13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (14) 全裸で緊縛された沈思黙考 ―縄の縛めに結ばれ合う母と娘― 借金返済で弁護士に相談



縄による緊縛という結びの思想・四十八手

(14) 全裸で緊縛された沈思黙考 ― 縄の縛めに結ばれ合う母と娘 ―



母の恵美子の自慰行為……自縛という麻縄による緊縛は続けられていた、
娘の香織が成長するにつれて、その行為に耽る時間を見つけ出すことは難しくなっていったが、
それでも、誰にも迷惑を掛けずに、誰にも知られずに、孤独に行うことがストレスの解消になった。
しかしながら、誰にも迷惑を掛けずに、誰にも知られずに、孤独に行われているはずの自慰行為というものも、
それを見た者がそれを見たと言わないだけであって、あからさまとなっているという事実を恵美子は知らなかった、
それは、同居している、母と娘にあれば、寝室は互いにまったく別の部屋にあったことだとしても、
あり得ないことはないという状況に置かれていることだと見ることができる。

十五歳になった、香織は、或る夜、余りにも悩ましい夢から目覚めさせられた、
思春期にある若者であれば、目覚めた性欲と性的官能が高ぶらせる活動から、
自我を膨らませるということは、その者が激しく孤独を自覚する環境にあれば、
それだけ、容易にある、それだけ、激しく悩ましい夢へ誘われることもある、
その激しく悩ましい夢には、男子も女子もないということからすれば、自然なありようにあるとも言えることだった。
そこで、気を取り直すために、キッチンへ行って咽喉の渇きを潤そうと廊下へ向かったときだった、
わずかに扉の開かれた、母の寝室の奥から、くぐもった小さな声音が聞こえてきたのである、
大手広告代理店に勤めている、母は、毎日遅くまで働いて、疲れて死んだように眠るというのが口癖で、
実際、そうだった、気のせいかとも思って、そのまま通り過ぎようとしたが、
ああ〜ん、ああ〜ん、という悩ましげな声音がはっきりと聞こえてきたのだった、
香織には、いびきであるならともかく、甘美で悩ましい声音は驚かされるばかりのことにあった、
いけないことだとは知りつつも、その声音の艶かしさに掻き立てられて、思わず、扉の隙間から覗いてしまったのだ、
それは、信じられないという光景でしかなかった、
母は、雪白に輝く柔肌を惜しげもなくさらけ出させた、生まれたままの全裸の姿にあった、
いや、そればかりではなかった、ベッドに横臥している姿態は、両腕を後ろ手にして、
ふたつのふっくらとした乳房を上下から挟まれては、幾重にも巻き付けられた縄があったのである、
そして、その縄も、それだけではなかった、
くぐもった声音が真っ白な手拭いを赤い唇の間へ押し込まれての猿轡のせいであったことは、
すぐにも理解できたことにあった、しかし、大きく綺麗な両眼を見開いて見つめてはいても、
誰の存在にも、まったく気付いていないというその一点を凝視したまなざしは、
ああ〜ん、ああ〜ん、と高ぶるばかりの甘美な悩ましい声音を伴っては、
性的官能に舞い上げられた状態にあるとしか思えない、生々しさがあらわされているのであった、
いったい、何が母を舞い上げていると言うのか、
それが縄にあることは、間違いがなかった、
ほっそりとした首筋で二筋に振り分けられて首元で結ばれている、使い古された麻縄は、
乳房を挟んだ上下の胸縄へ絡められて、ふたつの乳首が立ち上がっている様子を如実とさせていた、
そこから、お臍まで縦に下ろされては、腰付きの優美なくびれを際立たせられるような締め込みとなって、
更には、なめらかなお腹まで下ろされて、漆黒の柔らかな茂みのなかにまで通されているのであった、
下腹部の小さな丘が盛り上がり、深々とした埋没のあらわされる、縄の淫虐が露骨とされたありさまにあったのだ、
すらりと伸びたしなやかな白い両脚を揃えさせられて、両足首と両膝の箇所も縄で束ねられていたことは、
その股間の縄は、逃れたくても逃れられない、淫靡な責め苦の状況にあることを、きらきらとしたぬめりの輝きは、
双方の艶やかな太腿の付け根をおびただしく濡らさせている、愛液の存在をあからさまとさせているのであった、
それは、母には違いなかったが、性的官能に舞い上げられ、恍惚とさせた表情を露わとさせて、
姿態を悩ましく悶えさせながら、ひたすら昇りつめていこうとする、ひとりの女の姿でもあったことだった、
振り分けたお下げ髪を微動だにさせず、茫然となったまま、立ち尽くすばかりの少女は、
縄で緊縛された全裸の姿態にある女が茶髪に染めた美しい髪を打ち振るい、
ああ〜ん、ああ〜ん、いやっ、いやっ、と甘美な声音をくぐもらせながら、
横臥させた身体をうねらせ、くねらせ、悶えさせながら、女の官能を昇りつめるありさまを見続けて、
母は、どうしてこのような状態にあるのかという疑問など吹き飛ばされてしまうほどのみずからの高ぶりを、
両頬を火照らせ、心臓を激しく高鳴らせ、食い入るようにまなざしを釘付けにされながら、
縄が潜り込まされている股間と同様の自身の箇所を疼かされていることを感じさせられるばかりにあるのだった、
見続けていることは、もう耐えれないとばかりに、香織は、気付かれないようにして自室へ戻った、
それから、ベッドへ上がって、布団を引っ被るようにして潜り込んだ、
どきどきと高鳴っている心臓は収まることがなく、雪白に輝く全裸の姿態を思い出させるばかりで、
その柔肌へ巻き付いた縄を思い出すことは、股間の箇所を更に熱っぽく感じさせることにあるのだった、
香織は、恐る恐る、指先をパジャマへ潜り込ませて、ショーツの上からその箇所を触ってみた、
しっとりと濡れていたことは、驚きだった、
母の性欲に悶える全裸の姿を見て、みずからも官能を高ぶらせてしまったことは、衝撃だった、
悶える母と見つめる自分は、女性の官能を共有しているという事実があらわされたことには違いなかった、
だが、母のあからさまな自慰行為は、余りにも衝撃的であった、
縄の緊縛という普通には考えられない行為にあって、しかも、一糸も身に着けない全裸の姿となって、
みずからの手でみずからを縛るということは、常識を超えた行為にあるとしか思えなかった、
どうして、母はあのような行為に耽るのだろうかという疑問がぐるぐると渦を巻いたが、
その答えの出ない回転に呑み込まれるように、香織は、いつしか、寝入ってしまった。
目覚めさせられたのは、扉をノックされる音と同時に聞こえてきた、母の優しい声音だった。
「香織ちゃん、いつまでも寝ていると、入学式に遅れるわよ、早く起きて頂戴」
その日は、母と娘が連れ立っての晴れの高校入学式の日にあった。
朝の陽射しのまぶしさを感じながら、香織は、元気一杯に、布団を跳ね除けて、ベッドを飛び出すのであった。
そして、朝食の食卓で、母と顔を合わせた香織であったが、
いつもとまるで変わらない、溌剌とした母の様子に、あれは夢だったに違いないと思うことにしたのである。
そして、母が微笑を浮かべながら、次のように言ったことは、
香織にとって、強い喜びと胸高鳴る期待となる事柄でしかなかったのである。
「入学のお祝いに、式が終わった後、お母さんがとても素敵な場所へ案内してあげるわ、
そのために車も予約してあるのよ、その場所で、香織とお母さんは、一日を楽しく過ごすの、いいでしょう」

香織が母の恵美子と共に高校の入学式を終えて校門を出たとき、
待機していた黒塗りの大型車の扉がおもむろに開かれたことは、
今朝、食卓で聞かされた言葉を思い出させて、思わず、母の顔立ちを見やれば、
自分を見つめる優しい母は、真剣な表情を浮かばせながら、しっかりと頷いていたことは、
車に乗り込むことを少しの躊躇もなく行わせたことにあった、
その大型車が父の葬式のときに乗った車と同じものであることに気付かなかったことであったとしても……
父親が亡くなった当時、二歳であった香織にしてみれば、それは、困難な想起の思考にあることであるから、
論理の整合性を求めるという観点からすると、誤謬のない状況にあると言えることにある、
しかしながら、放埓な空想は、真理を認識する幻想の門口にあるということからすれば、
矛盾をあらわす、荒唐無稽は、事実を標記させるための想像力にあると言える、
荒唐無稽を認識する人間は、整合性を認識する人間にあるという真摯な事態が示されることである、
それは、人間を<大衆>という大雑把へ掻き集めようと押し寄せて来る、
<整合性の箒>を振りかざす、<国家主義的一義>という事柄に対しては、
抵抗し反撃し得る、多種・多様・多義の柔軟性という意義の荒唐無稽にさえあることである。
固有なる人間が主体性を如実とさせなければ、
個のあらわす人間存在など、群棲するだけの集合を意義することでしかない、
人間は、個として存在するものである、
これが前提であって、どのような状況にあろうと、この自覚が認識の前提であり、
生まれてこの世にあらわれた、各々の出発点にあることである、
生まれてこの世に生きることを始めた以上、その固有の生き方を生きることが可能である始まりにある、
どのような国家の体制や制度の下にあったとしても、
人間存在の自由とは、荒唐無稽に根拠を置くことができるという因果があらわされていることである。
親子を乗せた車は走り出した、
やがて、到着した廃屋の一軒家であった、
玄関先へ到着すると、母は、優しい声音でこのように告げるのだった、
「独りで降りて、玄関を入りなさい、
入ったら、なかで待っている人たちの言う通りにするのよ、
あなたのためにすることだから、怖がらないで、心配しないで、素直に従うのよ、
ママも、必ず後から行きますから、待っていて頂戴」
香織には、その唐突の申し出があったことは、当惑と不安を感じさせたことにあったが、
後ほど、母親と再び会うことができるという言葉に勇気付けられて、車から送り出されたのである。
言われたように向かいながら、娘は、車にいる母の方を一度振り返ったが、
自分を見つめる優しい母は、真剣な表情を浮かばせながら、しっかりと頷いていたことは、
廃屋の一軒家の玄関扉を思い切って開けることを行わせたことだった。
現在、日本国内には、独り住まいの老齢者の死去などから、廃屋が増加傾向にある、
人通りの少ない、閑静な住宅地にあって、地下室を備えてはいたが、
二階建てのこのような家屋は、外観は廃屋と言うほど老朽化しているわけでもなく、
奇抜な意匠が施されているわけでもなかったので、格別に目立つ建築物というものにはなかった。
屋内が世間から隔絶した様相をあらわしているかどうかは、その所有者の管理に依るところである、
この廃屋の管理者が香織の父であり、恵美子の夫であったことは、
すでに、この世にいない人物が管理者にあるということは、整合性のある論理展開からすれば、
その人物が姿をあらわすか否かを含めて、荒唐無稽へ逆立ちしかねないという危険がある、
だが、人間の主体をめぐる考察ということにある以上、
動物存在としての人間の生存活動が食欲・性欲・知欲・殺傷欲という四つの欲求に依るものであり、
その背後に横たわる荒唐無稽ということが原初の認識としてある以上は、
避けて通るということも、また、できないという状況にあることでもある。
従って、廃屋のなかへ入った、香織が世間から隔絶とした印象を感じたとしても、不思議ではなかった、
そこは、分厚い絨毯の敷かれた、小さな広間になっていて、
落ち着いた照明がホテルのフロントのようなカウンターを浮かび上がらせているだけにあった、
奥へ伸びる廊下を知ることができたが、少ない照明は、薄闇の雰囲気を作り出しているばかりで、
陥穽に落されたような深い静寂の漂っていたことは、言い知れぬ不安さえかもし出されていることにあった。
人の気配というものがまったく感じられないという状況は、
開け放していた玄関扉が音もなく閉じていたことに、戸惑いさえ感じさせることだった、
<入ったら、なかで待っている人たちの言う通りにするのよ>と言われた母の言葉を思い出していたが、
誰の姿も認めることができなかった、
薄闇と静寂に時間感覚を奪われて、当惑の眩暈へ誘われる思いすら抱かせることにあったのだ。
お下げの艶やかな黒髪を左右へ振り分けて、校章の付いた上着にチェックのスカートを着けた、
紺色の制服姿の少女は、白いブラウスの首元から垂れる赤いリボンを微動だにさせず、
ただ、じっと待ち続けているということしかできなかったのである。
やがて、廊下の奥から、こちらへ向かってやって来る、人影のあることを理解することができた、
薄闇は、もどかしい足取りで歩む、白いぼんやりとした姿を認めさせたが、
その背後には、もう一人の人物が従っているということも知ることができるのだった。
人の姿を見たことは、安堵の気持ちを呼び起こさせたが、白いぼんやりとした姿が輪郭を明確にするに従って、
近付いて来ることは、言い知れぬ不安を掻き立てられて、驚きと戸惑いを呼び戻されることにあるのだった。
広間の入口にあらわれて、白いぼんやりとした姿が明らかとさせたもの、それは、女性の姿態だった、
一糸も身に着けない、全裸の姿態にある女性が乳白色の柔肌を輝かせることがあれば、
辺りを明るませるくらいの輪郭を作ることが可能であるとでも言うような美しさであった。
だが、それが異様な美しさにあることだと思うことは自然だった、
女性の姿態は自然な全裸のありようにはなく、後ろ手にされていたばかりでなく、
生まれたままの身体全体には、衣裳をまとわされているように、縄を掛けられていたのである。
香織は、じっと立ち尽くしたまま、妖しい美しさにある女性の姿態に目を奪われるばかりであった、
ほっそりとした首筋を左右に振り分けて、身体の前部の縦へ下ろされている麻縄は、
首元、胸、鳩尾、臍の上部、臍の下部に作られている結び目の間の縄が左右へ引かれていることで、
四つの菱形の文様が綾なすように鮮やかに浮かび上がり、
乳白色の柔肌へ押し付けられている様子が目もあやな意匠とさえ言えたことは、
縄に囲まれて突き出すようにされた、可憐な乳首を付けた、ふたつの乳房の隆起を美麗なものと映らせ、
縦縄の残りの縄が腹部から女の小丘にある亀裂へ深く埋没させられている様子は、
その箇所を覆う漆黒の陰毛がまったく奪われて、白無垢の柔和なふくらみを露わとさせていたことで、
卑猥な感じにあるというよりは、むしろ、妖美にさえあると感じられる不思議にあった。
香織にとっては、意外とも思える感じ方にあったことだったが、
世間から隔絶した様相をあらわしている場所にいたことを想起させるという余裕はなかった、
縄で緊縛された全裸の姿態にある女性は美しい、というのぼせ上がった思いにあることで一杯だった。
美しい女性は、綺麗な茶髪の髪を垂らさせたまま、ひたすら、隠すように顔立ちを俯かせ続けていたが、
匂い立たせる女の芳香には覚えのあるものを香織が意識したときだった。
「香織さん、お待ちしていました、
此処で学ばれることがあなたの成長に役立つことを希望します」
澄んだ声音が聞こえて来て、全裸の女性の背後から、白衣を身に着けた束髪の女性があらわれたのだ、
女性は脇へ立ったが、そのほっそりとした手には、縄尻がしっかりと握られていることを見て取れた、
縄で緊縛されていたことから、もどかしい足取りで歩む、全裸の女性は、
無理やり引き立てられるようにして、此処まで連れて来られたということが察せられることにあったが、
その理由は如何にと怪訝に思う以上に、束髪の女性は、驚きの対象にあるのだった、
忘れもしない、慶子先生であった、幼稚園時代、大好きで憧れの優しく綺麗な先生だった。
その先生が冷たい口調で、縄尻を引くようにしながら、全裸の女性へ促すのであった。
「あなたも、香織さんにご挨拶なさい、
黙って俯いているばかりでいては、失礼です」
そのように命じられて、全裸緊縛姿の女性は、躊躇している素振りを見せていたが、
綺麗な茶色の髪を柔らかく揺らせると、思い切ったように、顔立ちをおずおずともたげるのであった。
その顔立ちを知った瞬間、香織は、信じられないという余りの驚き、
信じることは到底できないという不可解、信じてはいけないという拒否の狼狽を一気に舞い上げられて、
立っているのもままならないくらいの眩暈へ落されたように、ぶるぶると震え出した。
母の恵美子だった、
茶色の綺麗な髪に縁取られた、目鼻立ちの整った美貌は、
清楚が際立つように丁寧な化粧が施されていることにあって、
香織がその美しさを自慢としている、自立した働く女性であることを尊敬している、
母の顔立ちであることには、間違えようはなかった、
ただ、生まれてから一度も見たことのない表情を浮かべている、母であったことも確かなことにあった。
「香織さん……お待ちしていました……
此処で学ばれることが……あなたの成長に役立つこと希望します……」
母の声音は、幾らか震えてはいたが、慶子先生の言葉を復唱するように、
一言一言をはっきりと述べたものにあった。
陰毛をまったく奪われている全裸をさらけ出せて、
しかも、淫靡な縄掛けを施されているという羞恥の境遇にあって、
縄の拘束に高ぶらされる性的官能と思いから、美しい顔立ちを火照らせて、
こちらへ向けるまなざしを欲情にきらきらと輝かせている状態にあったことは、
抑えがたい羞恥と抑えがたい欲情の入り混じった、浮遊の表情にあったことだった、
そのような理解を持てたのは、全裸を縄で緊縛された女性が擬似陰茎を膣へ挿入されて、
性的官能に舞い上げられている写真をインターネットで見たことがあったからだった。
香織は、母に対して、応える言葉も見つからず、慶子先生に対してさえも、言葉を失って、
思考は、驚愕と不可解と狼狽の極みにおいて、真っ白なものとなっていた、
どのようなものでも描くことのできる、真っ白なキャンバスとなっていた状況にあったことは、
そのキャンバスに最初の表現が描き入れられるのを待っていたとも言える身上にあった。
そこで、慶子先生から聞かされたことだった、
「香織さん、あなたのお母様は、此処では、ただの女性であるに過ぎません、
あなたも、女性となるために此処へ来たのですから、今からは、そのように取り扱われます、
従って、あなたとあなたのお母様は、此処では、ただの女性同士に過ぎないということになります、
その意義では、私も、此処にいることでは、ただの女性であるに過ぎません、
私たちは、ただの女性である存在に過ぎないということです」
言い終わると、綺麗な慶子先生は、空いている方の手で、控えるように直立不動の姿勢にある、
母の美しい顔立ちの顎を捉えて、自分の方へ向けさせると、
その唇へみずからの唇を重ね合わせるのだった、母は、嫌がる素振りも見せず、
ただ、されるがままであった、いや、むしろ、唇を半開きとさせて、相手の舌先を誘っていたことは、
その求めに応じるように、慶子先生の尖らせた舌先は潜り込んで、ふたりの舌先の戯れが始まるのだった。
見つめさせられている、香織にあっては、女性のあからさまな愛欲行為は、
それだけでも異常な振る舞いにあるというだけではなく、尊敬する母と憧れの先生という女性であったことは、
唇を開かせて茫然となっている思いは、性的官能の不思議な高ぶりに胸を激しくどきどきさせられて、
お下げに振り分けた黒髪の顔立ちをのぼせ上がらせて、浮遊させられるばかりにあることだった、
女性同士の口づけによる熱烈な愛欲行為は、始めて見たことだった、
しかし、それは異常なおぞましさを感じさせるものではなかったのだ、
むしろ、ふたりの女性に感じる美しさ故に、更なる美しさを匂い立たせる妖しさを感じられることにあった。
「慶子さん……お願いです……
一度昇らせて下さい……」
もはや、口端から唾液を垂れ流しての熱心な舌先の愛撫がもどかしいとでも言うように、母は離れると、
慶子先生をまじまじと見つめて言った言葉がそれだった。
慶子先生は、母の下腹部を眺めやり、覆う漆黒の陰毛がまったく奪われて、
白無垢の柔和なふくらみを露わとさせている、小丘の割れめに食い込んでいる麻縄へ、
ほっそりとした指先を潜り込ませると、確かめるようにうごめかせるのだった、それから、
引き抜いた指を母にかざして見せ、垂れ落ちるしずくできらきらと輝いているのが証拠だとするように、
「そうですわね、これだけあふれ出させていれば、欲しくはなりますわね、
分かりましたわ、行きましょう、お部屋に」
と言うのであった。
母は、羞恥から、真っ赤になっている顔立ちを俯かせてしまっていたが、
慶子先生は、縄尻を引いて促すようにすると、廊下のある方へ引き立てるようにして歩ませるのだった。
香織の存在など、まったく無視されていた、
思い戸惑う少女にあっては、ふたりが向かう方へ、仕方なく付いていく以外になかったことであった。
やがて、廊下に並ぶ扉のひとつを慶子先生は開けると、母と部屋へ入っていった、
扉が閉められなかったことは、見たい者は、ご自由にどうぞとでも言わんばかりのことにあった、
のぼせ上がっていた香織であったが、躊躇を感じていた、
母と慶子先生が行うことを見てもよいものなのか、
それは、部屋へ入った、大人のふたりの秘密にあることではないのか、
黙って秘密を盗み見るなんて、そのようなことはできない、
だが、見てみたいという思いは募るばかりにあって、香織は、ただ、立ち尽くすだけにあるのだった、
そのとき、唐突に、部屋の扉は、ばたんと閉ざされてしまった。

閉ざされた扉の大きな音に、はっと我に返った、香織であった、
部屋の扉は、閉ざされたのであった、
部屋は、がらんとした八畳間くらいの空間で、扉の反対側にある大きな窓から陽の光が射し込んでいた、
その陽光を背にして、白衣を身に着けた束髪の女性が立っていた、
逆光ではあったが、それが誰か、香織には分かるのだった、
小学校高学年のときの担任教師であった、麻衣子先生だった。
いつも冷静で思慮深い、麻衣子先生で間違いなかったことは、その穏やかな口調で確認できた。
「香織さん、これは、あなたのショーツですね、
これは、あなたがみずから脱いだものですか、それとも、脱がされたものですか?」
麻衣子先生が掲げるようにして見せた、ピンクの小さなリボンの付いた真っ白なショーツは、
確かに、自分の持ち物にある下着と同様のものであったが、
みずからが脱いだ下着を先生が持っているはずもなく、
誰かに脱がされたということもあるはずがなかった、現に、身に着けているのだから……
「同じようなものは持っていますが、それは、私のものではありません」
香織は、そのように答えたが、真顔の麻衣子先生は、かぶりを振りながら、
「香織さん、嘘はいけません、
あなたは、洗濯された衣類の分配をお母様が間違えたという理由を作り出して、
ありもしないショーツを返すために、お母様の衣装戸棚の引き出しを開けたことは、確かであり、
そこへ、あなたは、この自分の下着を置いて、お母様のものを手に入れたということも事実です、
それは、お母様のショーツが欲しかったからです」
と言うのであった。
香織は、それは言い掛かりですとすぐに言い返したが、
麻衣子先生は、まったく、取り合わなかった。
「香織さん、素直になりなさい、
あなたの慕うお母様が男性と親しくなったからといって、あなたが捨てられたということではありません、
あなたが駄々をこねるような振る舞いをしても、解決にはならないということです、
今すぐ、そこで、脱ぎなさい、あなたのショーツは、これです」
申し渡されるような強い語調にあっても、
香織は、相手をにらみ付けるようにして、頑なになるばかりだった。
「仕方がありませんわね、あなたには、こういうものが必要だということですね」
麻衣子先生は、部屋の片側にある衣装戸棚まで行くと開いて、ものを持って来た、
どさりと音を立てて、香織の足元へ置かれたのは、麻縄の束であった。
少女は、それを見ると、大きな両眼を更に大きく見開いて、
まるで、それが忌まわしい生き物でもあるかのような怪訝な表情を顔立ちに浮かばせるのだった、
それから、先生の方へまなざしを投げるなり、きっとなった表情で、叫んだのである。
「私は、縛られるのはいやです、絶対に嫌っ!
このようなものは、嫌悪を感じるだけで、見るのも吐き気がします」
そして、拗ねたような素振りあらわして、顔立ちをあちらの方へ向けてしまった。
麻衣子先生は、床にある麻縄のひと束を取り上げながら、
「また、嘘をつくのですね、あなたは、
本当は、今、この世の中で、一番に興味を抱いているものは、この麻縄で、
一番にしてもらたいと思っていることは、縄で縛られることのはずです、それでなければ、
どうして、あなたは、ピンクの小さなリボンの付いた真っ白なショーツを穿かないのですか、
この場で穿き替えなさいと言ったことがどうして素直にできないのですか、
縄は、あなたを自分自身である素直な香織に戻してくれるはずのものです、
何故なら、あなたは、望んでいることを果たして、始めて現実と向き合うことができるからです」
と語り終えると、少女に近付いて来るのだった。
香織は、顔立ちをそむけたまま、意固地をあらわすように身動きひとつしなかった、
高校の校章が付いた新しい制服の下に着ている白いブラウス、
その首元から垂れる赤いリボンへ相手の指先が触れても、
もうどうにでもなれという自棄をあらわすように、されるがままの状態にあるのだった、それは、
思慮深く、理屈の通る話をする、麻衣子先生に逆らうことは無駄であると分かっていたからだった。
先生の両手の指先は、リボンを抜き取ると、授業が常に筋道の通った分かりやすさにあるのと同様に、
香織の身に着けている、制服の上着、ブラウスを沈着な仕草で脱がせ、
更には、純白のブラジャーまでも取り外していた。
香織は、顔立ちを俯かせたまま、ただ、為されるがままにあるだけであったが、
初々しく膨らみ、可憐な乳首を付けた、ふたつの瑞々しい乳房が露わとされたときには、
こらえ切れずに思わず先生の方を見やっていた、だが、大人の顔立ちと真剣なまなざしに出合うと、
露わとなった乳房にも増して、スカートを落される羞恥と拒否を強く意識させられるのだった、
いやっ、という声音を漏らさせたが、冷静な先生の指先に手加減はあらわされなかった。
チェックのスカートは、床へはらりと重力の法則通りに落ちていくのであった、
あからさまとなった、しなやかで優美な姿態をほっそりとした両脚が支える、その腰付きは、
柔肌が瑞々しいばかりの白さを放っていたことは、くっきりと浮かび上がる、ショーツのせいでもあった。
真紅の艶かしさは、隠すべき箇所の少なさによって、誘惑的な色香を放つ目的を如実とさせていた、
男性であれば触れてみたいと思わせる、悩ましい箇所が一層の悩ましさの蠱惑を漂わせたものにあった。
着けている少女のあどけなさの残る顔立ちと比べれば、違和感を感じさせるものでしかなかったことは、
麻衣子先生は、香織の股間をじっと眺めやってから、おもむろに話し出したことにあらわれていた。
「そのような倒錯があなたのお母様を慕う気持ちのあらわれにあることは、理解することができます、
しかし、それを穿くことで、お母様と同様の大人になったつもりにあることだとしたら、
そのような皮相な振る舞いは、ショーツを剥ぎ取られれば、
すぐに、本性のあらわれることの明白にあります。
あなたが脱ぐつもりのないものを先生は無理やり取ることはしません、穿いていなさい、
穿いて、大人の女性が縄で縛られることをされると、どのような嬌態をあらわすことにあるか、
みずからでしっかりと学びなさい、さあ、両手を背中へまわして、縛るから……」
最後の言葉に、香織は、大きな両眼を更に見開いて相手をにらみ付けると、
片方の手でふたつの乳房を覆い、もう片方の手で股間を隠すようにして、身体を縮こまらせるのだった。
「いやっ! いやっ! 嫌です!
縄で縛られるなんて、嫌です、
私は、ママみたいに縄で縛られるなんて、絶対に、嫌っ!
おぞましいだけの縄! 春樹君が裸になったママを縛り上げた、忌まわしいだけの縄!
春樹君に私を裏切らせ、ママに私を捨てさせた、憎むだけの縄! そんなもの! そんなもの!
ああっ! ああっ! ああっ!」
艶やかな黒髪のお下げを左右へ揺らさせて、香織は、かぶりを振りながら、泣きじゃくり始めていた、
麻衣子先生の手に握られた、麻縄は、近付いてくるばかりにあるのだった。

「香織ちゃん、どうしたの、そんなにうなされて……
まあっ、ひどい熱、風邪をひいたのね、ソファでうたた寝なんかしているからだわ、
早く部屋へ行って、着替えてベッドで寝なさい、ママが薬を持っていくから」
うなされるほどに酷い夢だったことは、気付いたとき、
眼の前にあった顔立ちが母の優しさに満ちた表情であったことは、強い衝撃を招いていた、
香織は、返事もしないで、ただ、相手をまじまじと見つめることしかできなかった。
「どうしたの、そんな顔をして、そんなにうなされる夢だったの?
よかったら、ママに、どのような夢だったのか、聞かせて、
話せば、安心するわよ、きっと」
恵美子は、娘がまだ夢を彷徨っているような茫然とした表情を浮かべていることを心配して尋ねていたが、
香織は、大きな両眼を見開いたまま、じっと見返すばかりにあるのであった。
話せる訳はない、眼の前にいる、ママが原因の夢だったのだから、
話したら、とんでもないことになるのは、分かり切っている、
それは、こんなにも、非常識で、残酷な夢にあったことだったから……
中学の教室で、真美先生の授業を受けながら、熱っぽさと悪寒を感じていた、
隣の席にいるはずのいつも元気な春樹君も風邪で休んでいるのだった、
この授業が終わったら、早退しようと思った、香織だった。
香織がマンションへ戻っても、広告代理店に勤めている、母は、夜まで戻らない、
風邪薬を呑んで、夜まで大人しく寝て待とうと思いながら、玄関扉の鍵を開けた、
その頃には、熱が上がっていたせいで、少しぼおっとなっていた、
だから、キッチンへ行って、早く、薬箱にある風邪薬を呑んで寝ようと、廊下を急いだときだった、
わずかに扉の開かれた、母の寝室の奥から、くぐもった小さな声音が聞こえてきたのである、
誰もいるはずはないから、ぼおっとなっていることからの空耳だと思った、
だが、確かに、物音が聞こえてくるのだった。
香織は、少し怖かったが、足音を忍ばせるようにして、開かれた扉の傍まで近付いた、
「これを脱いでしまったら、もう、あなたにされるがままね……」
と女性の声音が聞こえてきた、それが母の媚びを帯びた声音であることが分かったが、
誰かに話し掛けていることにあるのだということも察せられるのだった、
だから、香織は、わずかに開かれた扉の隙間から、盗み見るように部屋のなかを見たのである。
ベッドの傍に立っている、母は、ショーツ一枚だけの半裸の姿にあるのだった、
だが、そのショーツは、香織が母の持ち物のなかに一度も見た覚えのない、
真紅の艶かしさが隠すべき箇所の少なさによって、誘惑的な色香を放つ目的を如実とさせている下着で、
悩ましい箇所が一層の悩ましさの蠱惑を漂わせるものにあるのだった。
母のほっそりとした両手の指先は、そのショーツに掛かったところで、
相手の方を見ながら、そろそろとずり下ろす仕草は、媚態のように映るほど、勿体ぶった様子があった、
脱ぎ終われば、羞恥をあらわすように、すぐさま、片方の手で綺麗な隆起を見せるふたつの乳房を覆い、
もう片方の手で露わとなった股間の箇所を隠して、姿態をよじらせた姿勢にさせたことは、
それを見ている者の言葉を誘い出すのに充分な色香の発揮されたものにあった。
「隠しちゃ駄目だ、僕に見せるんだ!」
命じるような強い語気の男性の声音が聞こえてきたが、
香織には、その聞き覚えのある声の主がまさか彼であるはずがないと思った。
命じられるままに、母が男性の前で一糸も身に着けない全裸の姿態を露わとさせていることは驚きだった、
艶やかな茶色の髪に縁取られた美しい顔立ちを真顔の表情にさせて、
両腕を左右へ垂らさせた姿態は、ほっそりとした首筋、薄紅色の乳首を付けたふたつの綺麗な乳房、
優美にくびれた腰付きは、直立させた両脚のしなやかな線を足元まで行き届かせていることにあった、
乳白色の柔肌が輝くばかりにある裸体をさらけ出させているのだった、
友達の誰からも、香織ちゃんのお母さんって美人だよねと言われる母であった、
だが、母の全裸の驚きは、形の良い臍がをなめらかな腹部にあって、
その下の漆黒の繊毛がふっくらと密生していることが当たり前の箇所にあった、
覆う陰毛のない白い小丘、その小児のような無垢のなめらかさは、
女性の羞恥の亀裂をくっきりとのぞかせているものにあったのだ。
しかし、その驚きも、母の前へ近付いた男性の存在に依って、
不可思議と困惑へ広げられるものにあるのだった。
香織は、思わず、声を上げそうになって、両手で口を押さえていた、
トランクスひとつだけの半裸の姿にある、風邪で休んでいるはずの春樹君だったのだ、
香織が思いを寄せる、優等生の美少年だったのだ。
香織にとっては、そのトランクスの前部を激しく突っ張らせている様子は、
羞恥に両頬を染めさせることにあったが、
彼の手にしていたものが縄であったことは、激しい胸の高鳴りを引き起こさせることにあるのだった。
春樹君は、大人びた真顔の表情で、母の眼の前へ、縄を掲げて見せていた、
母も、真顔の表情で、その麻縄を見つめやると、決心したように赤い唇を真一文字とさせ、
両手をそろそろと背後へまわさせ始めるのであった。
「縄を見せられただけで、素直に応じることのできる、あなたは、素晴らしい。
あなたは、こう言った、女性は、優れた存在にある男性の支配を望んでいるものです、
それは、その支配に依って、みずからも優れた存在に引き上げられることにあると考えられるからです。
それが実行できる、あなたは、求めるものを得られる存在であり続けられるはずだ、
今日の縄掛けは、あなたをひと際輝かせることになるだろう」
中学三年生の春樹君は、立派な大人のように感じられた、
その彼が母に対して行うことを香織は真剣なまなざしで見つめ続けた、
風邪のせいで熱っぽい肉体が更に高ぶらされる性的官能によって舞い上げられるままに、
春樹君が母をどのように取り扱うことにあるのかを知りたいという思いは掻き立てられるばかりにあった。
母は、一糸もまとわない、生まれたままの全裸の姿態にあって、立ち尽くした姿勢を執り続けていた、
その女性のあらわす瑞々しい肉体の起伏に富んだ優美な曲線が如実とさせる麗しさには、
漂わせる蠱惑には必ずや秘められた謎があるに違いないと思わせるものがあるのだった、
それほどの実在感のある全裸姿であった。
母がみずから背中へまわした両腕は、春樹君の手によって、ほっそりとした両手首を重ね合わされ、
幾重にも縄を巻き付けられて縄留めがされた、母は、両手の自由を奪われたことで、
人間が他の動物と一線を隔して進化を遂げさせた、
能力のひとつをあらわすことのできない動物状態へ置かれることになった、
それは、強要されるがままになる隷属の状態が作り出されることの始まりでもあった。
手首を縛った残りの縄は、ふっくらと隆起させたふたつの乳房の上部へ掛けられて背後で縄留めされたが、
母は、じっとなったままの姿態にあって、美しい顔立ちが羞恥に赤らんでいることは明らかであった。
背丈は、一メートル六十センチの母に対して、春樹君は一メートル七十センチと大きかった、
大人びた振る舞いをするとは言っても、十五歳の少年の端正な顔付きは、
三十八歳になる母の顔立ちに対しては、あどけなさを消し去ることはできなかった、
だが、その子供に依って、性的官能を高ぶらされ、成熟した女性にあることの自覚にまで促されることは、
十五歳であっても、男性をあらわす存在感を意識させることでは、同等の関係を如実とさせることにあった。
二本目の麻縄が手首の縄へ結ばれて、上部の胸縄へ加えられて巻き付けられると、
乳房の下部へまわされてから背中へ戻され、弛みのないように両腋の下から絡められていった。
飛び出すような具合となった、ふたつの綺麗な乳房は、乳首の可憐さが際立つばかりにあったが、
このように縄掛けされたことで、両手の自由は完全に奪われ、代わりに、
柔肌を圧迫する縄の拘束感がしっかりと隷属の意識を伝えてくることにあるのだった。
母は、もたげさせていた顔立ちに柔らかな茶髪を垂らさせて、寡黙をあらわすように俯いていた、
込み上がってくる意識へ集中させられるように、両眼を伏せていたことは、
艶やかな両腿をぴたりと閉じ合わせていても、隠しようもなく露わとなっている股間は、
ふっくらとした小丘に女性であることの亀裂をまざまざと見せ付けているのであった。
その間近へ男性の顔付きが近付いたことは、母の優美な腰付きには、
環に作られた麻縄が巻き付けられて、くびれを引き立たせる腰縄として締め込まれたことから察知できた。
春樹君の巧みな手先は、残りの縄を右側から腰付きへ添わせながら背後へまわすと、
尻の割れめから股間へ通すようにしたが、母は、その縄掛けに対して、逆らうという様子は微塵もなく、
されるがままに両脚を開いて、相手に従う姿勢を明らかとさせているのであった。
縄は、太腿の付け根を一巻きされながら背後へ戻されると、今度は、左側の腰へ添わせられながら、
身体の前部へ持って来られ、股間へ通されて、太腿の付け根へ一巻きされた、
それから、再び、身体の前部へ持って来られると、縄尻は、臍の辺りで最初の腰縄へ結ばれるのだった。
このようにされたことは、伏せていた母の両眼を開かせたほどに強要のあるものだった、
陰毛の剃り上げられた、翳りのない、ふっくらとした白無垢の女の小丘は、
一層の盛り上がりを露わとさせられて、くっきりとのぞかせる女性の亀裂が痛々しいほどに、
柔和さをこれ見よがしのものとさせられていることにあるのだった。
それを見やる、母は、顔立ちを真っ赤とさせていたが、春樹君の冷静な言葉は、こうだった。
「あなたをひと際輝かせることになる縄掛けにあることは、
あなた自身で、充分に確認することができなければ、まったく意味がない、
ご主人が残した家へ行きましょう、それを明らかとするために……」
そのように相手から申し渡された、母は、その最後の言葉に対して、
電気でも当てられたように、縄で緊縛された裸身をびっくとさせるのであった。
「いやっ、嫌です、あそこへは行きたくありません、
お願いです、お願いです、此処にいさせてください」
茶色の柔らかな髪を揺らさせて、いやっ、いやっとかぶりを振りながら、懇願するのであった。
「でも、あの廃屋の二階にある晒し柱へ繋がれる、あなたを見ることは、
あなたを見かけたときから、僕の思いにあったことです、
あなたの美しさに憧れた、僕の念願だったことです」
春樹君は、母を縛り上げた縄尻を手にすると、強く引いて、寝室の扉の方へ促すのだった。
だが、母は、両足を踏ん張って、動こうとはしなかった。
見つめ続けている香織には、みずからの存在を気付かれるのではないかという心配があったが、
それ以上に、ふたりのやり取りの不可解さは、当惑させられるばかりのことにあるのだった。
母は、赤い唇を真一文字に閉ざさせて、黒い大きな両眼のまなざしを床の一点へ凝視させて、
意地をあらわすように、緊縛の全裸をこわばらせていたが、春樹君は、それ以上の無理強いを行わなかった、
それは、縄が自然と答えを導き出してくれることにあるのが分かっていたからだった、
母の意思は、込み上がる官能からの沈思黙考の状態を作り出させる以外にはあり得なかったからだった。
全裸にある姿態ということが激しい羞恥を呼び覚ますことにあれば、身動きの自由を奪われた、
縄による緊縛にある姿態ということは、更なる羞恥を掻き立てられることにあって、
思いは率直に興奮させられる、身体全体へ掛けられている、柔肌を圧迫する麻縄の拘束感は、
そのような状況から逃れられないという現実を切迫感を持って煽り立てて、
更に興奮させられていく、思いは、顔立ちを火照らせるばかりか、ほっそりとした首筋までも赤らませる、
他人に見られることなどはもってのほかという浅ましいとさえ言える羞恥のありさまは、
突き出させられているふたつの乳房に立ち上がる、欲情のあらわれの乳首にも見て取れることは、
母の俯かせたまなざしをその事実から逸らさせて、床の一点へ集中させていたが、
それは、ふたつの乳房よりも下方にある、股間のありまさがそれ以上を要求していることでもあった、
双方の太腿の付け根へ潜り込まされて、股間へ掛けられている縄は、
ふっくらとした白無垢の女の小丘をこれ見よがしに盛り上がらせて、女性の亀裂を剥き出しとさせて、
その露骨に膨らんだ羞恥のありさまは、欲情の貪欲を如実とさせられている実際でしかなく、
身体全体へ掛けられている縄にあって、左右から締め込まれる股間の縄は、鋭敏な女芽を押しつぶし、
敏感な花びらを開かせ、肛門をきわどく刺激し続けるものにあったことは、
その羞恥のありさまから両眼を逸らさせても、ありありと実感させる性感を知らせていることにあるのだった、
みずからの思いをよそに高ぶらされるばかりの性的官能の状態へ置かれていることは、
高ぶらされる性的官能が整合性の実現を目指すものにあるということからは、
沈思黙考するみずからの思いも、また、性的官能の相乗作用において、
整合性の実現を目指す思考というものになければならないことにあるのだった、
高ぶらされる性的官能が整合性の実現を目指すということは、
その<起・承・転・結>が相反・矛盾なく行われるということにある、
性欲と性的官能に火をつけられ、燃え立たせられ、燃え上り、燃え盛って、
うねらされ、くねらされ、悶えさせられて、瀕死の高ぶりにまで追い上げられると、ついには、
絶頂にまで及ばされることに至る状態から知覚できる、幸福を意識させられる喜びの快感としてある、
思考作用も同様に、発想に火をつけられ、燃え立たせられ、燃え上り、燃え盛って、
うねらされ、くねらされ、悶えさせられて、熟考の末に、苦悶の高ぶりにまで追い上げられると、
ついには、絶頂と言うべき、<私は見い出した>という認識に到達する、
それは、幸福を意識させる喜びの快感を伴った、認識の至福と言えることにある、
母は、見い出すべき認識の至福を求める以外に、その置かれた状況を展開させる方法はなかった。
母は、ぴたりと閉ざさせた、艶やかな双方の太腿をもじもじと摺り合わせ始めていた、
その美しい顔立ちは、眉根を寄せて、込み上げてくる甘美な疼きを必死に抑えようと、
赤い唇を真一文字とさせて、両頬を真っ赤に火照らせた表情にあった。
双方の太腿の内側を汗ばませた様子は、やがて、糸を引かせたしずくとなっていたことは、
それが汗のせいばかりでないことは、明らかなことにあった。
母は、春樹君をまじまじと見つめていた、だが、言葉にすることは躊躇していた、
男性は、縄で全裸を緊縛された、女性のなよやかな両肩へ両手を置くと、
顔付きを近付けて、綺麗な赤い唇へみずからの唇を重ね合わせた、
春樹君の唇は、熱烈な思いをあらわすように、母の唇を割り開いて、尖らせた舌先を差し入れていた、
母は、されるがままに、愛撫を受けるばかりにあった、
香織には、嫉妬から、もう、見続けていることに怒りさえ覚える、嬌態にあることだった。
口端から唾液を滴らせた、春樹君は、ようやく、息を継ぐように唇を離すと、
うっとりとなった表情で、肩で息をしながら相手を見つめ続ける、母に対して告げるのだった。
「行くよね、あの廃屋の一軒家へ、
黒塗りの大型車も、もう、マンションの玄関先で待機しているはずだ、
恵美子、いいね」
母は、しっかりと頷いて、同意をあらわすのであった、
そして、春樹君に縄尻を取られて、扉の方へ歩まされた、
香織は、身を隠す場所に戸惑って、不安と恐怖を掻き立てられて、おろおろするばかりにあった……
そこで、我に返らされた夢だった。

我に返った、香織は、 一糸もまとわない、生まれたままの全裸の姿態にあって、
太い柱を背にさせられて、立ち尽くした姿勢を執らされているままのみずからを知るのだった、
みずからのありさまだけに照明を当てられ、暗闇のなかに浮かび上がる姿が如実とさせていたことは、
ふっくらとした白無垢の女の小丘をこれ見よがしに盛り上がらせ、
女性の亀裂を剥き出しとさせる、緊縛の縄化粧が施されているという身上にあることだった、
全裸で緊縛された沈思黙考は、続けられることでしかないという状況が示されていることだった。
このような状況へ置かれている経緯を思い返せば、
それは、香織が母の恵美子と共に高校の入学式を終えて校門を出たときに始まったことだった。
待機していた黒塗りの大型車の扉がおもむろに開かれたことは、今朝、食卓で聞かされた、
「入学のお祝いに、式が終わった後、お母さんがとても素敵な場所へ案内してあげるわ、
そのために車も予約してあるのよ、その場所で、香織とお母さんは、一日を楽しく過ごすの、いいでしょう」
という言葉を思い出させて、思わず、母の顔立ちを見やれば、
自分を見つめる優しい母は、真剣な表情を浮かばせながら、しっかりと頷いていたことは、
車に乗り込むことを少しの躊躇もなく行わせたことにあった。
やがて、人通りの少ない、閑静な住宅地にある、廃屋の一軒家に到着した、
玄関先へ停車した黒塗りの車は、ふたりを降ろすと立ち去っていった、
母は、携えていたハンドバッグから鍵を取り出すと玄関扉の錠を開いて、娘をなかへ案内した、
扉の錠の下ろされる音を耳にした、香織は、室内へ閉じ込められたという思いを一気に高ぶらされていた、
幾つもない窓から光が射し込むだけの薄闇は、室内の状況を判別し難い曖昧なものとさせて、更には、
陥穽に落されたような深い静寂の漂っていたことは、言い知れぬ不安さえかもし出されていることにあった。
この家は、どのような家なの?
そのような疑問が浮かび上がり、言葉にして、母に投げ付けようと相手の顔立ちを見たときだった、
僅かの光に浮かび上がって、こちらを見つめやる母の優しく微笑んだ顔立ちが沈黙を強いた、
娘は、差し出された、母のほっそりとした手を思わず取ると、
その温もりに導かれるままに、廊下を奥へと歩まされていくのであった。
その間も、恵美子は一言も口を開かず、香織もただ従うままにあるというだけであった。
廊下の突き当りには、二階へ通じる階段が待っていた、
恵美子は、握った相手の手に力を入れると、先になって、ためらうことなく上っていったが、
香織は、訳も分からず、昇る一段一段が胸をどきどきと高鳴らせる戸惑いとなっていくだけで、
上がり終えた二階の場所があらわす、真の暗闇は、ただ、茫然と立ち尽くすばかりのことにあるのだった。
「ここは、とても不思議な場所なの……
香織さん、あなたが二十歳の成人になったときの姿を見ることができるのですもの……」
母の優しく穏やかな声音は、はっきりとそのように告げていた、
お母さんは何を言っているのかしらと思う間もなく、
室内にこだまする声音に合わせて、部屋の中央に光の環が突如浮かび上がった。
照明が当てられていた、
暗闇に馴染んでいた、両眼には、まばゆいばかりの強烈な光に感じられたことにあったが、
香織が思わず、ああっ、と驚きの声音を上げていたことは、
母の奇妙な言葉に対しての反応だけではなかった、
突如浮かび上がった、まばゆいばかりの強烈な光に対しての反応だけでもなかった、
光が浮かび上がらせた異様なものが驚愕の反応を悲鳴の言葉にさせたことにあった、
大きな瞳の両眼を釘付けにされて、少女は、直立とさせた姿勢のまま、微かに震えてさえいた。
そのものが異様であったのは、日常にある生活感覚では、見ることのできないものであったからだった、
女性が一糸もまとわない、生まれたままの全裸にある姿態をさらけ出させていた、
それは、日常にある、普通の生活感覚を逸脱していた、だが、それが逸脱にあると言うならば、
恥ずかしい全裸の姿をさらけ出させている女性が縄で縛り上げられているというありさまは、
いったい、何だと言うのか。
床から天井へ屹立する柱へ繋がれて、直立させた姿態をこれ見よがしに晒されているというありようは、
見世物となるために晒しものにさせられているということをあらわす、強烈な存在感があった、
その理由は、何か悪いことをした罰に、お仕置きをされていることにでもあるのか、
或いは、いじめにあっているという残酷な仕打ちの示されていることにでもあるのか……
波打つ艶やかな黒髪を垂らさせて、俯かせている顔立ちからは表情を知ることはできなかったが、
スポットライトの光を浴びて瑞々しさを輝かせる、なめらかな白さのみなぎる柔肌からは、
若さが感じられることにあった、その若々しさは、十五歳になる少女ものと比較すれば、
大人の色香を漂わせる、しっとりとした脂を滲ませる、芳香の感じられるものにあるのであった。
全裸を縄で緊縛された女性の異様な姿は、母が述べた言葉に対する疑問を急に膨らませ始めたが、
驚愕に翻弄された思いにあっては、握られていたと思っていた母の手がいつしか離れていたことは、
母の存在がすでに身近にはないという実感をひしひしと伝えてくることが答えとなっていた。
香織は、言葉を失っていた、
もはや、母へ呼び掛けることの無意味は、母の存在以上に強烈な存在感をあらわす、
眼の前にいる女性が露わとさせていることにあった、
全裸の女性のおもむろにもたげた顔立ちがこちらへ向けられていたのである、
知らないとは言わせないという顔立ちを如実とさせたことにあった、
それは、向き合わざるを得ない、みずからというものを自覚するほかに術のない、強要であった、
香織は、まじまじと自分自身を見つめる以外になかった。



女性は、一糸もまとわない、生まれたままの全裸の姿態にあって、
太い晒し柱を背にしながら、立ち尽くした姿勢を執り続けていた、
その女性のあらわす瑞々しい肉体の起伏に富んだ優美な曲線が如実とさせる麗しさには、
漂わせる蠱惑には必ずや秘められた謎があるに違いないと思わせるものがあった、
それほどの実在感のある全裸姿であったが、
それは、麻縄で縛り上げられているありさまと無縁ではないということも確かなことであった、
両腕を背中へまわされ、両手首を重ね合わされて、幾重にも縄を巻き付けられ、
残りの縄をふっくらと隆起させたふたつの乳房の上部へ掛けられて背後で縄留めされ、
背後へ結ばれた更なる縄が上部の胸縄へ加えられて巻き付けられると、
乳房の下部へまわされてから背中へ戻されて、弛みのないように両腋の下から絡められている、
その縄尻が背にさせられた太い柱へ繋がれて、身動きの自由を封じている、
飛び出すような具合となった、ふたつの乳房は、乳首の可憐さが際立つばかりにあった、
優美な腰付きにも、環に作られた麻縄が巻き付けられて、くびれの引き立つ腰縄として締め込まれていた、
残りの縄を右側から腰へ添わせられながら背後へまわされて、尻の亀裂から股間へ通されると、
太腿の付け根を一巻きされながら背後へ戻されて、今度は、左側の腰へ添わせられながら、
身体の前部へ持って来られると股間へ通されて、太腿の付け根を一巻きされると、
身体の前部へ持って来られて、縄尻は、臍の辺りで最初の腰縄へ結ばれていた、
このようにされたことで、陰毛の剃り上げられた、翳りのない、ふっくらとした白無垢の女の小丘は、
一層の盛り上がりを露わとさせられて、柔和さをこれ見よがしのものとさせられているのであった、
このありさまをがっちりと固定されるように、艶やかな双方の太腿は、ぴったりと閉じ合わされて、
麻縄が幾重にも巻き付けられ、揃えさせられた両足首も束ねられている状態にあった、
直立した全裸の縄による緊縛姿を柱へ繋がれて、晒しものとなっているありさまが厳然とさせられていた、
波打つ艶やかな黒髪に結ばせた紺色のリボンも若やいだ、愛らしい顔立ちにある女性は、
その置かれた身上から、両頬を真っ赤に上気させて、じっと見つめ続ける相手の存在に気付いたことで、
いやっ、と小さな声音を漏らさせて、俯かざるを得ない思いへ仕向けられているのであった、
赤い唇を真一文字に閉ざさせて、黒い大きな両眼のまなざしを床の一点へ凝視させて、
思いは、込み上がってくる、めくるめく思いからの沈思黙考の状態を作り出させることにあるのだった、
全裸にある姿態ということが激しい羞恥を呼び覚ますことにあれば、身動きの自由を奪われた、
縄による緊縛にある姿態ということは、更なる羞恥を掻き立てられることにあって、
思いは率直に興奮させられる、身体全体へ掛けられている、柔肌を圧迫する麻縄の拘束感は、
そのような状況から逃れられないという現実を切迫感を持って煽り立てて、
更に興奮させられていく、思いは、顔立ちを火照らせるばかりか、ほっそりとした首筋までも赤らませる、
他人に見られることなどはもってのほかという浅ましいとさえ言える羞恥のありさまは、
突き出させられているふたつの乳房に立ち上がる、欲情のあらわれの乳首にも見て取れることは、
女性の俯かせたまなざしをその事実から逸らさせて、床の一点へ集中させていたが、
それは、ふたつの乳房よりも下方にある、股間のありまさがそれ以上を要求していることでもあった、
双方の太腿の付け根へ潜り込まされて、股間へ掛けられている縄は、
ふっくらとした白無垢の女の小丘をこれ見よがしに盛り上がらせて、
その露骨に膨らんだ羞恥のありさまは、欲情の貪欲を如実とさせられている実際でしかなく、
身体全体へ掛けられている縄にあって、左右から締め込まれる股間の縄は、鋭敏な女芽を押しつぶし、
敏感な花びらを開かせ、肛門をきわどく刺激し続けるものにあったことは、
その羞恥のありさまから両眼を逸らさせても、ありありと実感させる性感を知らせていることにあるのだった、
みずからの思いをよそに高ぶらされるばかりの性的官能の状態へ置かれていることは、
高ぶらされる性的官能が整合性の実現を目指すものにあるということからは、
沈思黙考するみずからの思いも、また、性的官能の相乗作用において、
整合性の実現を目指す思考というものになければならないことにあるのだった、
高ぶらされる性的官能が整合性の実現を目指すということは、
その<起・承・転・結>が相反・矛盾なく行われるということにある、
性欲と性的官能に火をつけられ、燃え立たせられ、燃え上り、燃え盛って、
うねらされ、くねらされ、悶えさせられて、瀕死の高ぶりにまで追い上げられると、ついには、
絶頂にまで及ばされることに至る状態から知覚できる、幸福を意識させられる喜びの快感としてある、
思考作用も同様に、発想に火をつけられ、燃え立たせられ、燃え上り、燃え盛って、
うねらされ、くねらされ、悶えさせられて、熟考の末に、苦悶の高ぶりにまで追い上げられると、
ついには、絶頂と言うべき、<私は見い出した>という認識に到達する、
それは、幸福を意識させる喜びの快感を伴った、認識の至福と言えることにある、
この知覚と認識は、人間として存在することにおいては、人種や民族を問わないものとしてある、
人間の<個人>としてあることの普遍性にあって、各々に備わっているものとしてある、
従って、男性と女性においても、その差異は存在しないということでは、
生まれたままの全裸を縄で縛り上げられた女性が知覚し認識することは、
男性が同様の状態へ置かれたことにあっても、あり得ることにある、
香織は、今、生まれたままの全裸を縄で緊縛されて晒しものとされている身上にあって、
二十歳の成人となった自覚から、そのように思い至ることにあるのだった、
私は、何故、ここにこうして、全裸を縄で緊縛された姿をさらけ出させているのだろう……
それは、余りにも悩ましく激しい夢を見たことにあったと理解できるのであった。

母の恵美子は、<願望の緊縛絵画>というものを抱いていた、
それは、いつかは実現されるということを望ませるという意味で、抱き続けることができるものとしてあった。
娘の香織が弁護士の道を進むために、希望の国立大学の法学部へ入学できたことは、大きな喜びであった、
そして、今や、二十歳の成人になったということは、自立の意思があらわされることだと感じていた。
子供は、親に隷属するものではなく、その自立の意思において、教示する者にさえある、
恵美子は、香織が離れていくことに寂しさを覚えることは事実であったが、
率直な意見と行動を伴う、香織の態度には、頼もしいとさえ感じられることも確かであった。
従って、香織から、夫の残した、廃屋の一軒家へ行こうと誘われたとき、
ママは、高校へ入学した私に、二十歳になる私を見せてくれました、
今度は、私がママに、将来のママを見せることをしますと言われたことは、
恵美子にとっては、また、どうしてあのような場所へ行くのかしらという驚きと同時に、
見せると言われた、未来のママという不可解を感じさせられたことでもあった。


(2015年10月12日 脱稿)




☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (15)

☆13.縄による緊縛という結びの思想・四十八手 (13)

☆縄による日本の緊縛