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環に結ばれた縄というのは、 縄の両端を結んでひとつの環にした状態である、 縄が両端のままであったとしたら、 結ばれなければでき上がらない状態である、 誰がそれを結ぶか……。 円環の意味するところは、繰り返し、死と再生、自己完結、調和、そして、永遠である。 植物の繊維が撚り合わされて作られた縄は、自然と人工が融合されて昇華されたものである。 その二重螺旋としてある形状が人間のDNAと同様であるのは、偶然ではない。 縄が人間の手によって作り出されたときから、縄は人間の思考の遺伝子を受け継ぐことをしてきた。 縄は人間が使用している道具のなかで、卑近に用いられ続けている最も起源の古いものである。 その使用用途の広さと深さは、宗教的祭儀から猥褻な緊縛まで、命綱から首吊りの縄まで、 人間に関わる多義多様性において、数多あるほかの道具の比ではない。 人間の思考方法へ関与していることがあるからこそ、そのようなあらわれがあると言えることである。 従って、もし、人間が縄を撚り、それを結び、繋ぎ、縛ることをやめるとしたら、 人間の思考方法が大きく変化を遂げるときであると言える。 そうなれば、人間が人間を縛るということもあり得ないことになり、 全裸の女体緊縛も男性緊縛も存在しないことになる……。 いつの日か……それは、わからない。 少なくとも、現在は、まだ、人間の思考方法は変らない。 縄だけじっと見つめていても、それはわかりにくいことかもしれない。 道具は使用されることによって、使用される可能性によって、存在理由を発揮するものである。 縄の両端が結ばれなければならない所以である。 |
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