容赦のない男の手によって今度は背後で、 お尻から這い上がっている股縄を力まかせに引っ張り上げられた。 男はそうされることを私が望んでいるのを確かめるように、 ぐりぐり、ぐりぐりと食い込ませるように力を加えた。 突き上げてくるやるせない疼きには、 ああっ、ああっ、と声を上げずにはいられなかった。 乳房を上下で締めつけている縄、両腕を縛っている縄、後ろ手にされた縄、 縄の拘束感が一体となって切ないくらいの胸苦しさを感じさせた。 |
奥さんはいま、いい表情をしているよ、とってもきれいだ。 最初に会った時から思っていたんだが、奥さんにはもとから、 縄で縛られてよろこびを感じるマゾッ気があるんじゃないか。 それでなけりゃあ、こんなにいい表情を出せるもんじゃない。 実のところ、囚われの身になりたいと望んで来たんじゃないのか。 男の言葉は言いくるめるようにじわじわと語られていた。 それを打ち消したいと思ったが、お金欲しさとはいえ、 このモデルの仕事を求めて、いまここにいるのは事実だった。 カメラのシャッターは休みなく切り続けられていたが、 モデルの演技なのか、或いは自身の本性なのか、 わけがわからなくなっていた。 |
身体を覆っていたスリップはズタズタに引き裂かれ、 パンティの切れ端がかろうじて恥ずかしい箇所を隠している、 しかも、それさえも淫らがましく深々と食い込まされた縄が支えている。 |
けれど、そんな情けない姿にさせられて、 感じていることは確かだった。 男の手が身体に残った布切れを取り去り始めたが、 もう何をされても、昂ぶってきた官能に恥ずかしさも後悔もなかった。 みっともない格好にされているから、 甘く痺れるような疼きが女の芯から突きあがり、 縄にがっちりと封じ込められた身体全体へ広がっていくのだった。 |
取り去られる布切れひとつひとつが、 本当の歓びへの階段を徐々に昇らせていくような感じがした。 一糸もつけない姿、全裸、生まれたままの姿、 求めている歓びはありのままになってこそあるように思えた。 少なくとも、父親が脳溢血で倒れて以来苦しかった毎日を、 この瞬間だけでも悦びに変えられたら、本当にうれしかった。 |
股間を隠していた切れ端に男の手がかかっていた。 典子は愚かな女です、はしたない女です、 あからさまにされ罰せられて当然の女です、 すすり泣きながらそう念じていた。 そして、羞恥を覆う最後のものはこれ見よがしに取り去られていった。 |
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