
そこから、性欲と性的官能に関係する一切の事柄は、
<露出>を意義する<猥褻>に相対する概念は、<隠蔽>を意義する<品性>ということで示される、
<隠蔽>が<露出>されることを<人間の倫理>に反する<猥褻>とすることに依って成立する、
<性の解放>とは、<隠蔽>をどれだけ<露出>することにあるか
という終わりのない歴史なのである……
如何です、このようなこと、香織さんには理解できるかしら?
あなたがさらけ出させている猥褻、今、そこに、あなたが露出している全裸は、
性欲と性的官能が第一義としてあることの問題と向き合っているということです、
思春期にある若者であれば、目覚めた性欲と性的官能が高ぶらせる活動から、
自我を膨らませるということは、男子も女子もなく、自然なありようにあることです、
しかし、それは、野放図・放埓・無際限が意義されることではありません、
それを身をもって知るために、道徳の処罰があるのです、
男性の処罰は、陰茎が放出に至る最高潮を可能な限り行うことを強要されることであり、
女性の処罰は、膣からの愛液の放出がもたらす最高潮を可能な限り行うことを強要されることにあります、
縄で緊縛された全裸の姿態は、それを受容するのにもっと適したありようにあることです、
春樹君が二階へ上がって、先生方ふたりから道徳の処罰を教示されるように、
香織さん、あなたも、ここで、私と間もなく見えられる先生から道徳の処罰を教示されることにあります、
覚悟なさい……」
白衣姿に束髪の由美子先生は、そのように語り終えると、
太柱を背にして全裸の緊縛姿で繋がれている、香織の間近まで近付くのであった、
それから、相手の顎を捉えて、少女の愛くるしい顔立ちを自分の方へ向けさせるのだった、
有無を言わせずに、先生の綺麗な唇は、生徒の可憐な唇へ吸い付いていき、
重ね合わされた唇と唇の愛撫が始まるのであった。
それは、性愛から絡み合う女性たちのありようとして、見ようによっては見ることのできたことは、
廃屋の一軒家の情事と呼んでも差し支えないとも言えることだった。




(2015年10月20日 脱稿)




☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (16)

☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (14)

☆縄による日本の緊縛