「出入口」と書かれた扉を抜けた先には彼方へのびる階段があった。 階段には山高帽子に燕尾服姿の紳士が立っていた。 「あとは、あなたがみずからの足で段階をのぼるだけです。 段階をのぼった先には、 あなたの乗る車が生まれ変わった輝かしい装いで待っています。 あなたを美の戴冠へおもむかせるモービルです」 言い終わると紳士は、下へ下へ階段をおりて行くのだった。 Yは段階をひとつひとつ昇ろうと決意をあらたにした。 今まで以上の困難が待ち受けていることがあっても、 昇らなければならなかった、 それが本当の始まりだったからである……
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☆上昇と下降の館 ☆BACK |